中級、実技シリーズ <エピソード8 ~時の過ぎゆくままに~>

【思い出して!私は真柏(しんぱく)です】

えーっと、半年近く経ってしまいましたが、記憶の限り思い出しましょう。幸い、盆栽アカデミーではレジュメを毎回配布してくれるので、後から見直しても大変助かります。年間のお手入れカレンダーや管理方法が記載されたレジュメは、初心者には有難いガイドとなりますね。この救いの神(紙?)が強い味方です。

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▲今回はこの素材(真柏)の枝先まで細い針金をかけて整姿していきます。

アカデミー中級コースの実技では、真柏の手入れを学びますが、同じ素材を何回かにわけて少しずつ手入れ方法を教えていただきます。真柏の剪定は一年中可能のようなので、私のようなズボラな人向けの手入れしやすい樹種のようです。おサボりしてもなんとかなる真柏ちゃん、なんとも良い子です。君とならうまくやっていけそうだ!

【実技の感覚はやってこそ】

中級コースといっても、ほとんどの受講生が初心者に毛が生えた程度の知識です。ただ、何度か講義→実技→講義→実技と繰り返していると、「あ、こういうことか!」という理解ができてくるように思います。これはどんな習い事も同じようなものかもしれませんね。水泳も、いくら泳ぎ方を聞いたところで泳ぐ感覚は実際に自分がプールに入らなくちゃ分からないですから。人にやってもらっているうちは分からないので、自分でチャレンジすることが大事です。そりゃあ失敗したくはないけれど、失敗してしまったときは、なぜ失敗したのかが痛いほどわかり、次に生かせるというものです。

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【待ちきれなくて、、】

インストラクターの先生のお話しを一通り伺い、自分の素材に向き合います。もう、皆さんどんどん作業を自主的に初めています。何をやるべきか、簡単な手入れはそろそろ各自で判断できるようになってきているようです。実は教室に入った時から、皆さんどんどんインストラクターの先生を捕まえて、質問しながら手入れをしています。

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針金掛けは先読み力が必要ですが、これも何度もやってみてコツがつかめるようになるようです。まだまだ修行が足りませんが、インストラクターの先生のアドバイスを頂きながら、限られた時間で素材を整姿していきます。

【技も色々】

針金掛けは枝の付き方によって掛け方が変わりますが、大きく曲げたいときはさらに技が必要です。これも長年の盆栽技術の伝承の中で伝わってきているのでしょうか。引っ張る力を利用して時間をかけて向きを変えるという技も教えて頂きました。

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私は、「へぇー」といういつもの間抜け声を出しているだけなのですが、いやあ実技では学ぶことがいっぱいです。 

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【自然の造形力】

私がとても気に入った原師匠の言葉があります。

「人が手を加えるのは10%程度。後は樹が自然に形を作ってくれるのです。」…言葉を失いました。なるほど、「ここはこうしてやろう」と粘土で作る造形とは違い、盆栽は生きた樹木なので、自然の成長力に任せるという気長に待つこちら側の姿勢も問われるところがなんとも哲学っぽいです。切るべきか切らざるべきか、、と悩みつつ作業するのが盆栽の手入れの面白さでもあります。

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 本日のお手入れはここまで。次回の実技はいよいよ最終回、植え替えですよー!

 

【おまけ】

この講義の時期は真冬でしたが、あまりに季節外れになってしまうので、先日の盆栽美術館のロビーを彩っていた涼し気な岩がらみの写真をお口直しにどうぞ。

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