盆栽ガイドへの道は発表会から

【初めての試み】

上級コースの第1回目で、学芸員の方から直々に盆栽について初心者に向けて解説する「解説手法」というものを教えていただきましたが、今回はその約1か月後に、実際に自分たちで解説してみるという試みです。

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盆美側も初めての試み、受講生側も初めてのチャレンジです。4人1組のチームで「正面と背面」「見どころ」「樹種樹形」「技」というパート毎に1人ずつ解説していきます。1組20分間を目安に皆の前で発表します。時間の目安も重要ですね。皆の前での発表は緊張しますが、ここはチャレンジの場です。容赦なくファシリテーターの田口学芸員がサクサク進行させていきます。

発表会前、「この1か月間に自主練しておきましょう」という宿題が出ていましたが、ワタシはすっかりおサボリしてしまい、同じチームの友人が用意してくれたカンペを当日慌てて頭に叩き込みます。すっかり一夜漬けモード。同じチームにできた友人がいたことは大いなる救いです。ありがたやー!!テスト前にノート貸してくれる素晴らしい友人を思い出しました。

【特徴でるでる!】

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同じスライドを使って4人の発表者たちがそれぞれ順に解説をしてゆくのですが、同じスライドを同じ順番で説明しているにもかかわらず、チームや発表者によって全くカラーが違うことがまず驚きでした。

とても控えめで遠慮がちな発表者がいる一方、独自に自分の体験や感想を加える方や、スライド以外の写真や資料を持参して独自の解説を加える方も、、こんなに個性が出るものなのだという面白い発見です。少々前のめり過ぎて一人5分の持ち時間を大幅オーバーな方もいましたが、それだけこの課題に対して熱心に取り組んでいらっしゃるということでしょう。

感心、同意、爆笑、苦笑など、、大勢(といっても15人くらいですが)の反応が見える形での発表会というのは、体験する機会そのものが少ないので、チーム発表には色々な効果があると思います。

個性の強い受講生たちの発表でしたが、ファシリテーター役の田口学芸員が、どんな変化球が飛んできても上手に進行をまとめていたことが「さすがプロ!」と、感心してしまいました。

【ボランティア強し】

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中には、すでに盆栽美術館でボランティアスタッフとして、盆栽の解説をすでに何度もご経験された受講生も数人おり、彼らの解説はさすがに場数を踏んでいる安定感がありました。経験を積むというのは、どの分野でも強みになりますね。

仕事ではなく自発的に参加し、世界を広げていくというのは最初の一歩が踏み出しにくいものですが、体験や知人から輪が広がると自然に溶け込みやすいでしょうね。

 

【この発表会を活かせるか?】

個人的な意見ですが、ボランティアガイドとして盆栽初心者の来館者に向けて解説するのであれば、美術館がパネルで解説展示している基本事項を制限時間内でお伝えすることを念頭に、解説者個人のエッセンスを少し加える程度が妥当な範囲だと思っています。ギャラリートークなど、学芸員のお話をコピペするところからがスタートでしょう。今後、これまでのこうしたイベントがどういう形になるのか気になるところです。
とにかく、鑑賞する人はそれぞれに自由であり、彼らの自由な感想を引き出すために、ほんの少し見どころポイントをお伝えして鑑賞のお手伝いをする、、、そんな謙虚さを忘れずにいたいものです。独自の考察や想い、センスなどは、自分の盆栽やSNSなどのツールで発信すればいいじゃないかと。

 

【おまけ】

これは、ほぼ1年前の同時期に盆美の庭園に飾られていた五葉松(銘:舞子)です。

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森のようで癒されますね。鉢からの高さ(樹高)は50㎝くらいでしょうか。推定樹齢はなんと約350年とのこと。こんなに薄い鉢の中で350年ですか!精霊が宿っていそうです。我々よりずっと長生きの、次の世代に引き継がれる生きた文化財です。

 

【そして、再開です!】

新型コロナウィルスの影響でしばらく閉館していましたが、先月末からさいたま市大宮盆栽美術館も対策をとりつつ開館されました。盆栽はコロナ禍の外出自粛モードにあっても自宅で愉しめる趣味だと再認識しましたが、やはり美術館に展示されている作品を見たくなりますね。今は瑞々しい新緑が美しい季節なので、また出かけてみようと思います。