緊急事態宣言解除で再会!

【やっぱりリアルがいい】f:id:katsuo_24:20200621103929j:plain

久しぶりに、さいたま市大宮盆栽美術館に行ってきました。もちろん換気も対策もしっかりされています。外出自粛していた期間が長かったのですが、盆栽さんたちは休館中も盆栽技師の皆さまに手入れされており、元気に青々とした姿で出迎えてくれました。

【お目当ての五葉松】

梅雨の時期は、今年の新芽が徐々に濃い緑になっていく瑞々しい姿を楽しめます。私は盆美のサイトで「うず潮」という銘がついた五葉松が館内展示されている姿を見たかったのもひとつの目的でした。▽3年前の「うず潮」(推定樹齢約500年)f:id:katsuo_24:20200621104251j:plain

館内展示は撮影禁止なので、ここには3年前の姿を載せますが、ぜひ、今の期間中に盆美に行ける方は、この写真と現在の「うず潮」の写真を見比べてみてください。3年間でこんなに変わるのかという発見があるはずです。季節や年月で変化するアート、それも盆栽の魅力です。

【珍しい開花時期に遭遇】

そして、撮影可の屋外展示では、「姫しゃら」の花が咲いていました。花の時期が限られているのでしょう。私は初めて見ました。かわいらしい白いお花です。f:id:katsuo_24:20200621104716j:plain

【実物続々】

青々とした実をつけているのは、「姫りんご」の盆栽。秋にはこの実が赤く色づくのが楽しみです。植物の季節感は見事ですね。ちゃんと季節を教えてくれます。何気に前掲の「うず潮」背景の無垢材の塀の年月を経て落ち着いた色への変化も面白いです。f:id:katsuo_24:20200621104808j:plain

盆栽の実物の代表格といったら「かりん」でしょう。冬の白い枝先に黄色い実がアンバランスについている姿はとても芸術的です。その実も、どの枝につくのかわからないのがお楽しみ。今の時期は緑に茂る葉の合間に「あ、ここにもある!」と青い実を発見するのも楽しい見方です。 

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【おまけ】

前回のブログで掲載した「舞子」という銘の五葉松の今年の姿です。昨年との違いはどこでしょうか。むむう。これは高度な間違い探しで難しいですね。

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盆栽ガイドへの道は発表会から

【初めての試み】

上級コースの第1回目で、学芸員の方から直々に盆栽について初心者に向けて解説する「解説手法」というものを教えていただきましたが、今回はその約1か月後に、実際に自分たちで解説してみるという試みです。

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盆美側も初めての試み、受講生側も初めてのチャレンジです。4人1組のチームで「正面と背面」「見どころ」「樹種樹形」「技」というパート毎に1人ずつ解説していきます。1組20分間を目安に皆の前で発表します。時間の目安も重要ですね。皆の前での発表は緊張しますが、ここはチャレンジの場です。容赦なくファシリテーターの田口学芸員がサクサク進行させていきます。

発表会前、「この1か月間に自主練しておきましょう」という宿題が出ていましたが、ワタシはすっかりおサボリしてしまい、同じチームの友人が用意してくれたカンペを当日慌てて頭に叩き込みます。すっかり一夜漬けモード。同じチームにできた友人がいたことは大いなる救いです。ありがたやー!!テスト前にノート貸してくれる素晴らしい友人を思い出しました。

【特徴でるでる!】

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同じスライドを使って4人の発表者たちがそれぞれ順に解説をしてゆくのですが、同じスライドを同じ順番で説明しているにもかかわらず、チームや発表者によって全くカラーが違うことがまず驚きでした。

とても控えめで遠慮がちな発表者がいる一方、独自に自分の体験や感想を加える方や、スライド以外の写真や資料を持参して独自の解説を加える方も、、こんなに個性が出るものなのだという面白い発見です。少々前のめり過ぎて一人5分の持ち時間を大幅オーバーな方もいましたが、それだけこの課題に対して熱心に取り組んでいらっしゃるということでしょう。

感心、同意、爆笑、苦笑など、、大勢(といっても15人くらいですが)の反応が見える形での発表会というのは、体験する機会そのものが少ないので、チーム発表には色々な効果があると思います。

個性の強い受講生たちの発表でしたが、ファシリテーター役の田口学芸員が、どんな変化球が飛んできても上手に進行をまとめていたことが「さすがプロ!」と、感心してしまいました。

【ボランティア強し】

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中には、すでに盆栽美術館でボランティアスタッフとして、盆栽の解説をすでに何度もご経験された受講生も数人おり、彼らの解説はさすがに場数を踏んでいる安定感がありました。経験を積むというのは、どの分野でも強みになりますね。

仕事ではなく自発的に参加し、世界を広げていくというのは最初の一歩が踏み出しにくいものですが、体験や知人から輪が広がると自然に溶け込みやすいでしょうね。

 

【この発表会を活かせるか?】

個人的な意見ですが、ボランティアガイドとして盆栽初心者の来館者に向けて解説するのであれば、美術館がパネルで解説展示している基本事項を制限時間内でお伝えすることを念頭に、解説者個人のエッセンスを少し加える程度が妥当な範囲だと思っています。ギャラリートークなど、学芸員のお話をコピペするところからがスタートでしょう。今後、これまでのこうしたイベントがどういう形になるのか気になるところです。
とにかく、鑑賞する人はそれぞれに自由であり、彼らの自由な感想を引き出すために、ほんの少し見どころポイントをお伝えして鑑賞のお手伝いをする、、、そんな謙虚さを忘れずにいたいものです。独自の考察や想い、センスなどは、自分の盆栽やSNSなどのツールで発信すればいいじゃないかと。

 

【おまけ】

これは、ほぼ1年前の同時期に盆美の庭園に飾られていた五葉松(銘:舞子)です。

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森のようで癒されますね。鉢からの高さ(樹高)は50㎝くらいでしょうか。推定樹齢はなんと約350年とのこと。こんなに薄い鉢の中で350年ですか!精霊が宿っていそうです。我々よりずっと長生きの、次の世代に引き継がれる生きた文化財です。

 

【そして、再開です!】

新型コロナウィルスの影響でしばらく閉館していましたが、先月末からさいたま市大宮盆栽美術館も対策をとりつつ開館されました。盆栽はコロナ禍の外出自粛モードにあっても自宅で愉しめる趣味だと再認識しましたが、やはり美術館に展示されている作品を見たくなりますね。今は瑞々しい新緑が美しい季節なので、また出かけてみようと思います。

 

盆栽園にて実習 上級コース<第2回>

【敷居が高いかどうかは、気持ち次第】

大宮の盆栽町には盆栽園がいくつかあります。今回は、6か所の盆栽園に数名ずつ分かれて実際の盆栽園の仕事を実地研修というスタイルで学ばせていただくという贅沢な取り組みです。盆栽園の皆様は、それぞれのお仕事でお忙しいのに、我々のようなほぼ素人を受け入れてくださるのも、盆栽アカデミーのカリキュラムを策定してくださった方々のご尽力によるものです。

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【櫓が印象的な松雪園(しょうせつえん)】

ワタクシが指定された盆栽園は、松雪園というところで、住宅街に突如現る櫓(やぐら)がとても印象的な盆栽園です。アカデミー事務局から口酸っぱく「ご迷惑にならないよう、準備していくように!」とのお達しもあり、我々は緊張しつつ初めての園にお邪魔しました。中級コースの時にお世話になった園とは違う園での実習となるように人員配置してくださったようです。これもまた、園によって特徴も違うので楽しみの一つです。

【盆栽園側も手探り?】

園にお邪魔したのは、7月上旬。実際の盆栽園のお仕事を学ぶことが主な目的なのですが、その時期に行う作業をお手伝いするということで伺いました。中級コースは教えていただくことがメインでしたが、上級コースではお手伝いくらいできなきゃね。というスタンスだそうです(実力が伴っていない点が困ったものですが)。園側も人に教えるのが本業ではないので、戸惑われたと思います。とはいえ、快く受け入れてくださり、ご準備くださっていました。▽作業場での黒須園主と手入れを待つ素材の皆様

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7月上旬にやる作業、このときは葉切り作業です。春にいっぱい吹いた新芽も、初夏には青々と茂ってきます。葉があまり茂りすぎると、風通しが悪く、懐(ふところ)芽が成長できなくなってしまいます。雑木(ぞうき)盆栽という広葉樹で落葉するタイプの種類は、冬に細かな枝を見せることも見どころなので、枝を密にしていくために必要な作業です。ここは密でいいんです!

【目にもとまらぬ早業】

園主の黒須氏が、まずお手本の作業を見せてくれますが、これが目にもとまらぬ速さで鋏を操り、サクサク葉切りをしていきます。(もたもたしていてブレた写真しか撮れませんでした。。)うむ。速さは到底敵いませんが、この作業なら素人に毛が生えた程度の我々でもできそうです。とはいえ、扱う盆栽は立派な大きさ、かつ売物なので、ちょっと緊張しながらの作業となります。

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しかし、葉の数が多いこと。黙々と葉切りの作業を行います。単調な作業ですが、無心になれるのがなかなか良い感じです。枝の剪定は悩みますが、葉切り楽しー!と言えるのは、1鉢だけだから言えるのかも。。数十、いや百を超える鉢の盆栽の葉切りを想像すると、ちょっとぐったりしそうです。

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午前中かけてなんとか作業を終えた盆栽ちゃんです。随分すっきりして風通しが良くなりました。

【お昼休み】

今日は一日かけての実習です。お弁当や道具持参でお邪魔しましたが、園ではなんだかお客さん扱いしてくださって恐縮してしまいました。粗相のないように、お行儀よくねー。食事の後、少し時間があったので、園内を見学させてもらいました。堂々たる見事な盆栽の数々はもちろん、培養中の盆栽もいくつもあり、勉強になります。培養中の面白い鉢もあります。出来上がったものではなく、過程をみられるのは盆栽園実習ならではです。

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これは真柏の養生中盆栽ですね。元々の幹に新しい芽を接いで人工的に枝を作る技術ですが、何年もかけて作る作業なので、根気がない人には向きませんね。(←ワタシです。)

【午後の作業】

午後は、黒松の新芽切りです。樹勢が良いのでしょう、ぐんぐん新しい芽が出ています。これらの新しい芽の中でも強い芽(一番長く成長している芽)を切って弱い芽の成長を促します。そうやってバランスとって将来枝となっていく芽を育てるのですが、まだまだ未熟者の我々は、言われたままに作業することしかできません。すんません。。で、作業前と作業後の松がこちら▽幾分すっきりしたでしょうか。

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【一日を終えて】

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盆栽園での実習は、お手伝いというより作業練習をさせていただく場という感じでしょうか。自分の小さな盆栽ではここまで作業をやることはできないので、盆栽園で数時間にわたって作業をするというのは貴重な経験です。足手まといの生徒の受け入れは、盆栽園さんにとっては面倒だったと思いますが、本当にありがとうございました。そして、門構えとは違って、気さくにお話ししてくださる園主さんや園に通っている生徒さんたちと一緒に作業させていただけたことは、心のハードルがまたひとつ下がったように感じました。我々の心のハードルが下がらなければ、エバンジェリストにはなれません!うっかり忘れそうでしたが。

 

【おまけ】

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長寿梅の花後に付いた実です。取り忘れて大きくなってしまっていたようで、それはそれで鑑賞用として楽しめそうでしたが、不要とのことなので、お土産にいただいてきました。とても良いフレッシュな香りがポケットに広がりました。

 

えらいこっちゃ、上級コース<第1回>

復習がてら昨年の記憶をボチボチたどりたいと思います。おサボりしすぎて今頃ようやくです。ハハハ。

【抽選です、念のため】

「さいたま国際盆栽アカデミー(2020年4月現在は新型コロナウィルスの影響で休館中)」という、やたらグローバルで高尚なネーミングのさいたま市主催の盆栽講座に通って時間だけは3年経過しました。やってもやっていなくても時間は経過するので、経験値が3年かどうかは別問題だということは、皆様ご推察のとおりでございます。

▼写真はこの時、珍しく撮影OKだった盆栽美術館の展示室(真の間)に展示されていた水石の席飾りです。日の出の掛軸との合わせ方で水石を遠方の山に見立て、右手に塔の置物で近景を表現しています。床の間の飾りは、色々あるんですねー。

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上級コースに行くには、もちろん、初級、中級を経ていないと進めないのですが、これらの受講可否は全て抽選で決まるのです。というわけで、たまたま運が良かっただけの12人で、上級コースにチャレンジです。メンバーは、抽選なのにほぼ男女比が半々、年齢も30代くらいから70代くらいの層の構成です。初回なので、受講生はもちろん、講師も幾分緊張気味でスタートです。

【期待されること】

盆栽美術館(以下、盆美)では、アカデミーのカリキュラムを色々試行錯誤しながら構築されています。イケメンでS気味の田口学芸員が、上級コース第1回目の講師です。

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1年を通じての本コースの目標は、「人前で説明できる力を養う」です。盆栽の基礎から魅力まで伝えられるようになること。今回は、「基本に立ち返る回」として初級中級を振り返り、鑑賞方法を伝える力をゼミ形式で話しながら進めて行こうというチャレンジです。将来、展示してある盆栽を見てその場で説明できるよう、基礎をしっかり固めていきましょう。

「盆栽って何ですか?」と質問されることが多い盆美の学芸員やボランティアの皆様のお話しも混ぜながら、解説方法について考察をする会ですが、世間一般的には盆栽の手入れ方法を学ぶ教室が大半の中、解説方法について考えるという面白い切り口です。

【名は体を表す】

田口学芸員は、「盆栽」という漢字の意味を解説してくださいました。「ぼんさい」という名前の意味って、考えたことあります?普通そんなこと気にしませんよねー。が、あえて漢字一つ一つをその部首やつくりまで分解して意味や成り立ちを考える、、さすがオタク、、もとい研究者、、深い、、いや盆栽の鉢は浅いから盆栽なのだ、、などと普段は使わない脳のパートを動かしている感覚です。

【かるた遊び】

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次に皆に配られた盆栽に関するスライドの数々。これらをグループ分けし、順番に並べ、解説してみよう!というチャレンジです。人の話を聞いているのは楽なものですが、いざ、自分が人に説明するとなると、途端に「あれ?」と方向性を見失ってしまうものです。手を動かしてスライドごとに説明を自分なりに考えてみると、分かっているようで分かっていないということが分かります。なんじゃそりゃ?

【お手本でおさらい】

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ひととおり各自で考えた後は、田口学芸員の詳細な解説でおさらいです。自分の考えの足りない点に気づきます。他人に興味をもって聞いてもらうって、とても難しいことだと思います。小学生のように可愛らしくもない、とはいえ盆栽について学ぼうとしている自称素直な受講生たちの発言を、うまく拾って話を発展させるのも大変でしょうに、ゼミ形式講座有難うございましたー!で、ここで終わらないのですよ。。次回の講座では、グループごとの発表です。苦手じゃー。

 

【おまけ】

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良い盆栽をたくさん鑑賞する。これが大切だと多くの講師陣から聞きます。どの分野でも、良質な作品を度々鑑賞することは、審美眼も養われるという共通項ですね。

 

待ちきれず一斉に春 ~梅林ツアー~

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世の中、コロナウイルス感染拡大防止であらゆるイベントが中止になっていますが、自然のイベントは止まらず、季節は着実に春に向かっております。中止になる一足前に大宮第二公園の梅林ツアーに参加したので、まとめておきます。入場規制がなければ、まだ日本各地で梅も楽しめるでしょう。

 【大宮第二公園の梅林ツアー】

解説付きの梅林ツアーがあると盆友に誘われ、それほど期待せずに参加したのですが、結果から言って、大満足でした! ※現在は講義もツアーも中止です。

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まず、講座室で森林インストラクター・二宮靖男氏がスライドで、梅・桃・桜の見分け方や梅の種類の特徴や鑑賞方法を解説してくださいました。俳句の季語では、「探梅(たんばい)」=早咲き、「賞梅」=中咲き、「送梅」=遅咲き、という区別になるという解説も。梅の種類は、ボリュームありすぎで私の頭はオーバーフローでしたが、その後、皆で園内を散策なので、現物見ながらの方が分かりやすいですね。では、二宮氏と一緒にフィールドへゴー!

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【一粒で3度おいしい】

公園ガイドの方によると、梅は種類によって咲く時期が異なるため、全ての品種を見たいと思ったら、毎月来ないと見られないが、今年は暖冬の影響で早咲き、中咲き、遅咲き全て一斉に開花していて1回で3回分の梅の鑑賞ができる珍しい年とのことでした。

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では、ざっくりの見分けで色別に写真撮ったものだけを以下ご紹介。樹に写真付きの看板が付いているので、現地では花の見分けや名前がすぐにわかります。

【白梅いろいろ】

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【梅に「月」という名前】

個人的に白い梅が好みですが、さらに白い梅の中でも枝や萼(ガク)が緑で一重の梅がいいなあと思っております。梅の品種名に「月」が入っているものは、白い梅で、枝も緑のものが多いそうです。花が咲いていない時期でも分かりやすいですね。

【紅梅いろいろ】

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【ピンク色いろいろ】

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【幹の色が!!】

これは驚きでした。二宮氏が見本として予め用意してくださった紅梅と白梅の枝を折ると、それぞれ赤と白というはっきり見分けがつく断面なのです。(良い子は勝手に木を切らないように)

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「へー」という豆知識を得て、いつか披露してポイント稼ごうと下心が芽生えます。

【気の毒な梅】

茶筅梅(ちゃせんばい)という品種です。花弁が小さく、おしべが茶筅のように発達しているため、この名称となったようです。f:id:katsuo_24:20200301131653j:plain

こちら、この状態で満開なのですが、一見枯れているように見えてしまうため、残念ながら園内でも足を止める人がおらず、素通りされてしまうようです。見つけたらラッキーですね。

【贅沢な1本で2色】

一本の梅の木で紅白2色の花の色が楽しめる種類もあります。「春日野」という品種が大宮公園では見られます。

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【こぼれ梅】

二宮氏の講義で、花が散るときの表現というお話しもありました。桜は「散る」、椿は「落ちる」、牡丹は「崩れる」、梅は「こぼれる」という表現は、日本語の多様さが表れていますね。そしてこれまた風流なのが、散った梅を水に浮かべて「こぼれ梅」として鑑賞するというお話しも。

…そんな心のゆとりがある大人になりたいものです。

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【おまけ】

現代の著名な盆栽家、山田登美男氏(清香園四代目園主)の盆栽展示が大宮盆栽美術館で開催されていますが、コロナウイルス蔓延防止のため、3月2日から休館となってしまいます。席飾りをした見事な展示がしばらく見られなくなるのは残念ですが、盆栽はずっと生きていますから、盆栽園を訪れれば見られるかもしれません。

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 世の中心がささくれそうなニュースが多いのですが、少しずつ芽が膨らんできている我が家の盆栽たちを眺めて平穏を願います。

盆器作りの旅 ~益子焼チャレンジ<後編>~

益子焼体験】

さて、お待ちかねの益子焼体験です。登り窯を自前で作られた窯元さんですが、東日本震災の時に壊れてしまい修復ができないため、違う窯で焼いているとのこと。若い世代が頑張っています。

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△焼く前の作品群
 盆友に促され、益子町へ行く道中、どんな盆器を作りたいか、簡単なスケッチを描いてイメージを作っておきました。大抵イメージ通りにいかないものですが。友人たちと行くと道中も楽しいのが良いですね。

ささ、まずは先生がお手本を見せて作り方を流れるようにデモンストレーションしてくださいました。あれよあれよという間に手元に作り出される器の数々。

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 その後、各自でろくろを回してイメージを元にチャレンジ!、、が、こちらはやっぱり素人、いざやりだすと、あちこちで「ヘルプミー!」の声が。 まあ、そんなことは先生もお見通しで、皆の作品作りをちゃんとお手伝いしてくださいます。

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なんだかんだ、2時間たっぷり体験させてもらい、出来上がったものの中から、自分が残したいものだけ釉薬の色を選んでチョークでメモし、不要なものは粘土を再利用するためにまとめておきます。ああ、この柔らかい作品を投げつけてぼてっと壊す感覚、、悪ガキがものを壊す背徳感が。。

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作品は、まず乾燥させて素焼きをし、釉薬をかけて本焼きを行うので、ここから2か月くらい待って、窯元から完成品が送られてくるのを待ちます。

 

【いよいよ完成!】

さて、お待ちかねの完成品お披露目会です。友人たちとそれぞれお互いの作品を見るのも楽しいひと時です。完成品は、粘土で作った時より一回り小さくなりますが、元々小振りな鉢を作りたかったのでちょうどよい感じです。

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(鉢底の穴が少し小さかったので、後日友人に穴あけドリルを借りて穴を大きく広げました)

お披露目会の時に、益子焼プロの方の盆器のお裾分けを頂きました。我々素人が作った作品との違いが際立っておりまして、自宅に戻って真っ先に盆栽を植えたのは、やはりこちらの器でした。現金な奴です。

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「鉢映り(はちうつり)がいいねぇ」と自己満足でございます。 自作の鉢たちも、どの苗を植え替えようかな♪と楽しみが広がります。作った後で使って愉しむ。なんとも充実した趣味ではございませんか。

  

【おまけ】

益子焼の工房では、外国人陶芸作家さんが黙々と作品を作り続けていらっしゃいました。限られた日本滞在期間中に少しでも多くの作品を作りたいとのこと。電動ではなく、慣れれば微調整が効くという足踏みろくろを器用に操る姿は、本格的な陶芸作家さんです。

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ヨーロッパでは、磁器が食器として用いられるのが一般的で、陶器は食器用ではなく、道具入れとして使うような粗末なものとされ、あまり関心がなかったようですが、近年ではアジアブームもあり、この素朴感が注目されて欧米でも陶芸作家の方々が生まれ、来日して展示会を開かれているようです。スバラシイ!!

体験教室で満足している我々とは天と地ほどの意識の差がございます。。

 

 

盆器作りの旅 ~益子焼チャレンジ<前編>~

盆栽を始めると、盆器(ぼんき:盆栽を植える鉢)も気になるものです。焼き物の世界も沼が深そうなので、あまりハマらないように、、と自制をしながらも、盆栽鉢を自分でどうしても作ってみたかったので、盆友にリクエストしてツアーを組んでもらいました。f:id:katsuo_24:20191004124925j:plain

(2018年6月のお話しです。一度書いていたのですが、アップが今頃になってしまったのでリバイスしました。ごめんなさい。てへ。)

【栃木県益子町へ】

有難いことに、益子焼の達人がガイドとして同行してくださったので、1日の行程が観光体験ツアーのように見事に計画されており、私たちは楽ちんちんの美味しいとこどりという恵まれたツアーになりました。

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やはりその道に詳しい方が一人いると、見どころやポイントがおさえられ、素人だけで行くよりもずっと知識の幅が広がります。

【これが登り窯!】

まず向かったのが益子陶芸美術館。このエリアは歴史文化財、美術館、工房が集中して配置されているため、益子を訪れたらまず一番に行くのがオススメとのこと。

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門をくぐって園内に入ると、煤(すす)で黒くなった登り窯がでーんと現れました。その名の通り、傾斜地に作られ、熱が登りながら回る形状が特徴の窯です。

正面から見ると巨大な芋虫のようなユニークな形状です。目に見えるような部分から中の様子を見るそうですが、火がバンバン炊かれているときは、ここから炎が噴き出すようです。

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火入れというのは滅多に行われないようで、2年に一度くらい火入れされる際には、町を挙げてのイベントになるようです。すごい迫力なんでしょうねー。 

【大名屋敷】

登り窯の脇には、地元の方々が大切に保存されている大名屋敷(旧濱田庄司邸)が無料公開されています。訪問時は、ちょうど藁葺(わらぶき)屋根をふき替えたばかりとのことで、真新しい見事な分厚い藁葺きで気持ちよさそうでした。

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この縁側でお茶が飲めたらさぞ気持ちよかろう。。と思う一方、ボランティアの方々が毎日お掃除にいらしていると伺い、頭が下がります。どこでも文化財を保存するには地域住民やボランティアの方々の協力が必要です。多くの人々が訪れることが励みになりますね。

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益子焼の工程】

登り窯エリアから美術館へと歩いて行く途中、陶磁器の制作工程が紹介されています。

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フムフム、陶器と磁器ってこんな感じで作り方が違うのね~。同じような工程でも、焼く温度が違ったり。器と言っても、色々な作り方があることが、一目瞭然。このチャート図分かりやすいです。釉薬の見本もありますが、色は自然な落ち着いた風合いが益子焼の特徴です。

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さて、これから自分で作る盆栽鉢は、どんな色で仕上げようかなぁとイメージを膨らませます。あ、ちなみに、盆栽鉢としては、水はけや通気性が良い方が盆栽に適しているので、磁器よりも陶器や泥鉢が良いようです。

【美術館は古くてモダン】

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益子焼というと、地味で華やかさはあまり無いイメージですが、美術館に入ると事務所の外にいきなりドドーンと忍者がスッポリ隠れられる大きさの見事な壺。あっぱれです。

館内は撮影禁止なので写真はありませんが、古い作品なのに、絵付けや形が幾何学的なモダンなものも多く、現代のオシャレな古民家風カフェで使ったら映えそうだな~と思いながら見学しました。さすがに鑑定眼が無いことは自覚しており、展示してあるだけで「へぇ~」となってしまう凡人です。

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美術館脇に展示してあった、益子焼で作られた大太鼓。これって、本当に使えるのか気になっていましたが、演奏された写真もありました。思い切り叩いたら割れそうで怖い。。

さ、午後は陶芸教室へ!(後半へつづく)