ギャラリートーク「貴重盆栽」の巻

【GT初参加】

先月、友人がGTに参加するというので、私も一緒に参加してみました。グレートティーチャーではなく、「ギャラリートーク」です。寒いですか。そうですか。

 毎月、盆栽美術館ではギャラリートークというイベントが開催されています。その時の展示に合わせ、盆栽師さんや学芸員さんが鑑賞方法やバックグラウンドを解説しながら盆栽を鑑賞できるので、一人で鑑賞するよりも格段に中身の濃い鑑賞ができます。

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300円という入場料だけで、普段の展示鑑賞に加えて専門家のギャラリートークも聞けるので、タイミングを合わせて遠方からいらっしゃる方もいるようです。今回は「貴重盆栽」のギャラリートークです。

【専門家の解説は、お得感満載!】

館内アナウンスがあり、開始時刻に盆美のロビーに集合すると、結構な人数が集まっていました。本日は学芸員の田口さんにご案内いただきます。

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当日、盆美ロビーに飾られているのは花梨でした。お正月のバラエティー番組の格付けチェックでは、花梨の冬の姿でしたが、今は緑が生い茂る瑞々しい姿です。私も1年前は花梨が盆栽になるとは全く知らなかったのですが、冬の姿を見ると、まあ惚れ惚れしちゃいます。

さて、この花梨、実は「貴重盆栽第1号」だそうで、盆栽美術館のロビーでは3日間だけの展示とのことです。それこそ貴重な機会に見ることができました。

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【どれもが貴重盆栽になれるわけじゃない】

「貴重盆栽」という制度は1980年に登録制度が始まったそうです。約40年前なので、盆栽の歴史に比べたら比較的最近の話ですね。盆栽園や国風展で時折「貴重盆栽」という文字を見かけておりましたが、どういう盆栽が貴重なのか疑問ですよね。

登録されるためには次の3つの条件があるようです。

その1)樹形が素晴らしい

その2)樹齢が長い

その3)所蔵歴が良い

とのこと。さて、順にみていきましょう。

 その1)樹形が素晴らしい

見たままで分かるポイントです。樹形(じゅけい:正面から見たときに「ようこそ」と両腕を広げているような姿で、横から見たときに頭と呼ばれる盆栽の一番上の部分が少しお辞儀をしているように見えるものが良い)、根張り(ねばり:根がどっしりと広がっている)、立ち上がり(根元から幹にかけての大元部分)、幹模様(みきもよう:幹が描く曲線)、コケ順(こけじゅん:下から上に徐々に幹が細くなり、大木感が出ている)、枝配り(えだくばり:枝が交互に出て奥行きもあり、立体感がある)、葉性(はしょう:小さく、盆栽全体が大木に見えるようなものが良い)といった数々の評価点をクリアする必要があります。

その2)樹齢が長い

これは先の授業でもやりましたが、正確な樹齢は分からないため、「推定樹齢」としてカウントされています。こちらの花梨は、推定樹齢150年だそうです。人類より長生きですね。戦争も生き延びて代々受け継がれてきたというだけでも貴重です。大事に日々管理されてきた方々の努力の積み重ねがあってこそです。そもそも花梨の寿命って何年くらいなんでしょう?自然界の樹木も何百年と生きられるものはあまりないでしょう。神社仏閣だと御神木のような古くて大きな木を見かけますね。普通はそのように大きくなってしまう樹木を、盆器の中で100年も育て続けることがいかに凄いことかと改めて驚きます。

その3)所蔵歴が良い

こういう基準もあるのですね。。となると、私の盆栽はきっと100年後くらいに「貴重盆栽」に登録されるでしょう。ふふふ。という妄想はさておき、こちらの第1号の来歴を聞いて思わずははーっ!と頭を下げてしまいそうです。まず、戦前にさかのぼります。根津嘉一郎氏(根津美術館の設立者)→佐藤栄作氏(元首相)→岸信介氏(元首相、安倍首相の祖父、日本盆栽協会初代会長)と流れてきて、現在は大宮盆栽美術館の所蔵です。文句のつけようがございません。ううむ、そうそう簡単には貴重登録されないものなのですね。

 

さて、もう一度、この貴重盆栽第1号の花梨を、下から見上げるようにじっくり見てみましょう。

f:id:katsuo_24:20180621101422j:plain推定樹齢150年、どっしりと大木感が出て風格文句なしですね。

 

この後、展示室に飾られていた貴重盆栽を一つずつ丁寧に田口学芸員が解説いただきながら鑑賞しました。展示室の説明や盆器や添えの説明など、貴重なこぼれ話が盛りだくさんです。覚えきれなくてもなんだかすごい感が感じられます。はは、私のような小市民はそんなもんでいいでしょう。

貴重盆栽にはブーゲンビリアの盆栽というような変わったものもあります。今後、貴重盆栽というものを見かけたら、上記2つのポイントは見た目でなんとなく分かっても3つ目の所蔵歴は一見して分からないから難しそうです。

現在、全国で1215点の貴重盆栽があるそうです。中には残念ながら枯れてしまったものもあるそうですが、見かけたらお話し伺ってみたいですね。

【貴重盆栽だけじゃない】

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こちらは、お庭に飾られている真柏で「武甲(ぶこう)」という銘がついた盆栽です。これも文句ない見事な作品で、撮影可能エリアに展示されている時はラッキーですね。良いものをたくさん見る。これで私の鑑賞眼も少しずつ養われていくのであーる。

 

【おまけ】

盆栽美術館ではロビーや展示室、庭園だけでなく、ちょっとしたところにも盆栽が飾られています。男性用御手洗い前の飾り棚は、ひそかにチェックポイントです。

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この日の盆栽は、高さ20cmくらいの夏草の寄せ植えでした。照明もあるので、立派な飾りに見えます。展示室の盆栽は大品が多くて圧巻ですが、この場所では小品や草ものが飾られているので、ほっこりしますね。

中級、実技シリーズ <エピソード2 ~師匠の決断~>

【衝撃の大きな決断】

さて、再度デモンストレーションです。さて、原師匠、お次の技は。なんと!!左側の太い枝を切り落としてしまうという衝撃波!!(すみません。ビビリ素人にはこんなに立派な太い枝を切り落とすという発想自体が生まれてきません)しかし、原師匠はこの樹の将来の姿をイメージした上で、「この枝は不要」と判断し、切り落としてしまいました。ひょえ~! 

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原師匠が、デモンストレーションで真柏のかなり太めの枝をバッサリ切っても、皆真剣にその手元も見ているだけです。「おおーっ!」という初級コースで見られた驚きの声が今回は聞こえません。人間、一度見たものは慣れてしまうのですね。可愛くないというか、学習したというのか、免疫恐るべし。。

しかし、根元から全部切り落とすのではなく、少しだけ枝元を残しておきます。なぜ??それは、残した部分でジンを作るのです。さすが師匠!そんな発想自体が素人には出てきません。脳みその皺を刻んでまたお利口になりました。

 ちなみに、ジンを作るのは一年中どの時期でもできるそうですが、冬は樹皮が固くなっているので剥きにくいとのこと。成長している春から秋くらいが樹皮を剥きやすいようです。必要以上に樹皮が剥けてしまわないよう、予めぐるりと浅く切り込みを入れておきます。

 【真柏トリマー?】

柏の葉の整え方が私は分からずに悩んでいたのですが、今回の原師匠のデモでスッキリしました。

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写真のように親指と人差し指で挟むように葉先を握り、そこから飛び出た葉をつまんで取っていくのです。おおー!これは分かりやすい!師匠が「美容師さんが髪の毛をカットするときに指先で挟んで飛び出たところをカットするようなもの」と表現されたことで腹落ちしました。これなら私でも楽しく床屋さんごっこできそうです。

▽こちらが、原師匠がデモで手掛けた真柏です。見違えるくらいスッキリして盆栽らしくなりました。 角度もポイントですね。

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【師匠のお手本でおさらい】 

おさらいのために、原師匠のデモのスナップを並べてみます。時系列で左上→右上→2段目左→右→3段目左→右という写真の流れになっています。

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左上の最初の素材が右下の盆栽と同じ樹だとは思えません。原師匠にはこの完成形が手入れする前から見えているのでしょう。

一方、私の真柏ちゃんは、まだまだ悩みの多いお年頃なので、中途半端です。都会人にあこがれる地方出身者のように、ゆっくりでも少しずつ垢抜けていきたいものです。師匠のお手本の後に載せるのは恥ずかしいのですが、自身の成長記録のために私が担当する真柏ちゃんのビフォーアフター載せておきます。

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 △Before               △After

 

【盆栽には休息を、自分には宿題を】

本日の作業後は、培養所で預かってくださいます。いっぱい剪定した後なので、お水もたっぷりあげて樹を休ませます。しばらくお世話になりますm(_ _)m

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今回、宿題が出されました。次回の講義までに自分の真柏のスケッチを描いて樹形構想を練るというものです。まじですかー!と怯みそうになりますが、これも自分の成長のためなのでがんばりまーす。(夏休みの宿題のようにきっとギリギリまでやらない派)

 

 【おまけ:もみじの葉刈後の処理】

培養所にちょうど今期の初級コースの皆様が扱ったもみじが置いてあり、もみじの葉刈り後の新芽の処理方法を原師匠が教えてくださいました。葉を小さくするための葉刈り後に新芽がドバっと同じ枝先から吹き出てくる場合、勢いのある新芽も摘んだ方が良いとのことです。

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もみじは柔らかな新緑や紅葉を楽しむものだと私のような素人は考えがちですが、原師匠曰く「冬の枝の美しさを追求するもの」だそうです。先日の芙蓉園の竹山さんの作品を思い出しました。そっか、、あの息をのむ美しさは、細かな枝の作り方から生まれるのですね。もみじはすぐ伸びてしまうので、バランスよく細かな枝を作るのは難しそうですねー。奥が深いです。。

 

中級、実技シリーズ <エピソード1 ~運命の出会い~>

いよいよ、中級コースの実技が始まりました。一年を通じて同じ素材を用いて指導を受けながら、その時期に適した手入れ学んでいきます。実技のエピソードとして記録していきたいと思っています。(ちょっとアメリカのドラマみたいなタイトルで盛ってますが)

【準備万端】

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ちょっと早めに着き教室に入ると、講師陣がミーティングをされていました。本日の実技講座の進行方法や注意点などお話しされていらっしゃるのでしょう。一方で机の上には一人ずつ実習用の真柏(しんぱく)の苗木と道具が早くも準備されています。

▽各自の席に用意されているお道具セットとレジュメ

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本当に至れり尽くせりで準備してくださっているので、自宅で自主練するときにアカデミーの準備の有難さがよーくわかります。本日もよろしくお願いします!

 【パートナー選び】

席は先着順で好きなところに座ることになっていたので、自分のパートナーとなる樹を選びます。ボサボサ状態の外観で苗木の良し悪しがそんなに分かるわけではないものの、アカデミー初級を終えて展示会でも良い盆栽を少しは見てきたので、ここは選択眼が問われるところとばかり、鑑定団になったつもりで選びます。この樹と今後1年間実技で絡み、その後もお世話することになります。ゆっくり素材と対話する時間はないので、一目惚れで選びました。さて、運命はいかに? 

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受講生の皆様もそれぞれ苗を選び、熱心に色んな角度から眺めて早くも正面を検討しているようでした。さすが中級、指導前から皆様積極的に素材と向き合っています。おっと、まずは手入れする前の姿を撮っておかなくちゃね。

 【本日のメニュー】

中級コースも、お馴染みの原師匠(インストラクターの先生です)の講義で安心です。今日のキーワードの板書と樹形作りの見本もご用意くださっており、分かりやすいです。中級コースでは真柏を使った実習で学んでいくようです。本日は樹形作り三要素、①切る②曲げる③傾ける、の中の「切る」作業で、「剪定と正面を決める」をメインとして進めていきます。

f:id:katsuo_24:20180609064412j:plain素材は「真柏(しんぱく)」です。真柏はヒノキ科で別名ミヤマビャクシンと呼ばれ、北は北海道、南は屋久島まで日本全域に広く生えているそうですが、盆栽で良く知られているメジャーな真柏といえば糸魚川真柏(いといがわしんぱく)で、緑の細かな葉性(はしょう)が特徴です。五葉松と違って、手入れで細かなことは気にしなくていいようです。ズボラな私向きです。

【デモンストレーション、まずは輪郭づくりから】

初級でやった剪定方法をレジュメで復習しながらさっと解説いただき、早々にデモンストレーションです。百聞は一見に如かずとはこのこと。やはりライブで手入れ方法を間近に見られるというのは、何よりも参考になります。

まずは、徒長枝(とちょうえだ)と呼ばれる、飛び出た枝や基本的な余分な枝を落としていきます。大まかに切っていくとある程度樹の輪郭が見えてくるため、正面も決めやすくなります。

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真柏の剪定は初めてなので、初級コースで扱った五葉松と違う鋏の入れ方を教えていただきました。真柏は鱗片状に新芽が出るため、斜めに鋏を入れる必要があるとこのと。

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真横に鋏を入れると切り口から枯れてしまうことがあるようです。これは覚えておきたいポイントです。

  【細部の処理】

徒長枝を落とした次は、忌み枝(いみえだ)と呼ばれる、不要な細かな枝を切っていきます。閂枝(かんぬきえだ)、車枝(くるまえだ)、脇枝(わきえだ)、下り枝(さがりえだ)といったごちゃごちゃに見えている原因の細い枝を切り、スッキリと整えていきます。細かな枝を整理しつつ、正面を意識して幹や枝ぶりが見えるように小枝の剪定を行っていきます。もうこれだけでも盆栽っぽくなっています。なんたって早い!そして解説しながら受講生側に手元を見せながらって。難しいだろうなぁ。。

▽上記デモで原師匠が徒長枝や忌み枝を処理した段階 

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原師匠のデモンストレーションの後で、早速各自の素材のお手入れです。皆様、真剣に自分の真柏と向き合っています。正面はどこにするか、角度はどのようにつけるか、どの枝を残すか、、インストラクターの方々に相談しながら作業を進めます。自分のやり方でいいのか、この枝を切っていいのかと、やっぱり相談したくなるのでインストラクターの方々のサポートが心強いです。

f:id:katsuo_24:20180610070524j:plain初級コースでは「切る」だけで精一杯でした。まだ「切る」のも自信が持てないので、恐る恐るという感じですが、それでも実際にいくつか手を入れているとだんだん「この枝要らないな」と見えてくるようになった気がします。やみくもに切っていたときと、考えながら切るという違いが少しだけ成長した気がします。なんてね。

【迷ったら切らない!】

皆が作業に没頭していると、原師匠が「迷ったら切らないでください」と仰いました。これ、重要です!原師匠がてきぱきと見事な手さばきであっという間に次々と枝や葉を剪定していく姿を見ていると、つい自分が上手くなったような錯覚に陥ってしまい、自分もチョキチョキ切ってしまいそうになります。当たり前ですが、何十年も盆栽歴がある師匠と1年しか盆栽触っていない自分が同じようにできるはずがないのです。ここで、我に返って、焦らずに将来の盆栽の姿をイメージしながら、一つ一つの作業をやっていきたいところです。

                           >>>エピソード2へ続く

 

【おまけ:梅花の見分け方】

講義の途中で、原師匠が「梅の花が咲くかどうかの見分け方」を教えてくださいました。これは見ただけでは分かりにくいので、実際に見本を各テーブルに回して触らせてくださったのですが、葉を触った感触がザラザラしたしたものは花が咲かず、ツルツルしたものは花が咲くそうです。同じ樹でもザラザラとツルツルがある場合もあるのだと。メモメモ。

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△この見本では、左側の葉がザラザラ。手が触っている右側の葉がツルツルです。

テキストには載っていませんが、時間内に少しでも受講生に生きた盆栽の知識を授けてくださることにも感謝ですね。

ちょっと背伸びの中級コース、始まりました。

 昨年から始まった盆栽アカデミー、今回も抽選でしたが、なんとか2度目のチャレンジで当選し、中級コースに行けることになりました(今回も2倍の倍率だったそうです)。これはブログ続けなければ、落選してしまった方に申し訳ない、、と誰に言われたわけでもありませんが、自分で圧をかけて頑張ります! 

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 久々に受講生として教室に入ると、やっぱりワクワクします。そして、初級コースで同じクラスだった方や、モニター取材でお伺いした初級コースの方がいらしたので、お顔は分かりますがまだお互いよく知らないという、ちょっと恥ずかしいけどよろしくね、という感じが中学時代の進級したときの感覚に似ています。

  【重みのあるお言葉】

さて、ほぼ1年ぶりの開校式です。今年から着任された大宮盆栽美術館副館長の栗澤氏(下写真左)の爽やかで丁寧なご挨拶に続き、大宮盆栽協同組合の浜野理事長(下写真右)のお話は背筋がしゃきっとしました。「中級となったのならば、盆栽園に実習に行ったとき、単に教えてもらうことを待っているのではなく、自ら質問して学ぶ姿勢を持つように」 とのお言葉。

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中級コースでは、終盤に実際に盆栽園に出向いてご指導いただく実習の回が設けられています。盆栽園にはプロを目指すお弟子さんや盆栽教室の生徒さんたちがいらっしゃいます。彼らはすでに何年も盆栽園で盆栽のお手入れをされているのです。盆栽歴1年そこらの輩がポンと「アカデミーの中級でーす」なんてズケズケ入ってきたら、それは「勘違いしてんなヨ」って思われても仕方ありません。技量が彼らに遠く及ばないことを自覚しつつ、謙虚に学ぶ姿勢を持ち続けていたいと思います。

  

【第1回講師は公務員盆栽師】

中級コース第1回目講師の中村さんは、盆美の盆栽師でありながら公務員でもある方で、清香園(せいこうえん)という有名な盆栽園で6年間修業を重ね、盆栽師として技術をもった方です。公務員盆栽師という肩書は世の中にたった二人だそうです。特技で貢献できるってとても素晴らしいですね。

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毎月第二日曜日の午後は一般の方々の「盆栽相談デー」に中村さんはじめ、指導くださる方がいらっしゃるようなので、ワークショップや初級コースで作った盆栽を持っていけば具体的にご指導いただけるとのこと。困ったときの駆け込み寺があるというのは心強いです。

さて、講義へ移りましょう。

【改めて樹齢とは】

「樹齢」って、例えば「この樹は樹齢300年で…」という説明を何気なく聞いてへぇーって思うだけでしたが、これはそのまま樹木の年齢のことです。樹齢を正確に特定するのは難しいため、最近では「推定樹齢」と表記するようにしたとのことです。躯体や太さ、樹の種類などから樹齢を推測するようですが、実際に過去に枯れてしまった盆栽を輪切りにして年輪を数えたところ、推測値と近似だったので、現在でも推定方法として用いられているようです。 

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 △年輪の見本として紹介してくださいましたが、この切り株自体が見事で美術品のようです。(年輪が確認できるのは写真上部の切断面)できる限り長生きしてほしいのですが、森羅万象命には限りがあります。樹木も呼吸して生きているので、永遠というわけにはいかないのでしょう。

昭和初期の頃、山に自生していた姿の良い樹木を根から採って盆栽にしたものが「山採り(やまどり)」と言われて多く流通していたようです。自然に生えていたものですから、樹齢も曖昧になるのは否めませんね。現在、山で勝手に樹木を採取することは禁じられていますので、私たちが盆栽園で気軽に買えるようなものは、かつて山採りされた盆栽から挿し木や接ぎ木で増やされた子孫がほとんどのようです。糸魚川真柏(いといがわしんぱく)は代表的ですね。ペット業界でいう血統書みたいなものでしょう。

【持ち込み】

盆栽用語は色々聞きなれない言葉が良く出てきます。今回は「持ち込み」という言葉。昨年まで聞いたこともありませんでした。盆栽の培養年数の基準用語(盆栽大辞典)とのこと。「持ち込みが良い」「持ち込みが古い」という使われ方をするようです。

例えば、「持ち込みが古い」というのは、「盆栽鉢に植えてから長年経過していること」を指すようです。どうしてそのような語源なのかは不明ですが。「持ち込みがいいねぇ」なんて盆栽見て言ったらツウっぽく思われること間違いなしですが、私のような素人が迂闊に使って実際は持ち込み年数2,3年だったらちょっと恥ずかしい思いをしそうです。

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 △推定樹齢70年~80年程度の山もみじ 

長く持ち込んだ盆栽は、自然に品位が備わって、幹や枝、葉の味わいに、侘び、寂びがにじみ出てくるため、持ち込みの古さが尊ばれるとのこと。なるほど、一朝一夕にはいかないものだからこそ、価値も高くなるのでしょうね。

講義では、いくつかの盆栽の昔の写真と現在の写真を比べてひとつずつ丁寧に解説してくださいました。樹種によって持ち込みの特徴(経年変化)が異なる点が面白かったです。共通するのは、どれも元々山に生えている自然の樹木ですから、盆栽として鉢に植えて手入れをしなければ高さ数メートル、幹回りも何十センチと成長してしまいます。そこで、盆栽として何十年も小さく形よく育てるためには技術が必要になってくるというわけです。その技術を習得された方々が盆栽師としてご活躍されているので、今日まで貴重な盆栽たちが枯れずに受け継がれてきたのですね。 

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今回の見本として中村さんがご用意してくださった「山もみじ」は、樹の高さに比べてとても薄い盆器に植えられており、根張り(ねばり)がどっしりとして幹のコケ順も良く、枝が密に出て小さな葉もたくさん茂っているので、見事に大木感が出ています。この盆栽を間近で見上げるとまるで大木の下にいるようです。

これだけ薄い盆器にいれるため、相当底根(そこね)を追い込んだとのこと。(盆栽用語で「追い込む」というのは切り詰めること)植替え後に重要なのが水やりだそうです。水やりは簡単そうで奥が深いようです。

講義後にこの盆栽に近づいて観察しましたが、受講生たちの中にはすでにボランティアとして活躍されていらっしゃる方もおり、中村さんへの質問が高度で驚きました。まだまだ未熟者ですが、皆さんに付いて行けるよう復習しまーす! 

【盆栽と庭木の違い】

帰宅後、家の小さな庭に植えてあるもみじと葉の大きさを比べてみました。「持ち込みが古い」もみじと庭木のもみじ、明らかに葉の大きさが異なります。ミニチュアとして品種改良されたものではない、という点が盆栽師の方々の驚くべき技量です。

f:id:katsuo_24:20180521124721j:plain△盆栽の葉               △自宅の庭木の葉

とにかく、盆栽は実際に手入れしないと分かりません。そして、多くの良質な盆栽を見ることも、知識を得ることも重要だと実感できたことが初級コースを終えた自分の一番大きな成長でしょうか。中級コース、少しだけ背伸びが必要なのでブログ内容も少しだけ堅苦しくなりそうですが、備忘録としてお付き合いいただけますと幸いです。

 

【おまけ】

さて、私が目指すのはやはり「お気楽盆栽生活」なので、素人がやってみたなんちゃって盆栽をご紹介。昨年の7月に八ヶ岳で購入した萩の苗を盆栽として自主練したものです。f:id:katsuo_24:20180521125219j:plain一番左が花が終わった直後の苗(2017/7)、真ん中が植え替え後(2017/7)、右側が針金掛け(2018/3)後に新芽が出たところ(2018/4)です。この後針金を外しました。暖かい日が続いたせいでしょうか、早くも満開になったので玄関に飾ってみました。

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完璧ではなくても、苗から自分で植えて成形したものに花が咲いて見頃を迎えられたのが嬉しいです。この喜びが盆栽の楽しさでしょう。うーん、こうして見ると左側の枝は切ってもよさそうですが、まだ勇気出ません。ここが素人っぽいですね。

 

森の散策で見つけた半端もの

盆栽の小さな木々たちから出るフィトンチッドでは仕事漬けで毒された私の体力を回復できるだけの量が放出されないため、自分が移動して森に出かけてしまいました。そして、そこでは、完成形ではない色んな半端の生命力を見つけました。

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△雪が残る八ヶ岳

 【ダイナミックな生命力】

でっかい樹木はやはりダイナミックな力が宿っています。赤松の木肌から出ているのは松脂(まつやに)でしょうか、家の盆栽からこんなん出ちゃったらちょっとヤダナーと思いますが、自然観察は盆栽育てることにもきっと役立つと思いながら観察しました。 

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▽こちらは同じく赤松に付いたウメノキゴケ。梅の木じゃないけどね。

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ウメノキゴケはよく見かけますが、この苔は空気が綺麗な場所でないと付かないそうですね。さすが高原、デトックス効果期待できそうです。赤松の樹皮も見事ですね。この樹皮に我が家の盆栽ちゃんが到達するのは何十年先でしょうか。。(またもや遠い目)

 

そして何と言っても、今回驚いたのは、この蔦(つた)?もう、蔓(つる)と呼ぶには太すぎて、絡みつかれている松?と同じくらいの太さです。

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バックに写る家からサイズ感が分かると思います。しかも蔦に苔まで生えて、風格ありすぎます。キングオブ蔦!じっくり観察したかったのですが、信号待ちの車中からだったので余裕ございませんでした。残念。やはり、絡みつかれた樹木は根元に穴が開いていることからも分かるとおり、命わずかでしょう。

【かわいらしい生命力】

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山の上では、ちょうど春まっさかりで、山桜が満開でした。とはいえ、例年より2週間くらい早いようでしたが。自然の山桜は人の手で作られたソメイヨシノや鑑賞用の桜と違って花も小さく可憐です。それでもまだ緑が少ない森の中でひっそり咲く姿は奥ゆかしく、ぽっと暖かさを感じます。

 

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 お次はこれ、一瞬何かと思いましたが、恐らく完食後の松ぼっくりです。犯人はきっと愛らしいリスさんです。この後でしっぽがふさふさで、おしりプリプリのリスさんを近くで見かけましたが、あまりのすばしこさにカメラ準備も追い付きませんでした。

それにしても綺麗に食べますねー。私が食べるトウモロコシの完食後のようです。

 【生まれたての生命力】

足元を探すと、冬を越したであろう小さな木の芽がちょこちょこ顔を出しています。この付近、冬は雪が積もっているはずなので、きっと昨年芽吹いたものでしょう。小さいので見分けがつきにくいのですが、近くにある木から判断して、恐らく赤松ちゃんと白樺ちゃんです。すくすく育って立派な森の木に成長してください! 

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見つけました。天然タラの芽です。私は子供のころから山に馴染んでいるため、自然に生えるタラの芽もわかります。でも、山菜取るときには、所有者にお断りするのが礼儀なので、きちんとお断りしていただきました。やっぱり天ぷらです。春の香り、いただきましたー!

 【宿る生命力】

これは、数年前から時々見かけて気になっていた木についた緑のボールです。(色が綺麗に写っていません。ごめんなさい)写真では1つですが、木によってはこの緑のボールがいくつもついて、まるでクリスマスの飾りのように見事に飾られています。鳥の巣ならば、枯れた小枝でできているはずなので、緑が生い茂るボールというのが不思議でした。

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これは宿り木(やどりぎ)だそうです。現代はネットで何でもすぐに調べられるので便利ですね。

  

【おまけ】

森の散策をしていると、多くの野鳥のコーラスがあちこちから聞こえてきます。なかなか近くで撮影できませんが、ちょうど捉えることができました。さて、どこにいるでしょう? 

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 △画面を9分割すると、一番上の段の真ん中に小さく写っています。ヤマガラちゃんです。鳴き声は日本野鳥の会のサイトからどうぞ~

 

サボラーたちに朗報、おサボりアイテム登場!

新芽が次々と芽吹く3月4月は、生活のための仕事が鬼忙しくて盆栽ちゃんたちに水やりするのが精一杯でした。自分の髪も切りに行けないほどで、盆栽ちゃんたちも私もボサボサ状態です。休みたいー!

▽高さ10cmもないミニ盆栽の笹から穂が出てしまいました。今は放置。

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ともかく、ビッグウェーブの仕事の締切が過ぎれば休めるので、休むために仕事の合間に準備を進めておりました(←これ重要)。まとまった休日に遠出したいのですが、そのためには、盆栽ちゃんたちの世話をどうにかしなくちゃ。これはペットと同じですね。連れていくか、預けるか、、

 私は手抜きで楽ちんな盆栽お手入れをモットーとしておりますので、日々の生活にゆとりがあって、美しく整った盆栽を作りたい方は、ちゃんと盆栽園のお教室に通う方がようございましょう。盆栽ちゃんたちは、愛でてあげればあげるほどきっとステキに成長するのだと思います。雑な私には雑草のような逞しさを兼ね備えた盆栽たちでないと。

 【長期不在時の悩み相談】

昨年はアカデミーで各自が持ち帰った「五葉松」と「捻幹石榴(ねじかんざくろ)」だけだったので、長期休暇中は友人に預けましたが、さすがに何度もご迷惑おかけするわけにはいきません。そして、色々盆栽市やら盆栽園やら行っていると、徐々に手元に盆栽が増えてしまうものです。お隣さんにお願いするほどのお付き合いもないし。。やはり盆栽園に預けたいのですが、盆栽市で販売していらっしゃる方の数人に預かっていただけるか聞いたところ、どこも「置く場所が無い」とけんもほろろ。その中の1名の方が「少しならいいよ」と仰ってくださいましたが、普段からその盆栽園に通っている顧客でもないので、気が引けます。盆栽お持ちの皆様はどうしていらっしゃるんでしょう?

 【困った挙句、自動水やり器購入!】

以前は鉢植え植物用にペットボトルの先に漏斗状のプラスチックをつけたものをセットしたり、バケツに入れた水を線でつないで徐々に水やりする装置をセットしたりしましたが、盆栽鉢のサイズもまちまちで、数も多くなってしまったので、新たな手段を探しておりました。

 そうしてたどり着いたのが、ネットで探したこの自動水やり器。webでの評判も良かったので早速購入してみました。

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タイマーで毎日決まった時間に水やりができるとのこと。分岐させれば同時に何鉢も水やりができます。そのためのアイテムも同時購入。(ホースは付いていないので、別途ホームセンターで購入する必要があります)

 【設置と試運転】

休暇前に試運転しないと怖いので、仕事の合間に水やり装置をセットしました。水道に繋いだ右側のホースから水がこの装置に入り、設定した時間になると左側から一定時間水が出る仕組みです。(写真右:高さが足りなかったため、ミスした設置時のもの)f:id:katsuo_24:20180502124132j:plain

分岐した黒い先端を個々の鉢に挿しこみます。白いネジ部分で水の出る量を調整できるので、大きめの鉢と小さな鉢で水の出る量を別々に調整できます。毎朝6時から3分間水が出るようにセットしてみました。

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2,3日試運転してみて、葉水が足りないと感じたので、自分がいるときにはシャワーで水をかけましたが、これは便利!長期不在も暴風で鉢が倒れなければ大丈夫でしょう。

この試運転が上出来だったので、追加で10本分岐の細い管を購入し、我が家の盆栽ちゃんたちは点滴の管を挿入された状態となりました。この水やり装置、色々付属品を揃えるとちょっとお高くなってしまいますが、長期不在が多い方にはオススメアイテムです。

 水の配管を考えるという作業は、これまでやったことがなかったので新鮮でしたが、これって電流みたいだなぁ、いかに無駄なく最短距離で効率よく水を行きわたらせるか、、とコネクターの凹凸も考慮しながら悪戦苦闘し、どうにか20鉢にセット完了。 f:id:katsuo_24:20180502125516j:plain

セットした結果、小さいものも含めて20鉢以上もあり、一部はトレーに水を張ってしのぐことにしました。

盆栽って、つい増えちゃうものなんですね。ツレから「これ以上増やすな!」と釘をさされていまいました(汗) 

 

【おまけ】

新緑の柔らかな緑の時期を楽しまないのはもったいないので、2日間だけ玄関に飾りました。

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どちらも昨年購入したものですが、それぞれ植え替えました。ヒナギクも無事越冬して花を咲かせ、紅葉は秋の紅葉も楽しめたので、1粒で何度も美味しいのが盆栽のいいところですね。

 

 

初級コース番外編、五葉松の同窓会<後編>

遅くなりましたが後編です。さあ、インストラクターのお手本を見た後は、各自の五葉松の植替え作業です。ある程度作業台の高さがあると作業がやりやすいですね。だから盆栽園では台に載せて椅子に座って作業するのだと最近気づきました。(これも初心者あるあるでしょう。自宅で地面の高さで作業していて腰が痛くなりました。)

【皆さんの作業風景】 

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【キター!共生菌!】

さて、皆の写真を撮っている場合じゃありません。自分の五葉松君も植え替えせねば。。なかなか抜けなかったので、ハンマーで鉢の角をたたいて取り出してもらいました。そうしたら、四角くびっしり生えた根に白くヴェールがかかっているじゃありませんか!こ、これは!

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共生菌様のご降臨です!やったー!!早速臭いも嗅いでみました。なんと、しいたけみたいなキノコの匂いがします。これはラッキー!とはいえ、ほぐして古い根を切ると共生菌も落としてしまうことになってしまいます。

そこで、効果のほどは分かりませんが、カットした根(共生菌が付いた白い部分)を周りのお友達にもお裾分けをして、自分もおまじない的に新しい鉢にも少し埋め込んでみました。さて、共生菌の再現なるか?これはまた3年後くらいに判明しますね。

 【植え替え後】

途中経過は省略し、植え替え後はこんな感じになりました。植え替え前に成長していた苔を残しておき、新しく植え替えた土の上に置いてみました。土が綺麗になると苔まで綺麗に見えるものです。鉢も同じものです。ビフォーアフターを検証するとこんな感じ▽

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植えるときに正面を少しだけ変えてみました。いっぱい根を切り詰めてしまいましたが、無事に新しい根が生えてくれるでしょうか。。何事も初チャレンジはヒヤヒヤします。

 【春の盆美】

植え替え作業はアカデミーのスタッフの方々が事前に準備をしてくださっていたおかげで、1時間で終わりました。少し物足りないくらいです。(おーっと、余裕の発言)

せっかく盆美まで来たので、展示作品を見ないで帰るなんてあり得ません。お庭も一通り見ました。盆栽が他の美術作品と大きく違う点は「生きている」ということです。春の息吹を感じられる展示を見ていると、柔らかな新芽が一斉に出る春はやはり気持ちが明るくなって良いなあと、肩こりがほぐれるような気がしました。

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出猩々(でしょうじょう)という種類のもみじは、春の新芽が真っ赤なのでまるで紅葉のようですが、夏になると緑になるようです。不思議ですね。

 

【おまけ】

今年は3月に暖かい日が続いて桜があっという間に満開になってしまいましたが、せっかく同級生たちが集まる日なので、五葉松の植替えが終わった後で盆美の近くにある公園でお花見しました。

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リスの小屋もあり、思いがけずピクニック気分を味わえました。本日のフォトジェニック賞はこの子です♪

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