新春号、深谷ツアーへ出発!

新年あけましておめでとうございます。

さて、元旦の格付けチェック番組での盆栽、皆様は分かりましたでしょうか?昨年小林先生の春花園へ見学に伺った手前、私は外すわけにはいきません!緊張しながらやりましたが、無事1億円の盆栽当てられました。まだ三流ブログ続けられそうです。

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新年の写真はお正月盆栽寄せ植えの群れです(後述の青木園さん製作)。めでたいぞー!いっぱいですね。

本年もよろしくお願いいたします!

  

【出発はやはり土呂から】

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埼玉県深谷市にゆかりのある盆友から深谷に盆栽園があると聞き、深谷ってネギじゃないの?と思いながらも皆で出かけることにしました。大宮盆栽美術館がある埼玉の土呂駅に集合し、ワイワイ車で出かけるのが遠足っぽくて楽しいムードです。

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盆栽園や販売所が多いので1日では周りきれないのですが、ルートを考えつつ周ります。

一度にご紹介しきれないので、二回に分けてお届けします。第一弾は贅沢にもプロが一目置く盆栽園からです。今回ご紹介する盆栽園たちは、プロが通う盆栽園なので、私たち小市民が気軽に一鉢ずつ購入するようなものとは少し違いますが、年末のお忙しい中でも気さくに見学を受け入れてくださいました。では、ご一緒に巡りましょう。

 

【たかはし園芸】f:id:katsuo_24:20180103105002j:plain

こちらは、質量共に驚きの盆栽がずらりと並ぶ盆栽園です。運良く社長がいらっしゃり、私たちを園内案内してくださりました。盆栽は冬でも冬の手入れや鑑賞方法があります。冬は特に葉が落ちて枝ぶりが良く分かるので、樹形が良いものを選びやすいといえるでしょう。

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深谷市は内陸部で冬はとても風が強く寒いところです。小品盆栽はビニールハウスで管理されております。社長が丁寧に一つずつ説明してくださいました。いやぁ、高橋社長の目利きや情報量にはびっくりです。早くも深谷まで遠出した甲斐がありました!

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園内にはこれから出荷を待つ松と梅がずらりと並んでおりました。とても一つずつ選んでいられませんね。園内広いので、全ての盆栽を管理するのも大変そうです。

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 そして、お正月用の盆栽もたくさん準備されていらっしゃいました。寄せ植えは華やかで目を引きます。f:id:katsuo_24:20180103105155j:plain

 お忙しいところお邪魔しましたー!また見学行かせてください! 

 

【瑞光園】f:id:katsuo_24:20180103105313j:plain

たかはし園芸さんから近い盆栽園で、落ち葉も綺麗に掃除されていらっしゃり、入口から庭園の雰囲気です。先代が私たちを園内案内してくださいました。盆友も私のような素人から何年も盆栽歴のある方まで様々ですが、アカデミーとは違ったお話が聞けることが勉強になります。

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大変失礼ながら、都心から離れたエリアの深谷にこんなに立派な盆栽園があるの?と驚きましたが、整然と飾られて管理されている盆栽たちは、その佇まいが既に美術品で存在感が違います。

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美術館兼冬の管理棟という趣の室内に、多くの盆栽たちが鎮座しておりました。去年の私だったら「これって枯木じゃないの?」と言ってしまいそうですが、いやいや、私も成長したものです。これらが見事な枝ぶりの盆栽だということが分かります。

中には国風展に出品予定の作品もあるそうです。一流ですね!

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これは花梨(かりん)です。幹の模様がなんとも綺麗ですね。コケ順も密な小枝も見事です。冬の間にこのように細かな枝まで一枝ずつ針金で姿勢を丁寧に整えていらっしゃるのです。針金は3か月ほどで外すそうです。このような手間をかけて見事な芸術作品になるのです。私の盆栽とは比べ物にならない世界です。

 

【青木園】f:id:katsuo_24:20180103110422j:plain

こちらは瑞光園さんのすぐお隣というほど近い盆栽園ですが、趣がガラリと異なり、自然に馴染んだ空気感が漂っています。肩ひじ張らないゆるキャラ風のご主人は、昨年手術されてその間盆栽の手入れができず、また一からやり直しだと嘆いておられましたが、園内の盆栽たちもご主人の回復を祈っているように見えました。私たちにも裏表なく接してくださるお人柄がほっこりします。

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それでもトップ写真の正月用盆栽を手掛けるご主人の腕は健在です。息子さんがいらっしゃるそうなので、後継者問題もこちらは大丈夫そうです。盆栽園の継続と私たち一般人の趣味は共に支え合っているので、文化の継承という大きな視点からも有難いですね。

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盆栽園って番犬?なのかワンちゃんを飼っているところが多いのです。これはあちこち盆栽園めぐりしているもう一つの楽しみかもしれません。青木園さんのこちらの柴犬ちゃん、とてもかわいくてつい写真撮っちゃいました。戌年ですしね。

 

さて、新春第二弾は、いよいよ私たちの手が届く盆栽販売所です。お楽しみに~!

  

必要から生まれる変な形

気が付けば師走も半ば過ぎ。我が家の盆栽たちも早く冬支度しなければ、、と思いつつまだ手が付けられておりません。ごめんね、冬でも半袖と短パンの子供のように逞しくなってくれ。

 【盆栽道具といえば、昌國】

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初心者なので、全く道具についても素人なのですが、盆栽道具で有名な昌國(まさくに)というお店が川口にあるという話を聞いていたので、行ってみました。

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長年この地で営業されてきたことが分かる、蓄積された重みを感じる建物です。一瞬、私のような素人が入って良いものか躊躇したものの、怯まずにお邪魔します。

 

【博物館も併設】

入ると、「博物館ですか?ご覧になります?」とのこと。しばらくきょとんとしておりましたが、こちらは1Fが刃物の販売店、2Fが刃物の博物館となっております。これは見るしかないでしょう。

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 【ひっそりと、ずっしりと、宝物が】

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珍しい博物館です。昔ながらの様々な道具がずらりと並んでいます。その点数は数えきれないほど。いやはや、よくこんなに集められました。昔は近所の町工場にあったような道具も今では貴重な資料です。

 

【盆栽道具】

盆栽道具ってどんなの?鋏(はさみ)だけじゃダメなの?というところから私は入りましたが、まあまあ、最初は鋏だけでもいいと思います。よく切れるものでないと木を痛めてしまうのでNGですが。ちょっと盆栽植え替えたいな~と思うと、針金切りややっとこという道具も欲しくなります。安い工具でも間に合うので、初めから全部を揃えなくても良いというのが私の考えですが、やはり、数多く盆栽を扱うようになると、専用の道具の便利さに驚きます。 

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そして、用途に合わせてこんなに多くの種類があるのです。冒頭の写真も全部盆栽道具です。

(私はまだまだ違いが分からないヤツなので、今の自分にこんなに道具があっても宝の持ち腐れになってしまいます)

  

【変な形ワールド】

盆栽道具って、通常の生活では見たことが無いようなヘンテコな形のペンチみたいなものがたくさんあります。

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樹に負担をかけずにスパッと一度で切り、後の樹の自然治癒力で傷跡が目立たないように成長できるようにと考えられているのでしょう。

 時々街路樹で見かけることがあると思いますが、樹木はその樹皮に傷ができると、傷の部分を巻き込むように樹皮が成長していくので、傷周りがポッコリと盛り上がってしまうのです。

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枝切り用や根切り用、葉切り用、針金用など、大きさも各種です。大きく樹形を変えるためのジャッキだってあるんです。きゃー。

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昌國では、代々試行錯誤しながら多くの盆栽専門道具を開発されてきました。特に九霞園の園主と昌國との道具開発にかけたお話は業界でも有名です。今では、昌國というブランドは、BONSAIと共に海外でも知られており、海外からのツアー客も訪れるとのこと。

 【鑑定団でも!】

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一見普通の鋏が希少価値とは。。有名なテレビ番組「開運なんでも鑑定団」で発見された初代昌國の鋏だそうです。こうした鋏って田舎のおじいちゃんの家に転がっていそうですが、専門家の道具はやはり違うのでしょう。よく見つかったものですね。小市民には鑑定額が気になります。

 

  【初心者は道具の手入れから】

2Fの博物館で刃物を見学した後、1Fのショップで色々な盆栽道具を見せていただきました。良いものなので、高いのは仕方ないのですが、実際に持たせていただくとさすがに使いやすそうな感触です。当然ですが、専門家が満足できる品揃えです。

しかし、ポンと買えないので、今日のところはお小遣いで買える鋏の磨き用具を購入しました。道具の手入れは意外に重要だと思っています。包丁にも使えるそうです。研ぎ用の石欲しかったのですが、それはまた別の機会に。

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私が次に狙うのは、又枝切です。ああ、こうして道具も沼にはまっていくのか。。

 

自主練なのに高度な技

よい子はマネしないでね、と注意書きテロップが流れそうな高度な技が次々と間近で見られる機会はそうそうないものです。この度、手入れが分からない素人が集まって、盆栽歴20年のエキスパートを招聘して盆栽サークル活動を行ってみました。

▼エキスパートは真ん中で指さしアドバイスされている方

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【素人のお困りポイント】

基本盆栽は毎日水やりしているだけで大丈夫なので、初心者でも簡単に育てることができるのですが、枝ぶりを整えてカッコよくしたいとなると、それなりに手入れをする必要があります。盆栽を買ったはいいが樹形を整えるとなると、途端に壁にぶち当たってしまいます。買った時は綺麗に整っていたのに~(私はイマココ)

分かりやすい盆栽の手入れの本が色々出ていますが、樹種毎の基本の手入れ紹介が多いようです。当たり前ですけど。実際には、その木の個性をどう生かすかということになり、自ずと一本一本違った手入れになるのです。

  

【素材だけはいい感じ】

盆栽を見て触って教えていただいて、まだ盆栽アカデミー初級コースを終わっただけですが、自分なりにいいなぁと思うような視点ができてきました。これは好みもあるので個人差があるでしょう。タイミング良く、私は念願の糸魚川真柏(いといがわしんぱく)の苗を入手しました。しかし、ボサボサに伸びた枝をどうやって手入れしたら良いのか皆目見当もつかなかったので、これは良い機会だと盆栽エキスパートにこの素材でデモをお願いしました。

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 【ジンづくり】

真柏といえば、ジンシャリというくらい特徴的な白い枝や幹ですが、これは人為的に作ります。うわー、樹皮を剥いてしまうなんてかわいそうーという心の声も聞こえてきますが、何も木全体を枯らしてしまうわけではなく、全体を美しいバランスで仕上げるよう、イメージして作るのです。盆栽はかなり小さな鉢の中で少ない土という過酷な環境で育てますが、美味しいトマトを作るとき、実を予め選別して間引いて甘さを実に凝縮させるためにあえて水やりを制限する、という人為的な作業と似ています。

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真柏ちゃんのジンづくりでは、樹皮が必要以上に剥けてしまわないよう、予め切り込みをぐるりと入れておき、やっとこというペンチのような用具で先端から割いてはぎ取っていきます。でもやっぱり痛そう~ごめんね!!

 

【かんぴょう?】

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いいえ、ラフィアです。ヤシの葉が材料で様々な用途に使われていますが、盆栽分野でお会いするのは初めてです。ここでは、強く曲げたい枝の樹皮が痛まないよう、予め保護するために巻いておくテーピングのように使います。

ラフィアを予め15分くらい水に浸して柔らかくしておきます。そして、隙間ができないようにしっかりと枝に巻き付けていき、最後は縛って止めます。

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まるで自分がプロになったような解説ですが、エキスパートのデモをそのまま書いているだけです。剥いちゃうばかりではなく、きちんと保護もしております~

 

【扱いが難しい銅線もなんのその】

枝が太いので、この日のために太めの銅線を得意のネット販売でポチして入手しておきました。(盆栽用の銅線ってホームセンターでは売っていないんですよ。少なくとも私が覗いたいくつかの店舗では)硬くて扱いづらいので、通常初心者はアルミ線で針金掛けを行いますが、エキスパートは楽々太い銅線を巻いていきます。

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最初にどこからかけるか、、これがポイントなのですが、紙面上割愛します。(解説が難しいので放棄しているだけです。すみません。いつか解説できる日がくるといいなぁ。)

 

 【エキスパートは道具の着眼点も素人離れ】

なんでもあるものを利用する達人さんは、盆栽の針金掛けで木が痛まないように工夫もあれこれ考えます。

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新たな技は、針金を掛けた枝をさらに大きく曲げるとき、幹に掛ける針金で木が痛まないよう、針金をゴムチューブに通し、針金を養生して使います。このゴムチューブはなんと金魚の水槽で空気の循環に使うホースだそうです。この発想力がすごいです!そして、この細い針金の両側は既に枝に掛かっている針金に通し、直接幹や枝に針金が食い込むような一点集中のきつい圧力がかからないようにしているのです。これってかなり高度な技です。こんな高度な技を間近で見る機会はないので、私たちはかぶりつきです。

 

【半端ないビフォーアフター

これが、素材のビフォーアフターです。いやいや、あんなにボサボサでどこをどうやったらよいのか素人には恐ろしくて迂闊に手を出せないものが、エキスパートの手入れでこんなにまとまりました。

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とはいえ、まだまだ途中です。一度に多くの作業をすると木に無理がかかり、枯れてしまう恐れがあるため、何年もかけて少しずつ改良を加えていくのです。

そんなわけで、小さくても盆栽は値段が高いものが出てくることになります。世に言う「付加価値」というものですね。いつになったらこんな手入れができるようになるんでしょう。。遠い目。

 

【身の丈にあった練習】

エキスパートの高度なデモを見た後は、素人が失敗しても悔やまないもので針金掛けトライです。ポットの赤松苗にアルミ線を差し込み、針金が浮かないように45度の角度で巻いていきます。

何人かで同じ作業をしたのですが、皆それぞれ違った掛け方になり、こんなことでも個性がでるものかと面白い発見でした。そして、将来の姿をイメージして針金と共に苗を曲げていきますが、これまたどんな形に曲げたらよいのか分からない。。情けないのですが、結局最後はエキスパートに手直しをお願いし、どうにかまともな文人(ぶんじん)の姿に仕立てられました。素人との腕の差は歴然です。参りました!

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 【再生可能】

さて、真柏のボサボサ苗のデモンストレーションで切り落とした枝、無駄にしませんよー。切った後は水につけておきます。その後、切り口をカッターで斜めに切り、反対側も少し斜めに切り、マイナスドライバーの先端のような形にします。そうすることで断面積が大きくなり、水を吸い上げる力がより働くことになるのです。ここも「へぇー」ポイントですね。私は「ルートン」という発根剤をつけて赤玉土の上に挿し穂の土を入れた土鉢に割りばしで穴を開けたところにそっと1本ずつ挿してみました。

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できれば挿し穂も9月~10月頃が時期的に良いようですが、今回11月中旬に行ったので、どれだけついてくれるか。。分身を増やすのじゃー!!

 

【エキスパートのお道具】

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今回デモを見せて、私たちにアドバイスしてくださったエキスパートの方のお道具は、道具箱から少し出しただけでもこんなにありました。盆栽の道具ってなんでこんなに色々あるのか不思議ですが、用途があってこれだけ種類も増えるんでしょうね。まるで、伝統技能の職人さんが持っている「ノミだけで何十本」というイメージです。カメラの世界のレンズ沼だけでなく、この世界も沼がありそうです。

 

 

小品盆栽の粋、秋雅展

盆栽の展示会というものが、全国各地で年中開催されています。私にはたくさんありすぎてよくわかりません。今回は盆栽園の方に勧められ、小品盆栽のメジャー展示会「秋雅展(しゅうがてん)」に行ってみました。

 

【上野グリーンクラブへ】

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11月3日文化の日は、晴天に恵まれ、上野駅は次々と人を吐き出しておりました。この時期、上野は美術館や博物館、動物園、公園と、様々な施設でそれぞれ展示やイベントが行われており、休日の朝はそれぞれの目的地に分散していきます。人々は、色づく銀杏並木の中、目でその美しさを堪能しつつも、鼻を刺激する銀杏のにおいから逃れるように足早になります。

 【秋雅展】

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これが今回のメインイベントです。東京地区で開催される最大の小品盆栽フェアーで、上野グリーンクラブという上野公園から少し歩いた場所にある会場で開催されました。私は盆栽アカデミーで一緒だった友人たちと行ってみました。

 

【集まった集まった】

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まあ、よくこれだけの展示数が集まったものだと感心するほど、多くの小品盆栽の展示がありました。小品盆栽の飾り棚は独特で、棚の上や中、棚と離れた位置に小さな盆栽を飾り、小振りの掛け軸を飾るなどして全体で一つの席飾りとして展示されています。

中には指先ほどの小さな鉢できちんと実をつけている作品など、思わず「ほぉ~」っと近くに寄ってため息が出てしまうものもあります。どうやったらこんなに小さな鉢で実がつくのか、、それまでのお世話の賜物でしょうね~

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河野洋平さんの作品もございましたよ。全体の席飾りは写真がうまく撮れなかったので、小さな作品とお名前部分だけアップで。カエルが風流ですねぇ。個人的な推測ですが、お忙しい方は、きっとお抱えの盆栽師さんがお世話されているんでしょうね。

 【凝縮された作品たち】

百聞は一見に如かずです。グタグタした話より写真でいくつかご紹介します。どれも樹高20cm以下の小さな作品です。

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 【お気に入りはフォルムが美しい作品】

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枯れているのではなく、落葉している木なのですが、密度の濃い細かな枝先が見事で、飾り台の根卓(ねじょく)との一体感でフォルムの美しさが相乗効果となり、その流れを受けるように置かれた塔の置物がさらに引き立て役となり、全体で中国の水墨画のような独特の雰囲気を醸し出しています。会場にはいくつか部門が分かれており、「秋雅賞」がそれぞれの部門で選ばれていましたが、こちらも秋雅賞を受賞されていました。

 【販売会場】

さて、鑑賞の後は、屋外での販売会場を回ります。各地の盆栽園が所狭しと小品盆栽や苗、鉢、道具などを並べており、ワクワクする会場です。

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特にこれと目指しているわけではなくても、色々物色していると掘り出し物が見つかって楽しいものです。手をかけて年数が経っている見事な盆栽は何万円もするので買えませんが、自分でこれから育てるものなら手が届くお値段で販売されています。

ケチな私は、添えになりそうな指でつまめるサイズの小さな苗と、それに合いそうな鉢を購入しました。笹の苗が200円、ヒナギクの苗が500円、鉢もそれぞれ200円、500円という安さです。それでも、何か買うと満足度が一気に高まります。

  

 【小品作ったどー】

後日、植え替えの時期って春なんだろうなーと思いつつ、ビニールポットでは悲しいので、秋雅展で購入した苗を早速鉢に植えつけました。

笹とヒメサクラヒナギク、どちらも樹高7㎝の小品盆栽となりました。無事に根付いてくだされ~ 

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今の時期だけの花を楽しむために玄関に置いてみましたが、小さくてもなかなか絵になります。

害虫と病気のキモイ話

成功した話、美しい話より失敗した話の方が恐らく世の中には出てきにくいものです。しかし、そうそううまく行くわけないのが世の常。今回は、体を張って病害虫にチャレンジしたお話です。

  

【始まりは突然に】

9月上旬、毎朝の日課になっている朝の水やりですが、この朝は石榴ちゃんに1cmくらいの白いふわっとした綿のような塊が付いているのを発見。なんじゃこりゃ!です。周りをよく見ると、別の葉の裏にも同じようなものがありました。

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何かの卵でしょう。卵だけではどんな虫の卵か判別付かないのですが、孵化するのを待って昆虫観察するほど私は優しい人間ではありません。即、葉っぱごと削除しました。

この後、何事も無く石榴ちゃんは無事なのでまあ、これで第一レベルクリアです。

  

【天敵登場!】

10月中旬、水やり時にふと目をやった五葉松くんに小さな緑色のワームを発見しました。体長は2cmほどで太さは3mm程度。なんてこった!!ワームは子供の頃のトラウマから、天敵として戦って(逃げて)きましたが、またここで対決しなければならなくなりました。

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しばらく五葉松くんをよく観察していなかったことが悔やまれましたが、今は退治が先です。素性が分からないけれども、消防隊員並みの速さで武装して挑みます。手袋とピンセット、捕獲用トレーを装備し、五葉松くんを棚から下ろして丁寧に敵を探すと、、

出るわ出るわ、10匹ほども隠れていました。ワームだけでなくこちらも気絶寸前です。

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その時に取りつくしたと思っても、翌日も2匹発見しました。

今はネットという有難いツールがあるので、早速素性リサーチです。どうやらこいつ等は「マツノミドリハバチ」という害虫のようです。彼らも必死に生きているものの、マツは食べられて枯れてしまうため、盆栽にとっては害虫です。付いた先が悪かったな。合掌。

 またこいつらが大量発生してはかなわないと、ネットで調べ、早速薬剤と評判が良かった霧吹きを購入。しかし、目を皿のようにして数日間五葉松くんを観察しつづけていますが、ワームはその後現れないので、薬剤は散布していません。

できるだけ自然の力で育てたいと思っているので、盆栽自身に強く逞しく育ってほしいと考えています。強くなるのだぞ!

 

 【次は病気か?!】

ゲームのステージで次々現れるアクシデントの如く、盆栽を育てていると色々出てくるものです。

もうすぐ紅葉を楽しめると心待ちにしているモミジの葉がカサカサして白っぽくなっております。紅葉に向かって色が変化しているんだろうなーなんて呑気に放置しておりましたが、いやいや待てよ、これは巷で評判の「うどんこ病」ではないのか?!と、急にアラート発令です。よく見ると、他の葉もうっすらと白くなっています。うーむ、紅葉とは葉が紅くなるもの、、だよねぇ。

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恐らく病気でしょう。というわけで、もうじき落葉の季節なので葉を取ってしまうのも惜しく、今回は野菜にも使える薬剤散布で様子見です。

 

 【最後は天候という最強の力が】

そんなこんなで病害虫の駆除をしたと思ったら、五葉松くんの葉っぱが毎日数本ずつ枯れていくというなんだか寂しい出来事が続きました。枯れたものは緑に戻らないので、日々つまんでいたら、どんどんスカスカになって心配に。

最初はワームが食べたせいかと思っていましたが、どうやら最近の長雨と急に寒くなったせいではないかと友人からのアドバイス。また、大先輩に聞いたところ、「来年の芽と今年出た健康な葉が数本残れば大丈夫」とのこと。よく見たら枯れたのは古そうな下の葉でした。

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これで五葉松くん枯らしちゃったらアカデミー初の落第生です(汗)。どうにかまだ面目保てそうでほっとしました。

 

 【病害虫対処アイテム】

病害虫駆除の基本は物理的に取り除くことが一番だと思っております。虫や痛んだ葉を取り除き、他の健康な部分に被害が広がらないようにするという基本的なことです。

そして、取りきれない害虫の駆除や病気の蔓延を防ぐために薬剤を用いるという方法が良いのではないかと思います。

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【戦いは続く…】

そもそも、野山に自生している植物ならその場所での植生に均衡が保たれていますが、庭や畑、ベランダなどで育てる植物は、人が手を加えているため、初めから生態系のバランスがくずれていると、「植物の病気と害虫 防ぎ方・なおし方」という草間祐輔さんの本で書かれております。この本は庭木だけでなく、盆栽にも応用できるので重宝します。

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人間って自然に対してほんと勝手だと思いますが、身近に植物があると癒されるんだもん。。大事に育てるからね~

 

引継ぎ、成長するアートのはじまり

盆栽は生きています。その寿命は、樹種(じゅしゅ:樹木の種類)にも寄りますが、草もの盆栽の1年のものから、何百年と生き続けている盆栽もあります。限られた時間の間に最高の美しい姿を楽しむ切り花との一番の違いといってもいいでしょう。鑑賞するだけでなく、育てることで愛着が深まる、これが魅力なんですよねー。

 【いらっしゃい真柏ちゃん】

我が家に初めてミニ真柏ちゃんが来たのは、静岡の苔聖園(たいしょうえん)さんから持ち帰った今年9月上旬のことです。(▽ミニ真柏ちゃんの針金外しをしてくれている大雅さん)

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この小さな真柏ちゃんは、苔聖園さんが愛好家の方から引き取った時から針金が幹に食い込んでいたようです。たくさんあると手入れも追い付かないのでしょう。針金が食い込んだ樹は、見る方も痛々しいですね。食い込んでしまった針金を樹を傷めないよう外すことが私にはできないことを見越して、二代目の漆畑大雅さんがサービスで針金を外してくださいました。ありがとうございました!

その後、埼玉の我が家に来たミニ真柏ちゃんは、肥料を置いた後、水を毎日あげるだけで放置、いや見守っておりました。

 

 【いざ!改作チャレンジ】

盆栽の面白さというのは、美しく整えられた盆栽を愛でるのも良いのですが、制作過程も大変面白いものです。ペットの子犬にお手やお座りを教えていくようなイメージです。その成長が楽しみなのです。盆栽の場合、樹の将来の姿を想像しながら美を求め、樹形を整えていくことに醍醐味があります。(なんて偉そうに言っていますが、一人ではまだできません。)

そこで、今回体験レッスンで藤樹園(とうじゅえん)にお邪魔して、周りの方たちに教えていただきながらチャレンジしてみました。(▼7月にお邪魔した時の写真)

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【正面と頭】

盆栽は正面をまず決めます。幹が一番美しく見える方向で、枝の位置や角度、全体のバランスを見ながら頭もどこにするかも決めます。初心者の場合、自分で思う向きと先生の見立てとは違うことも結構あります。(ええ、もちろん私は初心者です)

そして、イメージが出来上がったら、不要な枝は切って整えていきます。またしても「ええー!ここ切っちゃっていいんですかー!?」っていうところを切るようご指導いただきました。チョキッ!

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(▲手入れする前の真柏。どこを正面にしてどこを頭にするか決めておきます。)

 

【初めてのジン】

ジンってお酒ではなく、盆栽用語で枯れた枝のことをいいます。(寒いダジャレすみません。シャリは幹の枯れた部分のことです。)生きている部分と枯れた部分が共存し、その対比の妙を美しいと感じる、なんとも樹にとっては迷惑な人間の勝手な美意識ですが、確かに美しいのです。ここがアートになっていく過程です。鑑賞用として育てる意志をもっての手入れなので、ご容赦ください。またペットの例で恐縮ですが、美容院に行って美しくカットしていただくようなものです。

真柏(しんぱく)という樹種は、ジンシャリが見どころになります。ジンは樹皮を剥いて作るのですが、残したい樹皮まで剥けないように先に切り込みをぐるりと一周入れてから剥くようにします。

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ペリペリ、ツルリと、ライチの皮を剥くような感覚です。なんとも楽しい!

 

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(▲ジンを作ってから2週間後)

 

【針金掛け】

針金掛けも初めてチャレンジします。枝の太さに合わせて針金を選びます。アルミ線と銅線がありますが、初心者にはアルミ線が柔らかくて扱いやすいようです。銅線は硬いのですが、だからこそ枝の曲げが利きやすいということになります。予め、掛けたい枝の長さの1.5倍くらいの長さに針金を切っておきます。

針金の掛けはじめは自分では分からないので、教えていただき、後は45度の角度でくるくる巻いていきます。この時、枝と針金の間に空間ができないようにするのがポイントだそうです。そして、元々の針金が食い込んだ部分は避けて巻きます。

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本で見るのと実際にやってみるのは大違いです。最初はやはり知っている人に教えていただくのがいいですね。

 【お手当て】

今回の作業も加わり、元々の針金の食い込み部分が少し痛んでしまっていることを、大先輩の方が発見し、その部分に補修材を塗ってお手当てしてくださいました。素人には気づきにくいので、こうしたところから枯れてしまうのかもしれません。盆栽だけでなく、植物育てていらっしゃる方は、皆枯らしたくて枯らすのではなく、何らかのきっかけで枯れてしまう場合があるので、できるだけ防ぎたいと思う心は一緒でしょう。

 【ビフォーアフター

こちらがミニ真柏ちゃんのビフォーアフターです。今後、何年かかけてこの針金が取れる頃には美しい姿になってくれるであろうことを期待しています。

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 ▲Before               ▲After

ちなみに、ビフォーと同じ向きから撮影したものを並べますが、これは今回の作業で裏側になりました。

正面の姿はこちら▼一番上の小さなジンが可愛らしくアクセントになってくれました。頭はジンの右側のちょこんとした立ち上がりの枝部分です。

(幹を大きく曲げる部分は、針金が食い込まないようゴムのチューブで保護してあります)

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静岡のとある盆栽愛好家から苔聖園、そして我が家にやってきたミニ真柏ちゃん、こうして盆栽は引き継がれて次の持ち主に可愛がってもらっていくのですね。

 

【花ものの変化】

盆栽ワークショップで寄せ植えした長寿梅が咲いたので、こちらも成長記録を載せてみます。

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 ▲寄せ植え直後             ▲約1か月後

育てていると、このように変化がある花もの盆栽や実もの盆栽は成長具合が一目で分かるので楽しくなります。

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まだまだ初心者ですが、育てる喜びを少しでもお伝えしたいと思います。

 

 

盆栽ワークショップでエネルギーチャージ

 盆栽美術館では、毎月様々な催しが行われていますが、盆栽ワークショップは大変な人気で、毎回抽選が行われているようです。こちらはラッキーにも当選したので行ってきました。

(▽今回のワークショップで作成した長寿梅の盆栽) 

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【久しぶりの実技講習】

今回申し込んだのは、「長寿梅(ちょうじゅばい)」という樹種の寄せ植え盆栽を作るワークショップです。盆栽アカデミーとの違いは、アカデミーが初級コースだけでも全8回の座学と実技を交えたカリキュラムだったものに対し、ワークショップは初心者向きの体験レッスンという位置づけのようです。机に用意された道具と苗を見て、早くもワクワク感が止まりません。

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 【長寿梅】

梅っていうから梅の一種だと思っていたら、大間違い。バラ科でボケの一種で、花の形が梅に似ていることからその名前がついたようです。そして、面白いことに華道やフラワーアレンジメント、園芸などでは扱われることがなく、盆栽のみで扱われる樹種だとか。その名前からも縁起が良いということで、盆栽界では有名な樹種だそうです。本日の見本として飾られている長寿梅の盆栽は、綺麗に手入れされており、このまま売ってくれ!という感じです。

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 【講師はあの!】

本日の講師は、九霞園(きゅうかえん)という、大宮盆栽町でも由緒ある盆栽園の三代目園主、村田行雄さんです。やったー!これだけでもラッキー!本物の盆栽師から直接教えていただける機会なんてそうはありません。オタクっぽい風貌がいかにも真面目な職人風でシブイです。

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 【道具の使い方から】

村田先生、恐らく何度もこのワークショップやられていらっしゃるのでしょう。手慣れた様子で進行してくださいます。盆栽で使う独特の道具、針金切りやヤットコの持ち方から教えてくれるというのが、初心者に優しい気配りです。また、鉢底にネットを固定する針金の曲げ方も、実物モデルを予めご用意くださっています。おおー!至れり尽くせり!

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 【復習を兼ねて鉢の準備】

盆栽アカデミーで習い、その後自分で買った盆栽苗を自宅で植え替えしたので、鉢の準備は復習という感じで余裕がありました。えへへ。でも、ワイヤー2本を掛けたのは初めてです。色々な技があるんですね。

f:id:katsuo_24:20171007201624j:plainそして、鉢底の赤玉土は私が思っていたより少量で良いとのこと。小さな鉢の中で根を張らせるためには、細かな土を多く入れる方が良いようです。見えないところにも気配りするのが植物に対する愛情ですね。

 

徒長枝(とちょうえだ)の剪定】

ポットに入ったままの苗の徒長枝を剪定します。確かに、鉢に植えてからだと苗の向きや位置などのバランスが想定と異なった時に修正できませんよね。

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枝を切る位置は、枝の色が薄く、今年伸びた部分が分かるので、その下から2、3枚の葉が出た上部分で切ります。ええー!こんなに切っちゃうなんてもったいない!と思うくらいで良いらしいです。盆栽は小さく鉢の中で長い時間をかけて育てるものなので、急がない、急がない。(▽剪定BeforeとAfter) 

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 【いよいよ植え替え】

苗をポットから出し、ピンセットで落ち葉やゴミを取り除き、箸で古い根をほぐします。このとき、全部の土を落としてしまうのではなく、優しくほぐして新しい鉢に収まるくらいになれば良いとのこと。鉢にも正面があるので見極めますが、丸い形の鉢は、鉢底の穴から水が出てくるところを正面にしないのがポイントだそうです。

今回は大きい苗1本と小さな苗2本の計3本を一つの鉢に寄せ植えするので、それぞれの枝の向きや流れを素人なりに考えながら位置を決めます。村田先生の「空間を作る」という盆栽家っぽい教えが妙に嬉しかったです。

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先に鉢にセットしておいた針金を使って入れた苗を鉢に固定し、細かな赤玉土を隙間に入れていきます。

 【苔でお化粧して完成!】

さあ、植え付けも終わり、最後に苔をピンセットで土の上に置いてアレンジします。苔が少なければ枯山水風に苔をポイントとして配置するのもデザインとしてオシャレです。

f:id:katsuo_24:20171007200658j:plainええ、私は貧乏性なので、苔をたっぷり使ってしまいました。完成後はお水をたっぷりあげ、飾り用の地板(じいた)をお借りして撮影タイム。ああ、久しぶりに満足感たっぷりです。

 

【後日談】

ワークショップで寄せ植えした長寿梅ちゃん、我が家に来てから毎日お水をあげておりましたが、可愛らしい蕾をつけました!感激です!

日々変化し、成長する姿を楽しむことができるアート、盆栽の楽しみを味わっております。盆栽は、見るだけでも楽しめますが、育てると愛着がわいてこれまた楽しいものです。