盆栽園にて実習 上級コース<第2回>

【敷居が高いかどうかは、気持ち次第】

大宮の盆栽町には盆栽園がいくつかあります。今回は、6か所の盆栽園に数名ずつ分かれて実際の盆栽園の仕事を実地研修というスタイルで学ばせていただくという贅沢な取り組みです。盆栽園の皆様は、それぞれのお仕事でお忙しいのに、我々のようなほぼ素人を受け入れてくださるのも、盆栽アカデミーのカリキュラムを策定してくださった方々のご尽力によるものです。

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【櫓が印象的な松雪園(しょうせつえん)】

ワタクシが指定された盆栽園は、松雪園というところで、住宅街に突如現る櫓(やぐら)がとても印象的な盆栽園です。アカデミー事務局から口酸っぱく「ご迷惑にならないよう、準備していくように!」とのお達しもあり、我々は緊張しつつ初めての園にお邪魔しました。中級コースの時にお世話になった園とは違う園での実習となるように人員配置してくださったようです。これもまた、園によって特徴も違うので楽しみの一つです。

【盆栽園側も手探り?】

園にお邪魔したのは、7月上旬。実際の盆栽園のお仕事を学ぶことが主な目的なのですが、その時期に行う作業をお手伝いするということで伺いました。中級コースは教えていただくことがメインでしたが、上級コースではお手伝いくらいできなきゃね。というスタンスだそうです(実力が伴っていない点が困ったものですが)。園側も人に教えるのが本業ではないので、戸惑われたと思います。とはいえ、快く受け入れてくださり、ご準備くださっていました。▽作業場での黒須園主と手入れを待つ素材の皆様

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7月上旬にやる作業、このときは葉切り作業です。春にいっぱい吹いた新芽も、初夏には青々と茂ってきます。葉があまり茂りすぎると、風通しが悪く、懐(ふところ)芽が成長できなくなってしまいます。雑木(ぞうき)盆栽という広葉樹で落葉するタイプの種類は、冬に細かな枝を見せることも見どころなので、枝を密にしていくために必要な作業です。ここは密でいいんです!

【目にもとまらぬ早業】

園主の黒須氏が、まずお手本の作業を見せてくれますが、これが目にもとまらぬ速さで鋏を操り、サクサク葉切りをしていきます。(もたもたしていてブレた写真しか撮れませんでした。。)うむ。速さは到底敵いませんが、この作業なら素人に毛が生えた程度の我々でもできそうです。とはいえ、扱う盆栽は立派な大きさ、かつ売物なので、ちょっと緊張しながらの作業となります。

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しかし、葉の数が多いこと。黙々と葉切りの作業を行います。単調な作業ですが、無心になれるのがなかなか良い感じです。枝の剪定は悩みますが、葉切り楽しー!と言えるのは、1鉢だけだから言えるのかも。。数十、いや百を超える鉢の盆栽の葉切りを想像すると、ちょっとぐったりしそうです。

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午前中かけてなんとか作業を終えた盆栽ちゃんです。随分すっきりして風通しが良くなりました。

【お昼休み】

今日は一日かけての実習です。お弁当や道具持参でお邪魔しましたが、園ではなんだかお客さん扱いしてくださって恐縮してしまいました。粗相のないように、お行儀よくねー。食事の後、少し時間があったので、園内を見学させてもらいました。堂々たる見事な盆栽の数々はもちろん、培養中の盆栽もいくつもあり、勉強になります。培養中の面白い鉢もあります。出来上がったものではなく、過程をみられるのは盆栽園実習ならではです。

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これは真柏の養生中盆栽ですね。元々の幹に新しい芽を接いで人工的に枝を作る技術ですが、何年もかけて作る作業なので、根気がない人には向きませんね。(←ワタシです。)

【午後の作業】

午後は、黒松の新芽切りです。樹勢が良いのでしょう、ぐんぐん新しい芽が出ています。これらの新しい芽の中でも強い芽(一番長く成長している芽)を切って弱い芽の成長を促します。そうやってバランスとって将来枝となっていく芽を育てるのですが、まだまだ未熟者の我々は、言われたままに作業することしかできません。すんません。。で、作業前と作業後の松がこちら▽幾分すっきりしたでしょうか。

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【一日を終えて】

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盆栽園での実習は、お手伝いというより作業練習をさせていただく場という感じでしょうか。自分の小さな盆栽ではここまで作業をやることはできないので、盆栽園で数時間にわたって作業をするというのは貴重な経験です。足手まといの生徒の受け入れは、盆栽園さんにとっては面倒だったと思いますが、本当にありがとうございました。そして、門構えとは違って、気さくにお話ししてくださる園主さんや園に通っている生徒さんたちと一緒に作業させていただけたことは、心のハードルがまたひとつ下がったように感じました。我々の心のハードルが下がらなければ、エバンジェリストにはなれません!うっかり忘れそうでしたが。

 

【おまけ】

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長寿梅の花後に付いた実です。取り忘れて大きくなってしまっていたようで、それはそれで鑑賞用として楽しめそうでしたが、不要とのことなので、お土産にいただいてきました。とても良いフレッシュな香りがポケットに広がりました。