盆栽ワークショップでエネルギーチャージ

 盆栽美術館では、毎月様々な催しが行われていますが、盆栽ワークショップは大変な人気で、毎回抽選が行われているようです。こちらはラッキーにも当選したので行ってきました。

(▽今回のワークショップで作成した長寿梅の盆栽) 

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【久しぶりの実技講習】

今回申し込んだのは、「長寿梅(ちょうじゅばい)」という樹種の寄せ植え盆栽を作るワークショップです。盆栽アカデミーとの違いは、アカデミーが初級コースだけでも全8回の座学と実技を交えたカリキュラムだったものに対し、ワークショップは初心者向きの体験レッスンという位置づけのようです。机に用意された道具と苗を見て、早くもワクワク感が止まりません。

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 【長寿梅】

梅っていうから梅の一種だと思っていたら、大間違い。バラ科でボケの一種で、花の形が梅に似ていることからその名前がついたようです。そして、面白いことに華道やフラワーアレンジメント、園芸などでは扱われることがなく、盆栽のみで扱われる樹種だとか。その名前からも縁起が良いということで、盆栽界では有名な樹種だそうです。本日の見本として飾られている長寿梅の盆栽は、綺麗に手入れされており、このまま売ってくれ!という感じです。

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 【講師はあの!】

本日の講師は、九霞園(きゅうかえん)という、大宮盆栽町でも由緒ある盆栽園の三代目園主、村田行雄さんです。やったー!これだけでもラッキー!本物の盆栽師から直接教えていただける機会なんてそうはありません。オタクっぽい風貌がいかにも真面目な職人風でシブイです。

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 【道具の使い方から】

村田先生、恐らく何度もこのワークショップやられていらっしゃるのでしょう。手慣れた様子で進行してくださいます。盆栽で使う独特の道具、針金切りやヤットコの持ち方から教えてくれるというのが、初心者に優しい気配りです。また、鉢底にネットを固定する針金の曲げ方も、実物モデルを予めご用意くださっています。おおー!至れり尽くせり!

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 【復習を兼ねて鉢の準備】

盆栽アカデミーで習い、その後自分で買った盆栽苗を自宅で植え替えしたので、鉢の準備は復習という感じで余裕がありました。えへへ。でも、ワイヤー2本を掛けたのは初めてです。色々な技があるんですね。

f:id:katsuo_24:20171007201624j:plainそして、鉢底の赤玉土は私が思っていたより少量で良いとのこと。小さな鉢の中で根を張らせるためには、細かな土を多く入れる方が良いようです。見えないところにも気配りするのが植物に対する愛情ですね。

 

徒長枝(とちょうえだ)の剪定】

ポットに入ったままの苗の徒長枝を剪定します。確かに、鉢に植えてからだと苗の向きや位置などのバランスが想定と異なった時に修正できませんよね。

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枝を切る位置は、枝の色が薄く、今年伸びた部分が分かるので、その下から2、3枚の葉が出た上部分で切ります。ええー!こんなに切っちゃうなんてもったいない!と思うくらいで良いらしいです。盆栽は小さく鉢の中で長い時間をかけて育てるものなので、急がない、急がない。(▽剪定BeforeとAfter) 

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 【いよいよ植え替え】

苗をポットから出し、ピンセットで落ち葉やゴミを取り除き、箸で古い根をほぐします。このとき、全部の土を落としてしまうのではなく、優しくほぐして新しい鉢に収まるくらいになれば良いとのこと。鉢にも正面があるので見極めますが、丸い形の鉢は、鉢底の穴から水が出てくるところを正面にしないのがポイントだそうです。

今回は大きい苗1本と小さな苗2本の計3本を一つの鉢に寄せ植えするので、それぞれの枝の向きや流れを素人なりに考えながら位置を決めます。村田先生の「空間を作る」という盆栽家っぽい教えが妙に嬉しかったです。

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先に鉢にセットしておいた針金を使って入れた苗を鉢に固定し、細かな赤玉土を隙間に入れていきます。

 【苔でお化粧して完成!】

さあ、植え付けも終わり、最後に苔をピンセットで土の上に置いてアレンジします。苔が少なければ枯山水風に苔をポイントとして配置するのもデザインとしてオシャレです。

f:id:katsuo_24:20171007200658j:plainええ、私は貧乏性なので、苔をたっぷり使ってしまいました。完成後はお水をたっぷりあげ、飾り用の地板(じいた)をお借りして撮影タイム。ああ、久しぶりに満足感たっぷりです。

 

【後日談】

ワークショップで寄せ植えした長寿梅ちゃん、我が家に来てから毎日お水をあげておりましたが、可愛らしい蕾をつけました!感激です!

日々変化し、成長する姿を楽しむことができるアート、盆栽の楽しみを味わっております。盆栽は、見るだけでも楽しめますが、育てると愛着がわいてこれまた楽しいものです。

キューポラだけじゃない、川口

埼玉県にはあちこちに盆栽ゆかりの地があります。その中でも都心に近いエリア、川口安行は小品盆栽を扱う盆栽園が多いのが特徴です。「川口=キューポラ」ってイメージできるかどうかでジェネレーションギャップを感じますね。キューポラについては、ググってください。(←放り投げ)

 

【盆栽園多すぎやねん】

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変な関西弁使うな!とツッコミ受けそうですが、どこから行ったらよいのか分からない。というのが、川口安行の盆栽園です。その数の多さったら盆栽園マップ見てびっくりです。ネットで地図を確認し、何となく大きそうな場所を中心に行ってみようと思いました。

 

【JAあゆみ野安行園芸センター】

いきなり上の写真の盆栽園マップに載っていないところですが、車で出かけたため、大きな建物で駐車場も広いJAあゆみ野安行園芸センターに立ち寄りました。花や観葉植物、人気の多肉植物、樹木の苗木が広い園内にたくさん置いてあります。盆栽もハウスがあっていくつか置いてありましたが、どうもこちらでは盆栽は少し控えめな感じです。

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入口付近で青い色彩が目を引き、つい竜胆(りんどう)と桔梗(ききょう)の苗を購入しちゃいました。鉢植えの花は盆栽に比べると安いですね。そりゃ、盆栽は何年もかかって育てているので手間が違います。

 

 【新小雅良(しんこがら)盆栽共同組合】

JAで盆栽園の場所を尋ねたら、すぐ近くの共同販売所を案内してくれました。あまり集客に力を入れていない脱力感を醸し出しつつ、緑の蔦で覆われた看板があります。

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一抹の不安を感じながらも中に入ってみると、ハウスの中に盆栽がずらりと並んだ販売所でした。知る人ぞ知る感じの施設外観とはギャップがあり、中は整然と小品盆栽が並んでいます。 

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「ちいさいなー」というのが私のファーストインプレッション。当たり前です。小品ですから。今まで、大きな盆栽園めぐりで中品や大品を多く見ていたので、まず大きさの違いで可愛らしく見えます。

小品の盆栽は、可愛らしくて好きですが、無精者の自分には、水やりを神経質に気にしなくてよい中品くらいが向いているかもと最近思うようになりました。この小さな鉢の中で小さく育てるというのはとても高度な技術が必要な気がします。

 しかし、今の住宅事情から室内に飾ることを考えると、様々な種類の小品盆栽があると季節ごとに楽しめそうだという、ムラムラした欲求が出てきて悩みどころです。

 

【鉢もどんだけ】

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こちらの共同販売所、盆栽鉢も溢れんばかりに並んで販売されています。大きなものはそれなりのお値段ですが、小さなものは数百円とお手頃価格。いつか必要になったときにはこちらも購入場所として良いかも、とメモメモ。

 

【樹里安(じゅりあん)】

「樹の里、安行」という、見るからに当て字ですが、誰もが一発で覚えてしまうネーミングという点で成功ですね。ベタでも何でも、覚えられてナンボです。ここで盆栽展があるという情報を盆友から聞き、限られた時間でしたが急遽行ってみました。

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【盆栽展】

樹里安は施設自体が道の駅という、広々した敷地ですが、その中の建物の中にイベントスペースが設けられ、出品点数も程よく並べられています。この時は秋の山野草を中心に展示販売という形式で並べられており、お手頃価格の盆栽がいっぱいです。

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地板や飾り棚、メダカまで販売されているのは驚きでした。そういえば、盆栽美術館の展示で、盆栽の下に釣りをしている豆粒サイズの人形が置かれ、その下には水が張ってあり、メダカが泳いでいた盆栽作品がありました。そのジオラマのような盆栽の風景にとても癒されましたね。いつかそんな風に飾ってみたいものです。

 

【目が合ってしまった】

販売者兼イベント管理されていらっしゃる方にコーヒーを勧められ、お話ししながら色々盆栽を見ていたら、私が以前から欲しかった吊花真弓(ツリバナマユミ)と目が合ってしまいました。ああ、これはもう運命。よくペットショップで子犬と目が合ってしまい、連れて帰らずにいられないというあれです。 

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購入時は緑色だった実が、ここ数日でどんどん赤く色づき、実がはじけてすっかり秋の風情になりました。さて、来年は自力で実をつけることができるでしょうか?

 

 

次世代を担う盆栽家が静岡に

流ちょうな英語で解説しながら、盆栽のパフォーマンスを行う快活な若者。そんなネット上の動画で見ただけのイメージをもって、彼がいる静岡の盆栽園にお邪魔しました。

 

苔聖園(たいしょうえん)

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静岡市の東部、日本平動物園の近くに盆栽園があることを、静岡市出身でありながら、盆栽初心者の私は存じておりませんでした。しかし、ネットで気づいてからどうしても行ってみたい盆栽園の一つになっており、ようやく出かけてみました。

車でないと行きにくい場所ですが、道路脇からすぐにガラス越しで盆栽園が見渡せるつくりになっているため、モダンな庭園のようです。解放感があるのでとても入りやすいのがいいですね。

 

【いきなり二代目登場!】

アポなしで突然お邪魔したにもかかわらず、ネットで見たあのパフォーマンスをしていたお兄ちゃんが、入口入ったとたんに立派な真柏(しんぱく)の盆栽の横に現れました。ラッキー!あの人だ!お話し伺いたい!と思っていたら、とても気さくに「いらっしゃい」と話しかけてくれました。

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園主さんはお父様なので、漆畑さんと名字で呼ぶのも紛らわしいと思い、失礼ながら大雅(たいが)さんと呼ばせていただきました。カッコいい名前で羨ましいです。

初代園主は、寡黙に作業場でお仕事されておりましたが、気遣って「お茶飲んでいって」と促してくださいました。

 

【ワンポイントアドバイス

そりゃ、若いと言っても、長年盆栽業界でお仕事されていらっしゃる方です。こちらの知識や技量もすぐにお見通しで、私の拙い質問にも丁寧にお答えくださいました。

自宅の五葉松のボサボサ感をなんとかしたかったので、口頭で状況を伝えてお手入れ方法を質問したところ、「風が入らないってことだね?」と、近くにあった五葉松を見本に、「まずは、こういう風に生えている去年生えた古い葉を落とせばいいよ。それでも風が通らなかったら邪魔な枝は切っていいよ」と実物で解説してくれました。

なるほど!本を読んでもなかなか分かりにくいのですが、実物で解説してもらえるととても分かりやすい!百聞は一見に如かずです。

 さらに、初心者の私が気軽に手入れ方法を聞く場所がなくて困っていることを察して、「この本がいいよ」とオススメしてくれました。

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もちろん帰ってから速攻ネットで買いましたが、今は発行されていないため、中古本を購入しました。本は古くても、盆栽の歴史はもっともっと古いので、書いてある内容がすぐ時代遅れになるファッション誌のような類のものではありません。こういう点で、盆栽の本は中古でも良い参考書となります。

 

  【こんなところで盆栽アカデミーの話】

私が今年盆栽アカデミーに通ったことをお伝えしたら、さすが二代目はご存じでした。ご存知どころか「Aさん知ってる?」と、私がアカデミーでお世話になった方の話になり、急に親近感がわいちゃいました。盆栽界では今年始まったばかりのアカデミーのことも知れ渡っているのだと驚きました。

「中級コースの抽選に落ちちゃったんで、ブログのネタ困って盆栽園めぐりのネタあげているんです」と言ったら爆笑されました。

その後、別の機会にAさんから「大雅さんは日本の次世代の盆栽界を担うお一人です」と伺い、改めて感心するとともに、スゴイ二代目と同郷というだけで嬉しくなりました。

 

 【ついに真柏入手】

片手に乗るような小品(小さい盆栽作品)からどっしりした大品(大きな盆栽作品)まで、広い園内いっぱいに並べられていましたが、私のお小遣いで買える真柏の盆栽を購入したいと言ったら、色々ある中から選んでくれました。まだ目利きができないうちは、予算と希望の樹種(じゅしゅ)を伝えて見立ててもらうのがいいですね。

そして、「こっちは将来性がないからこれもついでにどうぞ。色々チャレンジしてみて」とオマケしてくれました。超ラッキーです!

しかし、初心者の私には、どちらが将来性あって、どちらが無いのか、見分けがつきませんでした。わかりますか?

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 左が将来性無い方とのこと。うーむ。まだまだ修行が足りないです。しばらくは水やりだけで眺めて暮らすことになりそうです。

 

【実は盆栽を育てやすい気候の静岡】 

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 静岡ってお茶とみかんのところだよね~というイメージですが、あるんです。ここにも盆栽が。そして、雪が降らない温暖な気候は、実は盆栽にとても適していると気づいたので、老後の静岡移住計画も盆栽と共に移れそうです。

 

過酷な環境、それでも生きる姿を求めて

盆栽づくりの参考にしようと、長野県で比較的アプローチしやすい山に2つ登りました。どちらも花の百名山です。8月の記録ですが、一緒に夏山を惜しんでみてください。

 【根子岳(ねこだけ)2,207m】 

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根子岳から四阿山(あずまやさん)へ向かう尾根から見下ろした谷。

ラグビー夏合宿が真っ盛りの菅平高原にある牧場を通り抜け、標高2,207mの根子岳にトライ。今年の8月はまるで梅雨のように連日の雨だったため、雨が降らないタイミングを探す方が一苦労でした。

 

【癒し効果と清涼感】

数日前からストレッチはしたものの、日頃何のトレーニングもしていないので、少しの登りでも息が上がり、結構辛いです。しかし、さすが花の百名山、、霧がかかった中で高山植物の花々に癒されます。

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▲「ハクサンシャジン:白山沙蔘(キキョウ科)」 8/12撮影

今回のテーマは盆栽の参考となる樹木です。牧場の草原を脇に眺め、登り続けると白樺林が出てきます。ここでは目にも涼しい風が吹いてきそうです。実際登山中は汗だくですがね。

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白樺は高原を代表する美しい樹木ですが、これだけ群生しているところも珍しいと思います。美しいです。このミニチュア版が鉢の上で再現できたら、、老後に歩き回れなくなったら欲しい盆栽の一つです。果たして暑い下界でも育つのでしょうか?

 

 【高山の樹木は元祖ラガーマン

 厳しい風雪に押され続けてもぐっと立ち続け、枝葉を伸ばそうとする姿は樹木の生命力を強く感じます。麓で練習していたラガーマンのような屈強な足腰なのでしょう。風の向きの影響をそのまま受けた形で枝も伸びているのが、下界の穏やかな気候で育つ樹木との違いです。立ち枯れた木もそれが当たり前のように風景に馴染んでいます。人が手を加えないままの自然、これに勝るものはないのでしょう。

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盆栽は、自然の風景を生活の中で再現したいという、勝手な人の欲望でもありますが、自然を大切に想う心は、植物を育てたことがある人は皆同じでしょう。だからこそ、水やりや手入れも行い、長く愛着もって育てたいと願うのです。犬や猫、観賞魚といった動物と同じように、人と共存し、人に精神的な安らぎを与える重要な存在です。

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 【アクロバティックな草花たち】

2,200mの高山の植物たちはその可憐な姿とは裏腹に、ものすごく逞しく育っています。栄養も無い岩場で、マイナス20度にもなるような厳しい冬も乗り越え、それでも生きています。

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▲この写真は横向き回転にしているのではなく、この草木が岩の裂け目から横向きに生えているのです。

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 そして、岩場に咲く可憐な花。「イワインチン:岩茵陳(キク科)8/12撮影」でしょうか。この足元は断崖絶壁で写真撮るのもヒヤヒヤでした。しかし、山の上は気持ちがいいものです。人間も自然の中にいると、様々な煩わしさから解放されますね。

 

 【木曽駒ケ岳(きそこまがたけ)2,956m】

 いつでも行けそうだけど、いつか行きたいと思っていた山の一つ、木曽駒ケ岳にも登りました。ロープウェイで標高2,600mまで行けるので、アプローチしやすいのが有難いです。そのロープウェイから見える景色は、まさに天然ジンシャリの宝庫!ジンシャリとは、盆栽用語で枯れて白くなった樹木の枝や幹のことを指します。枯れた部分までも美しいと思うところが詫びさびの世界なのでしょう。

 

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そして、石付盆栽の参考になるような壮大な風景も眼下に広がりますが、このロープウェイの売りは「高さと速さ」なので、ゆっくり鑑賞しているゆとりは全くございません。

 そしてロープウェイを降りたらすぐに千畳敷のお花畑が広がります。8月は高山植物の花々が咲き乱れており、観光客もいっぱいです。霧が濃くて山々の遠景は望めませんでしたが、お花は見事でした。ここでお花の写真を撮りすぎて予定ペースを大幅に遅れての登山開始となりました。 f:id:katsuo_24:20170911181149j:plain

 ▲クルマユリ:車百合(ユリ科)8/22撮影

 そして、山頂付近では下の写真にある不思議なお花?周りの景色との調和で芸術作品のような植物に遭遇。これだけで盆栽になりそうな景色です。

こちらは、「チングルマ:稚児車(バラ科)」の花後の果穂だと、下界に戻って図鑑で調べて初めて知りました。お花は白く丸い形の可愛らしいものです。タイミングよく素敵な姿に出会えました。 

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  【木曽駒御朱印効果か!束の間の晴れ間】

忘れちゃならないのが、ここは標高ほぼ3,000mの高山です。空気も下界より薄いです。尾根での体感風速は20mくらいの暴風ですが、眼下に雲が見える景色は格別です。

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あいにく連日霧の登山でしたが、ほんの30分ほど、強風で霧が晴れた瞬間がありました。木曽駒ケ岳山頂の御朱印をいただいたおかげでしょうか。木曽駒ケ岳を馬の背から望む絶好の位置で、「ああ、晴れるとこんなに元気が蘇るのか!」と、疲労で折れそうになっていた気持ちを吹き飛ばすことができました。お天道様、ありがとう!

 

 【天然盆栽園】f:id:katsuo_24:20170911182119j:plain

森林限界を超えた山頂付近は、ハイマツの天然盆栽園が広がっていました。

うわー、これは見事だ!高い値段がつきそうだなーと思うようなものも。

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 しかし、高山植物は採取禁止です。「枯れた木や石も持ち帰ってはいけません」と千畳敷でアナウンスされていました。そうでなくても温暖化で植生も変化している昨今、貴重なものは皆の財産として後世に伝えたいものです。 ということで、これらの姿を盆栽で目指そうとするのですね。きっと。

 

 【剛と柔】

数多くの高山植物と出会えましたが、中でも私のお気に入りは「イワツメクサ:岩爪草(ナデシコ科)」です。寒い霧の中、朝露をためた1㎝にも満たない花が、岩の隙間に健気に咲いていました。清楚でいながら強さを感じる花です。f:id:katsuo_24:20170911182446j:plain

毒づいていた私もデトックスして純粋な心を取り戻せた山行でした。また毒素が溜まってしまったら、この写真を見て取り戻そうっと。

さて、1億円の盆栽はどれでしょう?

東京にあるメジャーな盆栽園といえば、ここ、春花園さんに今回はお邪魔しました。盆栽園というのは敷地面積を必要とするため、なかなか都心部ではお目にかかりませんが、東京の江戸川区に著名な小林國雄氏の盆栽園がございます。

 【各国の国旗でお出迎え】

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都営新宿線瑞江駅から路線バスでの旅。こんな機会でもないとなかなか選ばないルートなので行くだけでも新鮮です。そしてバス停から徒歩約2分。各国の国旗がひときわ目立つ壁が。かなり派手なお出迎えです。

この日は中国人のお客様がいらしていたようで、日本国旗と中国国旗が入口に飾られていました。国際交流に一躍買っていますね。(ちなみにこちらの盆栽園は美樹館として入場料が必要です。)

 

【1億円って。。】

何も事前勉強せずに伺ったのですが、友人たちと園内散策していると、盆栽園をご案内されていらっしゃる方が「これがテレビで1億円として紹介されたものですよ」とサラッとおっしゃいました。

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一同、あ然です。(こ、これが、一流芸能人になれないってことか。。)

「こっちのも1億円ね」と紹介されたのがこちら。樹齢も優に500年を超えているようです。

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その堂々とした姿は一般の盆栽という机に乗るようなサイズのイメージよりもかなり大きく、ほぼ樹木です。(伸ばしている枝は、その部分の枝の勢いをつけるために伸ばしているとのことです)

 「こっちはお買い得で、3,000万円ですよ」

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お買い得って。。もう、感覚がおかしくなります。言葉も出ません。とにかく「へぇー」の連発で、バカ丸出しです。もちろん、他にも多くの素晴らしい盆栽たちが数えきれないほど展示されています。

 どうやら見学だけの私たちと違い、中国人のお客様は、丁寧に盆栽の説明を受け、ご購入をお考えのご様子。羨ましいです。

 

【日本建築の美術館にうっとり】

 お庭の立派な盆栽たちの奥に日本建築の建物がとても自然に配置されており、自然と足が向かいます。その縁側や軒先の空間が私たちをゆったりといざないます。そこには、デジタルではないアナログの空気が流れていました。

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美術館の中に入ると、まるで武家屋敷に入ったように、凛と背筋が伸びるようでいて、懐かしいような不思議に落ち着く空間でした。

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床の間飾りも盆栽美術館の展示のような正統派の飾り方です。都内の個人の盆栽園でここまでの贅沢な空間を演出できるってすごいです。

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そろそろ休憩したいなーと思っていた矢先に、美術館の方が離れでお茶を出してくださいました。ナイスおもてなしです!

 写真だけでなく装丁も美しい小林先生の書籍やイギリス国籍のお弟子さんの見事な英語版盆栽手入れ解説本などもご紹介いただき、お茶を頂きながらしばし休憩。

さらに、一人ずつに小さなもみじの苗もお土産にくださいました。小さくてか弱そうなもみじの苗、無事に育てられるかちょっと不安ですが、お気遣いが嬉しいですね。

 

【ラッキー!小林國雄氏と遭遇!】

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私たちが園内の2階部分の盆栽展示兼育成場を拝見していると、園内でザワザワと人が集まりだし、国旗が見えます。ん?先ほどのお客様のご成約でしょうか?おめでとうございます!お?あそこに見える白いシャツは、、もしや小林先生では?と近寄ってみたら、小林先生と中国人のお客様方が記念撮影をされていらっしゃいました。

これは便乗するしかない!と勢いに任せて声をかけ、小林先生と写真撮っていただきました。ちょうど迎賓館からお戻りになられたところでお忙しいようでしたが、写真撮影もご快諾いただき、教室のご案内もしてくださいました。

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門下生たちの氏名が木の札でかかっているのも道場っぽいですね。右下の筋肉隆々の逞しい男性の写真は小林先生の若かりし頃のお写真だそうです。現代のもやしっ子たちと大違いです(笑)。

 

【きちんとご供養も】 

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腕の良い盆栽師でも台風や年月の経過、病害虫で盆栽が枯れてしまうことがあるのでしょう。自然相手なので永遠はありません。それをきちんと供養塔を建てて供養されているところは、ご立派だと思いました。とても私の自宅に供養塔は建てられませんが、もし枯れてしまったら、感謝と哀悼の気持ちをもって丁寧に供養しようと思いました。こうした点も見習いたいものです。

巨匠、木村正彦氏登場!

「盆栽エバンジェリストへの道」ブログ、抽選に落ちたら続ける気力もダウンしてしまいましたが、暑い中訪問し、せっかく撮影をご快諾くださった盆栽園のことを共有しないのももったいない話なので、アップすることにしました。どうぞよろしくお付き合いください。

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【木村正彦氏の盆栽園へ】

盆友のお一人が盆栽界の巨匠、木村正彦氏の盆栽園のお近くにお住まいとのことで、一般公開はしていないという木村正彦氏の盆栽園に数名で伺うことにしました。木村正彦さんといっても私のような初学者はネットや雑誌でしか拝見したことがない方で、重鎮で怖そうだな―というイメージしか持っていなかったので、恐る恐る皆について行ったという感じです。

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ジモティの盆友に道案内をお願いし、埼玉のとある住宅街を歩いて道から奥まった静かな緑深いお庭に入って行くと、突然視界が開け、そこにずらりと大きな盆栽たちが堂々と並んでいました。おおー!こんなに無防備に盆栽たちが並んでいるけれど、きっととんでもなく高いに違いない!と一目でわかるものばかりです。当然ホームセキュリティーとか保険入っているんでしょうね。触って落としたら一生雑草取りしても返せません。

 【巨匠登場!】

ちょっとして、盆友がお弟子さん通じてお願いし、木村先生ご本人が私たちの前に出てきてくださいました。ま、まさか、ご本人に会えるとは!!勇気の塊のお友達に感謝です。木村先生自らがお庭を案内してくださいました。 

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下の写真にあるような木村先生の独特の石付盆栽の原風景は中国だそうです。実際の自然の風景を盆栽で表現する。これは盆栽の基本と私たちも習いました。作業場前に、中国の切り立った山深い渓谷の霧がかかった岩場に生える樹木の風景写真が飾られており、本当に水彩画のようなその風景があることに驚きました。

 

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石付盆栽の石は、木村先生がイメージして削っていらっしゃるそうです。普通の石は硬くて割れやすいので、砂岩の塊から削り出すそうです。まるで彫刻家!盆栽師って一体どこまで追究するんでしょう。一般ピーポーには思考が到底追い付きません。

 

【お庭の奥には別世界】

 怖そうなイメージと違い、木村先生は私たちをお庭の奥へご案内くださり、事務所でじっくりとお話をお聞かせくださいました。

 またそのお庭のお手入れの見事なことったら!一日眺めて過ごしたくなるようなため息がでるお庭の池には、美しい金色の鯉たちと、夏の暑さを忘れさせてくれる蓮の花がスッキリとした姿で目をひきました。 

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まさか木村先生にお会いできるとは思っていなかった私たち、すっかり質問がド素人丸出しで、聞く話聞く話初めてのことばかりでポカーンでした。書ききれないので( ゚д゚)ポカーンの話をいくつか。

 

【( ゚д゚)ポカーンその1】

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壁にずらりと並んだ写真、これ全て何らかの賞を受賞した作品です。内閣総理大臣賞もゴロゴロ。盆栽界の最高の賞、国風賞も何度も受賞されている木村先生、雲の上の存在すぎです。

 

【( ゚д゚)ポカーンその2】

これまで手掛けた盆栽のビフォーアフターをファイリングされていらっしゃいました。どのページも「えええっ?これが?こうなるの?」と、まるで狐につままれたような変身ぶり。

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それぞれの素材を見て、その完成形をイメージできる時点で凡人と訳が違います。

 その中のひとつ、こちらは内閣総理大臣賞を受賞した「登龍の舞」です。当時の総理大臣、竹下登氏がまだ銘がついていなかったこの盆栽を見て「命名させてくれ」ということで、登という字を入れたこの銘となったそうです。

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ちょうどお庭に「登龍の舞」が飾られていました。実物はやはり写真では伝えられない迫力があります。

 

【( ゚д゚)ポカーンその3】

お庭で拝見した見事な盆栽たちは、一般ピーポーの私たちでもその名を知っているような世界のVIPが所蔵していたり、プライベートジェットで買い付けにいらっしゃるそうです。日本のお金持ちさん、頑張って日本の宝を守ってください! 

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そんなこんなで2時間もたっぷりお話を伺った私たちに、木村先生は最後に「一流盆栽師になるために必要な7か条」を書いた色紙を見せてくださいました。

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うーむ。感性からつまづいてるかも。。精進せねば。