撮影のプロは着眼点も新鮮

日本を代表する樹齢450年の五葉松の銘木「日暮し」が展示されるというニュースと、撮影エリア拡大というニュースを聞きつけ、盆栽仲間の友人に加え、日本美術の学芸員資格をお持ちのプロカメラマン、中村年孝さんと一緒に大宮盆栽美術館に出かけました。 f:id:katsuo_24:20180212170526j:plain

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△中村さん撮影のかえでと野梅(やばい)。辺りに漂う梅の香りが心地よく、幸せな気分になります。

【名木に表裏なし】

お目当ての「日暮し」が飾られている展示場所は撮影禁止なので、写真アップできませんが、盆美のサイトから写真を見られます。写真だけでも風格が分かりますね~。下世話な話をすれば、評価額1億円以上という話題だけで、どんなものかと見たくなります。ヴァイオリンの名器、ストラディバリウスの値段を聞くと途端に良い音色に聞こえてしまう私のような庶民には、分かりやすい話ですが。

それはさておき、写真と違い、実際に近くで見ることの良さといったら、それは「空間の美」を堪能できることでしょう。同時に展示されている掛軸や添えの盆栽、器もどれも見惚れてしまい、なんとも優美な調和された空間がございます。ここでお茶をいただけたら、、なんて妄想が膨らみます。

通常、盆栽は正面があるのですが、「名木に表裏なし」と言われる「日暮し」は、実際に行ってみないとどちらを正面として展示されているのか分からないところが楽しみなのだと教えてくださった盆栽のエキスパートに盆美で出会いました。そして、今は「日暮し」の状態が良い時期のようだと教えて頂きました。同じ樹でも調子の良いときと悪いときがあるとは!またひとつお利口になりました。※展示は2月14日までです。

 【撮影エリア拡大】

これまで盆栽美術館では、建物入口正面の盆栽とお庭の一部が「撮影可能エリア」として許可されていましたが、この度、お庭の撮影可能エリアが拡大されていました。

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△拡大された「撮影可能エリア」(かつおぶし撮影)

これは大変嬉しいことです。丁寧に手入れされている季節の盆栽たちの姿を撮影できるのは盆美のもう一つの楽しみ方です。残念なのは、どうしても背景に色々映り込んでしまうので、盆栽だけの写真が撮れないことです。もっと綺麗に撮れたらインスタもやってみたいのになー。(今はブログだけで精いっぱいですがwww)

さて、プロのカメラマンはこのような規制がある場所でどうやって撮影するのでしょう。私もプロのエッセンスを真似してみようと、後を追っかけました。

 【ポイントを探す】

つい対象物全体を入れて撮影したくなりますが、プロの視点は「まず、この盆栽のどこを一番見せたいか」というポイントを探すことからだそうです。見上げて大樹に見えるように~とこれまでバカの一つ覚えのように撮影しておりましたが、無理に全体を入れなくても、ポイントを絞って伝えたいことを表現するということを学習しました。

▽松の細かな枝と葉の硬質なイメージを伝えたかった写真(かつおぶし撮影)

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 【余計なものを入れない】

そうなんですよ。私もそれは常々思っておりまして。。しかし、お庭の展示では背景に色々映り込んでしまうのです。そこで悩んでいたら、中村さんが背景を逆手にとって撮影されていらっしゃるではないですか!早速真似です。

▽プロの真似して同じ位置から撮った写真(かつおぶし撮影)

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【日当たりを活かす】

私は、盆栽や植物は日陰の方が色がはっきりして良いのかと思っていましたが、中村さんに伺うと、「日陰よりも日向の方がその影が出て立体感が出ます」とのこと。実際に日向側から撮った写真と日陰側から撮った写真を見比べさせてくださいました。そんな見方があったとは。。

それでは、私たち一般人でも撮影可能なエリアで写したプロの写真をご紹介しましょう。

【写真家 中村年孝ワールド】

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上から、野梅(やばい)、五葉松 銘「うず潮」、五葉松 名「敷島」 、黒松

 

【おまけ】

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トップのかえでのシルエット写真を撮影しているときの中村さんのお姿。さすがプロ、良い写真を撮るためなら、こんな姿勢もへっちゃらのようです(笑)。私がやったらうっかり躓いて倒れたのかと警備員さんに心配されそうです。

 

 【お知らせ】

現在、上野で「国風展」も開催されております。前期は終わってしまいましたが、13日~16日の間、後期の展示があります。展示盆栽は前期と全部入れ替えるそうなので、こちらも見逃せない!うーん、体が2つ欲しい!