過酷な環境、それでも生きる姿を求めて

盆栽づくりの参考にしようと、長野県で比較的アプローチしやすい山に2つ登りました。どちらも花の百名山です。8月の記録ですが、一緒に夏山を惜しんでみてください。

 【根子岳(ねこだけ)2,207m】 

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根子岳から四阿山(あずまやさん)へ向かう尾根から見下ろした谷。

ラグビー夏合宿が真っ盛りの菅平高原にある牧場を通り抜け、標高2,207mの根子岳にトライ。今年の8月はまるで梅雨のように連日の雨だったため、雨が降らないタイミングを探す方が一苦労でした。

 

【癒し効果と清涼感】

数日前からストレッチはしたものの、日頃何のトレーニングもしていないので、少しの登りでも息が上がり、結構辛いです。しかし、さすが花の百名山、、霧がかかった中で高山植物の花々に癒されます。

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▲「ハクサンシャジン:白山沙蔘(キキョウ科)」 8/12撮影

今回のテーマは盆栽の参考となる樹木です。牧場の草原を脇に眺め、登り続けると白樺林が出てきます。ここでは目にも涼しい風が吹いてきそうです。実際登山中は汗だくですがね。

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白樺は高原を代表する美しい樹木ですが、これだけ群生しているところも珍しいと思います。美しいです。このミニチュア版が鉢の上で再現できたら、、老後に歩き回れなくなったら欲しい盆栽の一つです。果たして暑い下界でも育つのでしょうか?

 

 【高山の樹木は元祖ラガーマン

 厳しい風雪に押され続けてもぐっと立ち続け、枝葉を伸ばそうとする姿は樹木の生命力を強く感じます。麓で練習していたラガーマンのような屈強な足腰なのでしょう。風の向きの影響をそのまま受けた形で枝も伸びているのが、下界の穏やかな気候で育つ樹木との違いです。立ち枯れた木もそれが当たり前のように風景に馴染んでいます。人が手を加えないままの自然、これに勝るものはないのでしょう。

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盆栽は、自然の風景を生活の中で再現したいという、勝手な人の欲望でもありますが、自然を大切に想う心は、植物を育てたことがある人は皆同じでしょう。だからこそ、水やりや手入れも行い、長く愛着もって育てたいと願うのです。犬や猫、観賞魚といった動物と同じように、人と共存し、人に精神的な安らぎを与える重要な存在です。

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 【アクロバティックな草花たち】

2,200mの高山の植物たちはその可憐な姿とは裏腹に、ものすごく逞しく育っています。栄養も無い岩場で、マイナス20度にもなるような厳しい冬も乗り越え、それでも生きています。

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▲この写真は横向き回転にしているのではなく、この草木が岩の裂け目から横向きに生えているのです。

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 そして、岩場に咲く可憐な花。「イワインチン:岩茵陳(キク科)8/12撮影」でしょうか。この足元は断崖絶壁で写真撮るのもヒヤヒヤでした。しかし、山の上は気持ちがいいものです。人間も自然の中にいると、様々な煩わしさから解放されますね。

 

 【木曽駒ケ岳(きそこまがたけ)2,956m】

 いつでも行けそうだけど、いつか行きたいと思っていた山の一つ、木曽駒ケ岳にも登りました。ロープウェイで標高2,600mまで行けるので、アプローチしやすいのが有難いです。そのロープウェイから見える景色は、まさに天然ジンシャリの宝庫!ジンシャリとは、盆栽用語で枯れて白くなった樹木の枝や幹のことを指します。枯れた部分までも美しいと思うところが詫びさびの世界なのでしょう。

 

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そして、石付盆栽の参考になるような壮大な風景も眼下に広がりますが、このロープウェイの売りは「高さと速さ」なので、ゆっくり鑑賞しているゆとりは全くございません。

 そしてロープウェイを降りたらすぐに千畳敷のお花畑が広がります。8月は高山植物の花々が咲き乱れており、観光客もいっぱいです。霧が濃くて山々の遠景は望めませんでしたが、お花は見事でした。ここでお花の写真を撮りすぎて予定ペースを大幅に遅れての登山開始となりました。 f:id:katsuo_24:20170911181149j:plain

 ▲クルマユリ:車百合(ユリ科)8/22撮影

 そして、山頂付近では下の写真にある不思議なお花?周りの景色との調和で芸術作品のような植物に遭遇。これだけで盆栽になりそうな景色です。

こちらは、「チングルマ:稚児車(バラ科)」の花後の果穂だと、下界に戻って図鑑で調べて初めて知りました。お花は白く丸い形の可愛らしいものです。タイミングよく素敵な姿に出会えました。 

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  【木曽駒御朱印効果か!束の間の晴れ間】

忘れちゃならないのが、ここは標高ほぼ3,000mの高山です。空気も下界より薄いです。尾根での体感風速は20mくらいの暴風ですが、眼下に雲が見える景色は格別です。

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あいにく連日霧の登山でしたが、ほんの30分ほど、強風で霧が晴れた瞬間がありました。木曽駒ケ岳山頂の御朱印をいただいたおかげでしょうか。木曽駒ケ岳を馬の背から望む絶好の位置で、「ああ、晴れるとこんなに元気が蘇るのか!」と、疲労で折れそうになっていた気持ちを吹き飛ばすことができました。お天道様、ありがとう!

 

 【天然盆栽園】f:id:katsuo_24:20170911182119j:plain

森林限界を超えた山頂付近は、ハイマツの天然盆栽園が広がっていました。

うわー、これは見事だ!高い値段がつきそうだなーと思うようなものも。

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 しかし、高山植物は採取禁止です。「枯れた木や石も持ち帰ってはいけません」と千畳敷でアナウンスされていました。そうでなくても温暖化で植生も変化している昨今、貴重なものは皆の財産として後世に伝えたいものです。 ということで、これらの姿を盆栽で目指そうとするのですね。きっと。

 

 【剛と柔】

数多くの高山植物と出会えましたが、中でも私のお気に入りは「イワツメクサ:岩爪草(ナデシコ科)」です。寒い霧の中、朝露をためた1㎝にも満たない花が、岩の隙間に健気に咲いていました。清楚でいながら強さを感じる花です。f:id:katsuo_24:20170911182446j:plain

毒づいていた私もデトックスして純粋な心を取り戻せた山行でした。また毒素が溜まってしまったら、この写真を見て取り戻そうっと。

さて、1億円の盆栽はどれでしょう?

東京にあるメジャーな盆栽園といえば、ここ、春花園さんに今回はお邪魔しました。盆栽園というのは敷地面積を必要とするため、なかなか都心部ではお目にかかりませんが、東京の江戸川区に著名な小林國雄氏の盆栽園がございます。

 【各国の国旗でお出迎え】

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都営新宿線瑞江駅から路線バスでの旅。こんな機会でもないとなかなか選ばないルートなので行くだけでも新鮮です。そしてバス停から徒歩約2分。各国の国旗がひときわ目立つ壁が。かなり派手なお出迎えです。

この日は中国人のお客様がいらしていたようで、日本国旗と中国国旗が入口に飾られていました。国際交流に一躍買っていますね。(ちなみにこちらの盆栽園は美樹館として入場料が必要です。)

 

【1億円って。。】

何も事前勉強せずに伺ったのですが、友人たちと園内散策していると、盆栽園をご案内されていらっしゃる方が「これがテレビで1億円として紹介されたものですよ」とサラッとおっしゃいました。

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一同、あ然です。(こ、これが、一流芸能人になれないってことか。。)

「こっちのも1億円ね」と紹介されたのがこちら。樹齢も優に500年を超えているようです。

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その堂々とした姿は一般の盆栽という机に乗るようなサイズのイメージよりもかなり大きく、ほぼ樹木です。(伸ばしている枝は、その部分の枝の勢いをつけるために伸ばしているとのことです)

 「こっちはお買い得で、3,000万円ですよ」

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お買い得って。。もう、感覚がおかしくなります。言葉も出ません。とにかく「へぇー」の連発で、バカ丸出しです。もちろん、他にも多くの素晴らしい盆栽たちが数えきれないほど展示されています。

 どうやら見学だけの私たちと違い、中国人のお客様は、丁寧に盆栽の説明を受け、ご購入をお考えのご様子。羨ましいです。

 

【日本建築の美術館にうっとり】

 お庭の立派な盆栽たちの奥に日本建築の建物がとても自然に配置されており、自然と足が向かいます。その縁側や軒先の空間が私たちをゆったりといざないます。そこには、デジタルではないアナログの空気が流れていました。

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美術館の中に入ると、まるで武家屋敷に入ったように、凛と背筋が伸びるようでいて、懐かしいような不思議に落ち着く空間でした。

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床の間飾りも盆栽美術館の展示のような正統派の飾り方です。都内の個人の盆栽園でここまでの贅沢な空間を演出できるってすごいです。

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そろそろ休憩したいなーと思っていた矢先に、美術館の方が離れでお茶を出してくださいました。ナイスおもてなしです!

 写真だけでなく装丁も美しい小林先生の書籍やイギリス国籍のお弟子さんの見事な英語版盆栽手入れ解説本などもご紹介いただき、お茶を頂きながらしばし休憩。

さらに、一人ずつに小さなもみじの苗もお土産にくださいました。小さくてか弱そうなもみじの苗、無事に育てられるかちょっと不安ですが、お気遣いが嬉しいですね。

 

【ラッキー!小林國雄氏と遭遇!】

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私たちが園内の2階部分の盆栽展示兼育成場を拝見していると、園内でザワザワと人が集まりだし、国旗が見えます。ん?先ほどのお客様のご成約でしょうか?おめでとうございます!お?あそこに見える白いシャツは、、もしや小林先生では?と近寄ってみたら、小林先生と中国人のお客様方が記念撮影をされていらっしゃいました。

これは便乗するしかない!と勢いに任せて声をかけ、小林先生と写真撮っていただきました。ちょうど迎賓館からお戻りになられたところでお忙しいようでしたが、写真撮影もご快諾いただき、教室のご案内もしてくださいました。

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門下生たちの氏名が木の札でかかっているのも道場っぽいですね。右下の筋肉隆々の逞しい男性の写真は小林先生の若かりし頃のお写真だそうです。現代のもやしっ子たちと大違いです(笑)。

 

【きちんとご供養も】 

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腕の良い盆栽師でも台風や年月の経過、病害虫で盆栽が枯れてしまうことがあるのでしょう。自然相手なので永遠はありません。それをきちんと供養塔を建てて供養されているところは、ご立派だと思いました。とても私の自宅に供養塔は建てられませんが、もし枯れてしまったら、感謝と哀悼の気持ちをもって丁寧に供養しようと思いました。こうした点も見習いたいものです。

巨匠、木村正彦氏登場!

「盆栽エバンジェリストへの道」ブログ、抽選に落ちたら続ける気力もダウンしてしまいましたが、暑い中訪問し、せっかく撮影をご快諾くださった盆栽園のことを共有しないのももったいない話なので、アップすることにしました。どうぞよろしくお付き合いください。

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【木村正彦氏の盆栽園へ】

盆友のお一人が盆栽界の巨匠、木村正彦氏の盆栽園のお近くにお住まいとのことで、一般公開はしていないという木村正彦氏の盆栽園に数名で伺うことにしました。木村正彦さんといっても私のような初学者はネットや雑誌でしか拝見したことがない方で、重鎮で怖そうだな―というイメージしか持っていなかったので、恐る恐る皆について行ったという感じです。

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ジモティの盆友に道案内をお願いし、埼玉のとある住宅街を歩いて道から奥まった静かな緑深いお庭に入って行くと、突然視界が開け、そこにずらりと大きな盆栽たちが堂々と並んでいました。おおー!こんなに無防備に盆栽たちが並んでいるけれど、きっととんでもなく高いに違いない!と一目でわかるものばかりです。当然ホームセキュリティーとか保険入っているんでしょうね。触って落としたら一生雑草取りしても返せません。

 【巨匠登場!】

ちょっとして、盆友がお弟子さん通じてお願いし、木村先生ご本人が私たちの前に出てきてくださいました。ま、まさか、ご本人に会えるとは!!勇気の塊のお友達に感謝です。木村先生自らがお庭を案内してくださいました。 

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下の写真にあるような木村先生の独特の石付盆栽の原風景は中国だそうです。実際の自然の風景を盆栽で表現する。これは盆栽の基本と私たちも習いました。作業場前に、中国の切り立った山深い渓谷の霧がかかった岩場に生える樹木の風景写真が飾られており、本当に水彩画のようなその風景があることに驚きました。

 

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石付盆栽の石は、木村先生がイメージして削っていらっしゃるそうです。普通の石は硬くて割れやすいので、砂岩の塊から削り出すそうです。まるで彫刻家!盆栽師って一体どこまで追究するんでしょう。一般ピーポーには思考が到底追い付きません。

 

【お庭の奥には別世界】

 怖そうなイメージと違い、木村先生は私たちをお庭の奥へご案内くださり、事務所でじっくりとお話をお聞かせくださいました。

 またそのお庭のお手入れの見事なことったら!一日眺めて過ごしたくなるようなため息がでるお庭の池には、美しい金色の鯉たちと、夏の暑さを忘れさせてくれる蓮の花がスッキリとした姿で目をひきました。 

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まさか木村先生にお会いできるとは思っていなかった私たち、すっかり質問がド素人丸出しで、聞く話聞く話初めてのことばかりでポカーンでした。書ききれないので( ゚д゚)ポカーンの話をいくつか。

 

【( ゚д゚)ポカーンその1】

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壁にずらりと並んだ写真、これ全て何らかの賞を受賞した作品です。内閣総理大臣賞もゴロゴロ。盆栽界の最高の賞、国風賞も何度も受賞されている木村先生、雲の上の存在すぎです。

 

【( ゚д゚)ポカーンその2】

これまで手掛けた盆栽のビフォーアフターをファイリングされていらっしゃいました。どのページも「えええっ?これが?こうなるの?」と、まるで狐につままれたような変身ぶり。

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それぞれの素材を見て、その完成形をイメージできる時点で凡人と訳が違います。

 その中のひとつ、こちらは内閣総理大臣賞を受賞した「登龍の舞」です。当時の総理大臣、竹下登氏がまだ銘がついていなかったこの盆栽を見て「命名させてくれ」ということで、登という字を入れたこの銘となったそうです。

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ちょうどお庭に「登龍の舞」が飾られていました。実物はやはり写真では伝えられない迫力があります。

 

【( ゚д゚)ポカーンその3】

お庭で拝見した見事な盆栽たちは、一般ピーポーの私たちでもその名を知っているような世界のVIPが所蔵していたり、プライベートジェットで買い付けにいらっしゃるそうです。日本のお金持ちさん、頑張って日本の宝を守ってください! 

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そんなこんなで2時間もたっぷりお話を伺った私たちに、木村先生は最後に「一流盆栽師になるために必要な7か条」を書いた色紙を見せてくださいました。

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うーむ。感性からつまづいてるかも。。精進せねば。

 

 

ひとりでできるもん

ちょっと習っただけで、初心者の私でも盆栽のハードルは格段にさがりました。やっぱり誰でもできるし楽しめる。後は失敗を恐れずに実践してみること。知識だけでなく、実際に手を動かしてやってみることで楽しさもより深くなるというものでしょう。

 

【出会った時が買い時!】

先日立ち寄った柳生博さんご家族が営まれている八ヶ岳倶楽部というところでは、色々なクラフト系の作品が販売されておりましたが、私の目を引いたのはやっぱり盆栽でした。盆栽アカデミーで習った盆栽の見方が活かされたかどうかは分かりませんが、欲しかったもみじの小品盆栽と、萩の苗、草もののベニチガヤの苗を購入しました。こういうものは出合った時が買い時でしょう。鉢に植えられているものより苗の方が断然安いので、鉢は別に購入し、宅配便で送ってもらいました。電車での移動の場合は有り難いサービスですね。

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指定した日時に丁寧に養生されて我が家に届きました。生もの扱いなんですね。いよいよ苗ちゃんたちの植え替えです。さて、がんばるぞー!

 

【グッズはぼちぼち揃えて】

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鉢選びや植え替えは盆栽の楽しみの一つでしょう。先日の盆栽園ツアーで先に購入していた鉢、今回の旅先で購入した苗と鉢、近所の100均で買った鉢底網、ホームセンターで買った針金、ネットで評判を見ながら買った用土など、ぼちぼち買い揃えていました。特に赤玉土は盆友からホームセンターでは盆栽用の良いものがないと聞いていたので、ネットのコメントを参考に買ってみました。しかし、小粒でもアカデミーで用意してくれたものより多少大きかったので、極小でも良いのかもしれません。いかに講義で使わせていただいた用土が良いものだったか改めて分かりました。土だけは多少値段が張っても良いものを使う方が良いですね。野菜も土づくりが大切なので、一緒です。

 

【実践で復習】

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まず、植え替える前に鉢と土の準備です。鉢底の穴にはネットを針金で固定します。そして、赤玉土と桐生砂を8:2で混ぜておきます。竹箸はコンビニ弁当についていたものが家にありました。道具もバッチリ!

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赤玉土の中粒は盆栽には大きすぎましたが、鉢底用として使うことにしました。まあ、こうした失敗も次への教訓です。大半は庭の園芸土として活躍してくれることでしょう。

 

【お色直しのビフォーアフター

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ポット苗の萩とベニチガヤを鉢に植え替えました。どうでしょう?鉢映りもなかなかいいじゃないかと、我ながら盆栽らしくなったと自己満足です。

実は後から盆栽の手入れの本を読んで、もっと萩の古い根は切り落としても良かったのかも、、と思いましたが、それはまた次回の課題とします。

 

【買ったはいいが、置き場所は?】

盆栽愛好家の心理が少し分かってきたような気がします。楽しくてつい新しい盆栽ちゃんの仲間を増やしてしまうものなのですね。それゆえ、置き場も増設しなければならなくなります。本で読んだり盆栽美術館や盆栽園で観察したところ、今回買ったもみじは夏の直射日光には弱いようです。遮光のためのネット(寒冷紗)を設置する場所も悩みましたが、ちょうど我が家の庭には山芋君がツルを元気に伸ばしてグリーンカーテンとなっています(朝顔でもゴーヤでもなく、我が家では山芋なのです)。そこで、それを利用し、日が当たる場所には直射日光に強い五葉松と石榴、グリーンカーテンの内側にもみじを置いてみました。うまい具合にポジショニングできました。目測で遮光率約60%です。(笑)

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【自己流盆飾り】

ちょうど翌日に来客の予定でした。客が来るとなると急に掃除をするものですが、良い機会ととらえてお片付け。(普段からできていればいいのですが。。)

今は夏、季節感を出してみようとチャレンジです。

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卓(しょく)を買って置き場所を確保する余裕は我が家にはないため、以前100均で買った竹のマットを敷き、主役のベニチガヤを置いてみました(植え替えたベニチガヤは夏草です)。引出物のカタログから選んだ南部鉄の高炉を先日購入した地板っぽいメノウの板の上に置き、駿河竹千筋細工の工房体験で作った虫かごを配置してみました。

正統派の盆飾りからは崩れており、ちょっと竹の明るい色が浮いていますが、そこはご愛敬。

玄関の靴箱の上が急にオシャレな空間となりました。身近な安いものだけでもできるものですね。

初心者の道具揃え

できるだけ安くて良いものから始める。これは、誰でも思うところでしょう。盆栽の道具も色々あるようですが、最低限で始めたいものです。色々悩みながら少しずつ揃えていくのも面白いものです。

 

【馬鹿と鋏ではなく】

まずは必須の道具である鋏(はさみ)ですが、今はネットでもホームセンターでも色々揃っています。色々ありすぎてどれが良いのか迷ってしまいます。でも、1本ずつバラで買って揃えるより、盆栽美術館で「初心者向け盆栽道具セット」を購入するのがお得と判断しました。

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こちらのセットで9,800円です。鋏だけは枝葉を痛めないようにスパッと切れる良いものを選ぶことが肝心だとインストラクターの先生がお話しされていたので、きちんと選びたいと思っていました。これまでの人生経験で、刃物だけは良いものを選ばないと後悔することを学んでいたので、いくら初心者でも100円の鋏は買いません。プロも道具にはこだわりますから、使いようでどうにもなるものではないということでしょう。

 

 【これは安くても大丈夫】

次は、盆栽置き場です。盆栽アカデミーに通いながら、五葉松と石榴の2鉢を自宅に持ち帰ることができると分かっていたので、どこに置こうか、置き方はどうしようか、、としばらく悩んでおりました。

日曜大工で棚を作れたらいいのですが、大工道具もないし、面倒くさい。「ええい、材料見ながら考えよう!」と、ホームセンターに出かけてちょうどサイズが良さげな縁台を見たり、出来上がっている机を見たり、スノコを物色したり。結局、ブロック(1個180円程度)をいくつかと、檜板の端材(1枚150円程度)を組み合わせて置くのが最安値かつ簡単設置、レイアウト変更も自由!と三拍子揃うので、この路線に決めました。せめて少しオシャレにしたくて、オレンジ色のブロックにしました。私は十分悩んだのですが、盆栽をお持ちの方は、このようなスタイルで置き場を作っているケースが多いのだと後で知りました(笑)

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設置場所は、軒下付近が一番目が届きやすく、日当たりが良くて西日も当たらないので、我が家の盆栽たちにとってのベスポジだと思いました。軒先というのは、奇しくもアカデミーの講義で紹介していただいた鎌倉時代からの絵巻にある通りの置き場所です。古から同じ趣向っていうだけで、なんだか嬉しいです。しかし、おっとまてよ。そこは既に植えてあった直植えの山芋ちゃんたちの住処です。ここはダメかと思いましたが、高めの場所がお好みの盆栽ちゃんと、地下とツルで生息する山芋ちゃんは、高層住宅方式で共存できると判明、つるに影響が無いよう、設置できました。こうして、五葉松くんと石榴ちゃんの新居が完成です!

 

【盆栽鉢だって欲しくなる】

盆栽園ツアーに行った際、盆栽たちは高価で手が出なかったものの、小さな盆栽鉢を購入しました。このような形の鉢は見たことが無かったので、思い立ったら吉日、800円でお買い上げ~。さーて、何を植えようか、イメージを膨らませてウキウキです。

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肥料と肥料入れもついでに購入しました。肥料入れは初めて見ましたが、販売していた盆栽園の方に聞くと、「苔を貼った盆栽は、肥料を直に置くと苔が肥料で痛んでしまうことがあるので、これに入れるといいんです」 とのこと。今後のために備えてということで、すぐには出番が無さそうですが買っちゃいました。

 

【そして留守番チャレンジ】

さて、私は泊りがけで出張のスケジュールとなってしまいました。帰省も旅行もしたいので、盆栽ちゃんたちに留守番慣れしてもらわなくてはなりません。これも、講義で教えていただいたように、100均で購入したトレーに水をはり、タオルで根元を鉢ごと覆い、風呂場に置いて出かけました。

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7月中旬という暑い最中でしたが、3泊4日して自宅に帰った時、見た目盆栽たちは大丈夫でした。しかし、五葉松のトレーは水が無くなっており、石榴のトレーは水がわずかですが臭いがして、トレーもぬめりがあったので焦りました。こりゃいかん!!すぐに盆栽たちを外に出して水をシャワーでたっぷりかけて古い水を流しました。先生が仰っていた通り、3日が限度だと思いました。ごめんね、石榴ちゃん。いい加減な主人のもとで、強く生きるのだぞ!

 

【旅先でも盆栽グッズ】

出張ついでに清里に立ち寄りましたが、観光地で露天商が天然石を売っていました。女の子に人気の綺麗な石のアクセサリーが売られている片隅で、石の板があるじゃないですか。私の目を引いたのが、この茶色の薄い板状の石。めのうだそうです。

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天然石ですが、私には小物盆栽の下に敷く「地板(じいた)」に見えて仕方ありませんでした。ええい、ここで出会ったのも運命だと1,000円で買いました。

また、別の場所では盆栽の苗が販売されているところも通りかかり、これまた苗を衝動買い。鉢に入った盆栽を購入すると高いのですが、苗は数百円で買えるので手が出やすいのですね。ああ、こうして増えていくんですね、、ミニマリストにはなれそうもありません。。

 

 

盆栽園ツアー!

さて、つづきの話をしましょう。

(諸事情により、更新するのが2週間ぶりになってしまいました。すみません。ようやく仕事がひと段落したので、ブログ再開です。よろしくお付き合いください。)

 【盆友ができました】

 さいたま国際盆栽アカデミーの開校中、インストラクターの先生がいつも「盆友(ぼんゆう)をつくりましょう」とお声がけくださっていましたが、クラスメートは互いに見知らぬ者同士、単にアカデミーで週一度同じ講義を受講するというだけの関係です。授業中は講義内容や実習に専念しているので世間話をする余裕もなく、さらに、個人情報に過敏な昨今、いきなり連絡先を伺うのも憚られます。というわけで、「盆友作りたいなぁ」とずっと思っていましたが、なかなかきっかけは作れないものです。

 とはいえ、私は長期間自宅を離れることがあるため、盆友を作っておくことが自分にとってもこれからお世話する盆栽ちゃんにとっても必須でした(保育園を探す親のようです)。そこで、勇気を出してグループでたまたまお隣の席に座られた方にご相談したところ、留守中預かってくださるとのこと。救いの神の出現に感謝感激です!では、連絡先を交換してくださいという流れになり、たまたま近くにいたアカデミーの仲間も加わり、SNSで繋がりました。今どきのコミュニティですね。

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【愉快な盆栽園ツアー】

 たまたま、SNSグループの中に既に盆栽をいくつもお持ちで詳しい受講生の方もいらっしゃいました。彼女のお声がけで、最終日の講義終了後に「盆栽園ツアーをやりましょう!」ということになりました。午前中で講義が終了するため、ランチをとった後で盆栽美術館から徒歩で回れる盆栽町にある盆栽園をいくつか周ることにしました。

 当日、ランチ場所(盆栽美術館の目の前の盆栽レストラン)で、偶然同じクラスの受講生と遭遇!席もいっぱいだったので、相席させていただきました。そして、ランチをご一緒させていただきながら盆栽園ツアーに勧誘(笑)し、総勢7名でプラプラと散策することになりました。

 盆栽町ができた当初からの風習で、盆栽園の入口は誰でも入れるように解放しておく決まりになっているので、いつでもふらっと立ち寄れるのが魅力です。予約も入場料も要りません。なんてすてきな風習でしょう。

盆栽園は中が撮影禁止なので、写真は外観だけとなりますが、それぞれ個性があるので盆栽園ごとに違うのが面白いのです。

では、今回のツアーで回ったところをご紹介いたします。

 

【蔓青園(まんせいえん)】

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まずは盆栽美術館に一番近い蔓青園から。いきなり道端に巨大な盆栽が!「なんじゃこりゃ!」です。驚いていたらそこが蔓青園さんでした。入るなり所せましと大きくて見事な盆栽たちがお出迎え。右も左も足元も盆栽だらけ!ちょうど盆栽師見習いの方が水やりをされているところでした。

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突然、どこからか「傘は窄(つぼ)めてください!リュックは手前にかけてください!」と注意の声がありました。私たちは、暑い日差しの中の街歩きのため、日傘やリュックを背負っていたので、慌てて従いました。そりゃそうですよね。傘やリュックが当たって盆栽が倒れて落ちてしまったら大変です。ひとつひとつが年数をかけた芸術作品ですから。

野趣あふれる作品を堪能し、数の多さと見事な仕立てに圧倒され、「買えないけど、すごいですねー」とため息をもらしながら次へ向かいました。

 

【盆栽四季の家】f:id:katsuo_24:20170731115805j:plain

7月の暑い日差しの中、ほっとする休憩場所です。緑の中に古民家風の建物があり、誰でも自由に入れます。ここで各自ペットボトルや水筒で持参した水分補給。盆栽園ツアーにちょうどよい休憩所です。

 

【清香園(せいこうえん)】

ここは、若手女性盆栽家として著名な山田香織さんが5代目園主の盆栽園です。入口がまるで京都のお茶屋さんみたいです。このままCM撮影できそうです。

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先に学んだので、皆リュックは手前に抱き、傘はたたんで園内を鑑賞します。可愛らしい小品盆栽がたくさんあり、その種類も松柏盆栽や雑木盆栽、草ものなど、多くの盆栽が並んでいます。ちゃんと季節を考えて並べていらっしゃるのでしょう、満開の花や青々した葉が目を引きました。

ここで欲しかった盆栽用具を購入し、ちょっと満足度アップ。盆栽園の方から「盆栽アカデミーに通ったの?羨ましい!」と言われて私たちはくすぐったくも嬉しい気持ちになりました。

ちょうど室内で盆栽教室の最中だったのですが、こちらの教室も生徒さんがいっぱいでした。

  

【九霞園(きゅうかえん)】

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こちらはうっかりしていると通り過ぎてしまうくらいひっそりと周囲に溶け込んでいる盆栽園です。主張せず、あるがままに、という空気が園全体に漂っています。実際、九霞園という看板より個人の表札の方が目立ちます。本当に普通の民家のお庭に入り込んだようでこちらも「勝手に入っていいの?誰もいないの?」という感じで私たちも遠慮がちに静かに鑑賞させていただきました。

他の園では見なかった蓮や変わった実物盆栽がとても個性を出していました。商売っけ全くありません。きっと、芸術家肌の園主さんなんでしょうね。

 

【芙蓉園(ふようえん)】

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そろそろ、盆栽園も見慣れてきました。さて、次は竹の生垣が涼しげで自然にふらりと引き込まれる芙蓉園さんです。こちらはとても鑑賞しやすく整えられた盆栽園です。私はいきなり入口に並べてある盆栽鉢に食いつきました(笑)。園内はすっきりと盆栽棚にある程度大きめの盆栽がずらりと並べられています。ひとつひとつ丁寧に管理されているのが分かります。盆栽ばかり見すぎてもうどれがどうなのかお腹いっぱい気味でしたが、私はお手頃価格の盆栽鉢(800円)をこちらで購入し、大満足でした。

 

【藤樹園(とうじゅえん)】

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さて、本日の盆栽園ツアーのしめくくりは、こちら。アカデミーのインストラクターの先生方が時々こちらでも教えていらっしゃるという藤樹園。入口はこれまでの盆栽園に比べて飾っていないというかユルイ感じです。私たちもアカデミーでお世話になり馴染んでいたせいか、「あ、これあの先生の盆栽かも?」などと、気軽に話かけさせていただきました。

なんと長野や東北からわざわざ盆栽の手入れを学ぶためにこちらまで通う愛好家の方もいらっしゃり、頭が下がる思いでした。

  

【授業後の盆友たち】

さて、アカデミー最終日に盆友がクラスに声をかけてくださったので、興味ある方々が次々とSNSで繋がりました。SNSのグループで、自分が持ち帰った盆栽の写真をアップする方や管理方法を紹介する方、手入れの悩みの相談や朝顔の話題など、楽しく交流を続けています。また盆友たちと中級講座で会えるのがベストですが、こればかりは分かりません。現代の盆友はネット上で繋がれるので場所を選ばないのが気軽ですね。

 

※今回の盆栽園ツアーで回った盆栽園や大宮盆栽村のマップはさいたま市が紹介しているさいたま市/大宮盆栽村をご参照ください。