さて、1億円の盆栽はどれでしょう?

東京にあるメジャーな盆栽園といえば、ここ、春花園さんに今回はお邪魔しました。盆栽園というのは敷地面積を必要とするため、なかなか都心部ではお目にかかりませんが、東京の江戸川区に著名な小林國雄氏の盆栽園がございます。

 【各国の国旗でお出迎え】

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都営新宿線瑞江駅から路線バスでの旅。こんな機会でもないとなかなか選ばないルートなので行くだけでも新鮮です。そしてバス停から徒歩約2分。各国の国旗がひときわ目立つ壁が。かなり派手なお出迎えです。

この日は中国人のお客様がいらしていたようで、日本国旗と中国国旗が入口に飾られていました。国際交流に一躍買っていますね。(ちなみにこちらの盆栽園は美樹館として入場料が必要です。)

 

【1億円って。。】

何も事前勉強せずに伺ったのですが、友人たちと園内散策していると、盆栽園をご案内されていらっしゃる方が「これがテレビで1億円として紹介されたものですよ」とサラッとおっしゃいました。

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一同、あ然です。(こ、これが、一流芸能人になれないってことか。。)

「こっちのも1億円ね」と紹介されたのがこちら。樹齢も優に500年を超えているようです。

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その堂々とした姿は一般の盆栽という机に乗るようなサイズのイメージよりもかなり大きく、ほぼ樹木です。(伸ばしている枝は、その部分の枝の勢いをつけるために伸ばしているとのことです)

 「こっちはお買い得で、3,000万円ですよ」

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お買い得って。。もう、感覚がおかしくなります。言葉も出ません。とにかく「へぇー」の連発で、バカ丸出しです。もちろん、他にも多くの素晴らしい盆栽たちが数えきれないほど展示されています。

 どうやら見学だけの私たちと違い、中国人のお客様は、丁寧に盆栽の説明を受け、ご購入をお考えのご様子。羨ましいです。

 

【日本建築の美術館にうっとり】

 お庭の立派な盆栽たちの奥に日本建築の建物がとても自然に配置されており、自然と足が向かいます。その縁側や軒先の空間が私たちをゆったりといざないます。そこには、デジタルではないアナログの空気が流れていました。

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美術館の中に入ると、まるで武家屋敷に入ったように、凛と背筋が伸びるようでいて、懐かしいような不思議に落ち着く空間でした。

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床の間飾りも盆栽美術館の展示のような正統派の飾り方です。都内の個人の盆栽園でここまでの贅沢な空間を演出できるってすごいです。

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そろそろ休憩したいなーと思っていた矢先に、美術館の方が離れでお茶を出してくださいました。ナイスおもてなしです!

 写真だけでなく装丁も美しい小林先生の書籍やイギリス国籍のお弟子さんの見事な英語版盆栽手入れ解説本などもご紹介いただき、お茶を頂きながらしばし休憩。

さらに、一人ずつに小さなもみじの苗もお土産にくださいました。小さくてか弱そうなもみじの苗、無事に育てられるかちょっと不安ですが、お気遣いが嬉しいですね。

 

【ラッキー!小林國雄氏と遭遇!】

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私たちが園内の2階部分の盆栽展示兼育成場を拝見していると、園内でザワザワと人が集まりだし、国旗が見えます。ん?先ほどのお客様のご成約でしょうか?おめでとうございます!お?あそこに見える白いシャツは、、もしや小林先生では?と近寄ってみたら、小林先生と中国人のお客様方が記念撮影をされていらっしゃいました。

これは便乗するしかない!と勢いに任せて声をかけ、小林先生と写真撮っていただきました。ちょうど迎賓館からお戻りになられたところでお忙しいようでしたが、写真撮影もご快諾いただき、教室のご案内もしてくださいました。

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門下生たちの氏名が木の札でかかっているのも道場っぽいですね。右下の筋肉隆々の逞しい男性の写真は小林先生の若かりし頃のお写真だそうです。現代のもやしっ子たちと大違いです(笑)。

 

【きちんとご供養も】 

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腕の良い盆栽師でも台風や年月の経過、病害虫で盆栽が枯れてしまうことがあるのでしょう。自然相手なので永遠はありません。それをきちんと供養塔を建てて供養されているところは、ご立派だと思いました。とても私の自宅に供養塔は建てられませんが、もし枯れてしまったら、感謝と哀悼の気持ちをもって丁寧に供養しようと思いました。こうした点も見習いたいものです。

巨匠、木村正彦氏登場!

「盆栽エバンジェリストへの道」ブログ、抽選に落ちたら続ける気力もダウンしてしまいましたが、暑い中訪問し、せっかく撮影をご快諾くださった盆栽園のことを共有しないのももったいない話なので、アップすることにしました。どうぞよろしくお付き合いください。

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【木村正彦氏の盆栽園へ】

盆友のお一人が盆栽界の巨匠、木村正彦氏の盆栽園のお近くにお住まいとのことで、一般公開はしていないという木村正彦氏の盆栽園に数名で伺うことにしました。木村正彦さんといっても私のような初学者はネットや雑誌でしか拝見したことがない方で、重鎮で怖そうだな―というイメージしか持っていなかったので、恐る恐る皆について行ったという感じです。

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ジモティの盆友に道案内をお願いし、埼玉のとある住宅街を歩いて道から奥まった静かな緑深いお庭に入って行くと、突然視界が開け、そこにずらりと大きな盆栽たちが堂々と並んでいました。おおー!こんなに無防備に盆栽たちが並んでいるけれど、きっととんでもなく高いに違いない!と一目でわかるものばかりです。当然ホームセキュリティーとか保険入っているんでしょうね。触って落としたら一生雑草取りしても返せません。

 【巨匠登場!】

ちょっとして、盆友がお弟子さん通じてお願いし、木村先生ご本人が私たちの前に出てきてくださいました。ま、まさか、ご本人に会えるとは!!勇気の塊のお友達に感謝です。木村先生自らがお庭を案内してくださいました。 

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下の写真にあるような木村先生の独特の石付盆栽の原風景は中国だそうです。実際の自然の風景を盆栽で表現する。これは盆栽の基本と私たちも習いました。作業場前に、中国の切り立った山深い渓谷の霧がかかった岩場に生える樹木の風景写真が飾られており、本当に水彩画のようなその風景があることに驚きました。

 

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石付盆栽の石は、木村先生がイメージして削っていらっしゃるそうです。普通の石は硬くて割れやすいので、砂岩の塊から削り出すそうです。まるで彫刻家!盆栽師って一体どこまで追究するんでしょう。一般ピーポーには思考が到底追い付きません。

 

【お庭の奥には別世界】

 怖そうなイメージと違い、木村先生は私たちをお庭の奥へご案内くださり、事務所でじっくりとお話をお聞かせくださいました。

 またそのお庭のお手入れの見事なことったら!一日眺めて過ごしたくなるようなため息がでるお庭の池には、美しい金色の鯉たちと、夏の暑さを忘れさせてくれる蓮の花がスッキリとした姿で目をひきました。 

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まさか木村先生にお会いできるとは思っていなかった私たち、すっかり質問がド素人丸出しで、聞く話聞く話初めてのことばかりでポカーンでした。書ききれないので( ゚д゚)ポカーンの話をいくつか。

 

【( ゚д゚)ポカーンその1】

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壁にずらりと並んだ写真、これ全て何らかの賞を受賞した作品です。内閣総理大臣賞もゴロゴロ。盆栽界の最高の賞、国風賞も何度も受賞されている木村先生、雲の上の存在すぎです。

 

【( ゚д゚)ポカーンその2】

これまで手掛けた盆栽のビフォーアフターをファイリングされていらっしゃいました。どのページも「えええっ?これが?こうなるの?」と、まるで狐につままれたような変身ぶり。

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それぞれの素材を見て、その完成形をイメージできる時点で凡人と訳が違います。

 その中のひとつ、こちらは内閣総理大臣賞を受賞した「登龍の舞」です。当時の総理大臣、竹下登氏がまだ銘がついていなかったこの盆栽を見て「命名させてくれ」ということで、登という字を入れたこの銘となったそうです。

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ちょうどお庭に「登龍の舞」が飾られていました。実物はやはり写真では伝えられない迫力があります。

 

【( ゚д゚)ポカーンその3】

お庭で拝見した見事な盆栽たちは、一般ピーポーの私たちでもその名を知っているような世界のVIPが所蔵していたり、プライベートジェットで買い付けにいらっしゃるそうです。日本のお金持ちさん、頑張って日本の宝を守ってください! 

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そんなこんなで2時間もたっぷりお話を伺った私たちに、木村先生は最後に「一流盆栽師になるために必要な7か条」を書いた色紙を見せてくださいました。

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うーむ。感性からつまづいてるかも。。精進せねば。

 

 

ひとりでできるもん

ちょっと習っただけで、初心者の私でも盆栽のハードルは格段にさがりました。やっぱり誰でもできるし楽しめる。後は失敗を恐れずに実践してみること。知識だけでなく、実際に手を動かしてやってみることで楽しさもより深くなるというものでしょう。

 

【出会った時が買い時!】

先日立ち寄った柳生博さんご家族が営まれている八ヶ岳倶楽部というところでは、色々なクラフト系の作品が販売されておりましたが、私の目を引いたのはやっぱり盆栽でした。盆栽アカデミーで習った盆栽の見方が活かされたかどうかは分かりませんが、欲しかったもみじの小品盆栽と、萩の苗、草もののベニチガヤの苗を購入しました。こういうものは出合った時が買い時でしょう。鉢に植えられているものより苗の方が断然安いので、鉢は別に購入し、宅配便で送ってもらいました。電車での移動の場合は有り難いサービスですね。

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指定した日時に丁寧に養生されて我が家に届きました。生もの扱いなんですね。いよいよ苗ちゃんたちの植え替えです。さて、がんばるぞー!

 

【グッズはぼちぼち揃えて】

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鉢選びや植え替えは盆栽の楽しみの一つでしょう。先日の盆栽園ツアーで先に購入していた鉢、今回の旅先で購入した苗と鉢、近所の100均で買った鉢底網、ホームセンターで買った針金、ネットで評判を見ながら買った用土など、ぼちぼち買い揃えていました。特に赤玉土は盆友からホームセンターでは盆栽用の良いものがないと聞いていたので、ネットのコメントを参考に買ってみました。しかし、小粒でもアカデミーで用意してくれたものより多少大きかったので、極小でも良いのかもしれません。いかに講義で使わせていただいた用土が良いものだったか改めて分かりました。土だけは多少値段が張っても良いものを使う方が良いですね。野菜も土づくりが大切なので、一緒です。

 

【実践で復習】

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まず、植え替える前に鉢と土の準備です。鉢底の穴にはネットを針金で固定します。そして、赤玉土と桐生砂を8:2で混ぜておきます。竹箸はコンビニ弁当についていたものが家にありました。道具もバッチリ!

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赤玉土の中粒は盆栽には大きすぎましたが、鉢底用として使うことにしました。まあ、こうした失敗も次への教訓です。大半は庭の園芸土として活躍してくれることでしょう。

 

【お色直しのビフォーアフター

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ポット苗の萩とベニチガヤを鉢に植え替えました。どうでしょう?鉢映りもなかなかいいじゃないかと、我ながら盆栽らしくなったと自己満足です。

実は後から盆栽の手入れの本を読んで、もっと萩の古い根は切り落としても良かったのかも、、と思いましたが、それはまた次回の課題とします。

 

【買ったはいいが、置き場所は?】

盆栽愛好家の心理が少し分かってきたような気がします。楽しくてつい新しい盆栽ちゃんの仲間を増やしてしまうものなのですね。それゆえ、置き場も増設しなければならなくなります。本で読んだり盆栽美術館や盆栽園で観察したところ、今回買ったもみじは夏の直射日光には弱いようです。遮光のためのネット(寒冷紗)を設置する場所も悩みましたが、ちょうど我が家の庭には山芋君がツルを元気に伸ばしてグリーンカーテンとなっています(朝顔でもゴーヤでもなく、我が家では山芋なのです)。そこで、それを利用し、日が当たる場所には直射日光に強い五葉松と石榴、グリーンカーテンの内側にもみじを置いてみました。うまい具合にポジショニングできました。目測で遮光率約60%です。(笑)

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【自己流盆飾り】

ちょうど翌日に来客の予定でした。客が来るとなると急に掃除をするものですが、良い機会ととらえてお片付け。(普段からできていればいいのですが。。)

今は夏、季節感を出してみようとチャレンジです。

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卓(しょく)を買って置き場所を確保する余裕は我が家にはないため、以前100均で買った竹のマットを敷き、主役のベニチガヤを置いてみました(植え替えたベニチガヤは夏草です)。引出物のカタログから選んだ南部鉄の高炉を先日購入した地板っぽいメノウの板の上に置き、駿河竹千筋細工の工房体験で作った虫かごを配置してみました。

正統派の盆飾りからは崩れており、ちょっと竹の明るい色が浮いていますが、そこはご愛敬。

玄関の靴箱の上が急にオシャレな空間となりました。身近な安いものだけでもできるものですね。

初心者の道具揃え

できるだけ安くて良いものから始める。これは、誰でも思うところでしょう。盆栽の道具も色々あるようですが、最低限で始めたいものです。色々悩みながら少しずつ揃えていくのも面白いものです。

 

【馬鹿と鋏ではなく】

まずは必須の道具である鋏(はさみ)ですが、今はネットでもホームセンターでも色々揃っています。色々ありすぎてどれが良いのか迷ってしまいます。でも、1本ずつバラで買って揃えるより、盆栽美術館で「初心者向け盆栽道具セット」を購入するのがお得と判断しました。

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こちらのセットで9,800円です。鋏だけは枝葉を痛めないようにスパッと切れる良いものを選ぶことが肝心だとインストラクターの先生がお話しされていたので、きちんと選びたいと思っていました。これまでの人生経験で、刃物だけは良いものを選ばないと後悔することを学んでいたので、いくら初心者でも100円の鋏は買いません。プロも道具にはこだわりますから、使いようでどうにもなるものではないということでしょう。

 

 【これは安くても大丈夫】

次は、盆栽置き場です。盆栽アカデミーに通いながら、五葉松と石榴の2鉢を自宅に持ち帰ることができると分かっていたので、どこに置こうか、置き方はどうしようか、、としばらく悩んでおりました。

日曜大工で棚を作れたらいいのですが、大工道具もないし、面倒くさい。「ええい、材料見ながら考えよう!」と、ホームセンターに出かけてちょうどサイズが良さげな縁台を見たり、出来上がっている机を見たり、スノコを物色したり。結局、ブロック(1個180円程度)をいくつかと、檜板の端材(1枚150円程度)を組み合わせて置くのが最安値かつ簡単設置、レイアウト変更も自由!と三拍子揃うので、この路線に決めました。せめて少しオシャレにしたくて、オレンジ色のブロックにしました。私は十分悩んだのですが、盆栽をお持ちの方は、このようなスタイルで置き場を作っているケースが多いのだと後で知りました(笑)

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設置場所は、軒下付近が一番目が届きやすく、日当たりが良くて西日も当たらないので、我が家の盆栽たちにとってのベスポジだと思いました。軒先というのは、奇しくもアカデミーの講義で紹介していただいた鎌倉時代からの絵巻にある通りの置き場所です。古から同じ趣向っていうだけで、なんだか嬉しいです。しかし、おっとまてよ。そこは既に植えてあった直植えの山芋ちゃんたちの住処です。ここはダメかと思いましたが、高めの場所がお好みの盆栽ちゃんと、地下とツルで生息する山芋ちゃんは、高層住宅方式で共存できると判明、つるに影響が無いよう、設置できました。こうして、五葉松くんと石榴ちゃんの新居が完成です!

 

【盆栽鉢だって欲しくなる】

盆栽園ツアーに行った際、盆栽たちは高価で手が出なかったものの、小さな盆栽鉢を購入しました。このような形の鉢は見たことが無かったので、思い立ったら吉日、800円でお買い上げ~。さーて、何を植えようか、イメージを膨らませてウキウキです。

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肥料と肥料入れもついでに購入しました。肥料入れは初めて見ましたが、販売していた盆栽園の方に聞くと、「苔を貼った盆栽は、肥料を直に置くと苔が肥料で痛んでしまうことがあるので、これに入れるといいんです」 とのこと。今後のために備えてということで、すぐには出番が無さそうですが買っちゃいました。

 

【そして留守番チャレンジ】

さて、私は泊りがけで出張のスケジュールとなってしまいました。帰省も旅行もしたいので、盆栽ちゃんたちに留守番慣れしてもらわなくてはなりません。これも、講義で教えていただいたように、100均で購入したトレーに水をはり、タオルで根元を鉢ごと覆い、風呂場に置いて出かけました。

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7月中旬という暑い最中でしたが、3泊4日して自宅に帰った時、見た目盆栽たちは大丈夫でした。しかし、五葉松のトレーは水が無くなっており、石榴のトレーは水がわずかですが臭いがして、トレーもぬめりがあったので焦りました。こりゃいかん!!すぐに盆栽たちを外に出して水をシャワーでたっぷりかけて古い水を流しました。先生が仰っていた通り、3日が限度だと思いました。ごめんね、石榴ちゃん。いい加減な主人のもとで、強く生きるのだぞ!

 

【旅先でも盆栽グッズ】

出張ついでに清里に立ち寄りましたが、観光地で露天商が天然石を売っていました。女の子に人気の綺麗な石のアクセサリーが売られている片隅で、石の板があるじゃないですか。私の目を引いたのが、この茶色の薄い板状の石。めのうだそうです。

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天然石ですが、私には小物盆栽の下に敷く「地板(じいた)」に見えて仕方ありませんでした。ええい、ここで出会ったのも運命だと1,000円で買いました。

また、別の場所では盆栽の苗が販売されているところも通りかかり、これまた苗を衝動買い。鉢に入った盆栽を購入すると高いのですが、苗は数百円で買えるので手が出やすいのですね。ああ、こうして増えていくんですね、、ミニマリストにはなれそうもありません。。

 

 

盆栽園ツアー!

さて、つづきの話をしましょう。

(諸事情により、更新するのが2週間ぶりになってしまいました。すみません。ようやく仕事がひと段落したので、ブログ再開です。よろしくお付き合いください。)

 【盆友ができました】

 さいたま国際盆栽アカデミーの開校中、インストラクターの先生がいつも「盆友(ぼんゆう)をつくりましょう」とお声がけくださっていましたが、クラスメートは互いに見知らぬ者同士、単にアカデミーで週一度同じ講義を受講するというだけの関係です。授業中は講義内容や実習に専念しているので世間話をする余裕もなく、さらに、個人情報に過敏な昨今、いきなり連絡先を伺うのも憚られます。というわけで、「盆友作りたいなぁ」とずっと思っていましたが、なかなかきっかけは作れないものです。

 とはいえ、私は長期間自宅を離れることがあるため、盆友を作っておくことが自分にとってもこれからお世話する盆栽ちゃんにとっても必須でした(保育園を探す親のようです)。そこで、勇気を出してグループでたまたまお隣の席に座られた方にご相談したところ、留守中預かってくださるとのこと。救いの神の出現に感謝感激です!では、連絡先を交換してくださいという流れになり、たまたま近くにいたアカデミーの仲間も加わり、SNSで繋がりました。今どきのコミュニティですね。

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【愉快な盆栽園ツアー】

 たまたま、SNSグループの中に既に盆栽をいくつもお持ちで詳しい受講生の方もいらっしゃいました。彼女のお声がけで、最終日の講義終了後に「盆栽園ツアーをやりましょう!」ということになりました。午前中で講義が終了するため、ランチをとった後で盆栽美術館から徒歩で回れる盆栽町にある盆栽園をいくつか周ることにしました。

 当日、ランチ場所(盆栽美術館の目の前の盆栽レストラン)で、偶然同じクラスの受講生と遭遇!席もいっぱいだったので、相席させていただきました。そして、ランチをご一緒させていただきながら盆栽園ツアーに勧誘(笑)し、総勢7名でプラプラと散策することになりました。

 盆栽町ができた当初からの風習で、盆栽園の入口は誰でも入れるように解放しておく決まりになっているので、いつでもふらっと立ち寄れるのが魅力です。予約も入場料も要りません。なんてすてきな風習でしょう。

盆栽園は中が撮影禁止なので、写真は外観だけとなりますが、それぞれ個性があるので盆栽園ごとに違うのが面白いのです。

では、今回のツアーで回ったところをご紹介いたします。

 

【蔓青園(まんせいえん)】

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まずは盆栽美術館に一番近い蔓青園から。いきなり道端に巨大な盆栽が!「なんじゃこりゃ!」です。驚いていたらそこが蔓青園さんでした。入るなり所せましと大きくて見事な盆栽たちがお出迎え。右も左も足元も盆栽だらけ!ちょうど盆栽師見習いの方が水やりをされているところでした。

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突然、どこからか「傘は窄(つぼ)めてください!リュックは手前にかけてください!」と注意の声がありました。私たちは、暑い日差しの中の街歩きのため、日傘やリュックを背負っていたので、慌てて従いました。そりゃそうですよね。傘やリュックが当たって盆栽が倒れて落ちてしまったら大変です。ひとつひとつが年数をかけた芸術作品ですから。

野趣あふれる作品を堪能し、数の多さと見事な仕立てに圧倒され、「買えないけど、すごいですねー」とため息をもらしながら次へ向かいました。

 

【盆栽四季の家】f:id:katsuo_24:20170731115805j:plain

7月の暑い日差しの中、ほっとする休憩場所です。緑の中に古民家風の建物があり、誰でも自由に入れます。ここで各自ペットボトルや水筒で持参した水分補給。盆栽園ツアーにちょうどよい休憩所です。

 

【清香園(せいこうえん)】

ここは、若手女性盆栽家として著名な山田香織さんが5代目園主の盆栽園です。入口がまるで京都のお茶屋さんみたいです。このままCM撮影できそうです。

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先に学んだので、皆リュックは手前に抱き、傘はたたんで園内を鑑賞します。可愛らしい小品盆栽がたくさんあり、その種類も松柏盆栽や雑木盆栽、草ものなど、多くの盆栽が並んでいます。ちゃんと季節を考えて並べていらっしゃるのでしょう、満開の花や青々した葉が目を引きました。

ここで欲しかった盆栽用具を購入し、ちょっと満足度アップ。盆栽園の方から「盆栽アカデミーに通ったの?羨ましい!」と言われて私たちはくすぐったくも嬉しい気持ちになりました。

ちょうど室内で盆栽教室の最中だったのですが、こちらの教室も生徒さんがいっぱいでした。

  

【九霞園(きゅうかえん)】

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こちらはうっかりしていると通り過ぎてしまうくらいひっそりと周囲に溶け込んでいる盆栽園です。主張せず、あるがままに、という空気が園全体に漂っています。実際、九霞園という看板より個人の表札の方が目立ちます。本当に普通の民家のお庭に入り込んだようでこちらも「勝手に入っていいの?誰もいないの?」という感じで私たちも遠慮がちに静かに鑑賞させていただきました。

他の園では見なかった蓮や変わった実物盆栽がとても個性を出していました。商売っけ全くありません。きっと、芸術家肌の園主さんなんでしょうね。

 

【芙蓉園(ふようえん)】

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そろそろ、盆栽園も見慣れてきました。さて、次は竹の生垣が涼しげで自然にふらりと引き込まれる芙蓉園さんです。こちらはとても鑑賞しやすく整えられた盆栽園です。私はいきなり入口に並べてある盆栽鉢に食いつきました(笑)。園内はすっきりと盆栽棚にある程度大きめの盆栽がずらりと並べられています。ひとつひとつ丁寧に管理されているのが分かります。盆栽ばかり見すぎてもうどれがどうなのかお腹いっぱい気味でしたが、私はお手頃価格の盆栽鉢(800円)をこちらで購入し、大満足でした。

 

【藤樹園(とうじゅえん)】

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さて、本日の盆栽園ツアーのしめくくりは、こちら。アカデミーのインストラクターの先生方が時々こちらでも教えていらっしゃるという藤樹園。入口はこれまでの盆栽園に比べて飾っていないというかユルイ感じです。私たちもアカデミーでお世話になり馴染んでいたせいか、「あ、これあの先生の盆栽かも?」などと、気軽に話かけさせていただきました。

なんと長野や東北からわざわざ盆栽の手入れを学ぶためにこちらまで通う愛好家の方もいらっしゃり、頭が下がる思いでした。

  

【授業後の盆友たち】

さて、アカデミー最終日に盆友がクラスに声をかけてくださったので、興味ある方々が次々とSNSで繋がりました。SNSのグループで、自分が持ち帰った盆栽の写真をアップする方や管理方法を紹介する方、手入れの悩みの相談や朝顔の話題など、楽しく交流を続けています。また盆友たちと中級講座で会えるのがベストですが、こればかりは分かりません。現代の盆友はネット上で繋がれるので場所を選ばないのが気軽ですね。

 

※今回の盆栽園ツアーで回った盆栽園や大宮盆栽村のマップはさいたま市が紹介しているさいたま市/大宮盆栽村をご参照ください。

ああ、初級コースも最終日。

2017年7月8日 第8回目の授業                  初回はこちら

【講義】盆栽飾りの基礎知識

講師:日本盆栽協会インストラクター 原先生、風見先生、昼間先生

 

5月に始まった盆栽アカデミー初級コースも今日で最終日です。皆、口には出しませんが、とても名残惜しく感じています。それだけ毎回充実した講義と実技のカリキュラムだったということです。

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さて、今回は皆の席にこれまでの講義で各自が手入れをした盆栽が並べられており、グループワークのようです。原先生の解説に続き、昼間先生がご自身の作品を使って飾り方をデモしてくださいました。

【ARTの世界】

盆栽というと、その樹形ばかりに目が行きそうですが、「盆栽を飾る」というのは、鉢や苔、盆栽を乗せる台(=卓)、空間と、全体の調和をとりつつ、まさに盆栽をART(芸術)という世界に高める作業です。

まず、卓(しょく)と呼ばれる脚付きの文机のような台に主役となる盆栽を乗せます。

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この時、どんな卓でも良いわけではなく、どっしりとした大地から生えているような姿の盆栽か、崖から垂れ下がるように作ったものかという盆栽の樹形や繊細さなど、主役の盆栽に釣り合う卓を選びます。卓が盆栽より主張しないように気を付けます。

上の写真の奥にある、高卓(こうしょく)と呼ばれる高さがあるものは、高い山をイメージしています。これは、懸崖(けんがい)と呼ばれる、幹や枝が垂れ下がったものに合います。 f:id:katsuo_24:20170718101936j:plain

上の写真の根卓(ねじょく)と呼ばれる卓は、一見して独特な有機的な曲線でできていますが、これは、一本の木から透かし彫りで作ったものだそうです。これは素人がぱっと見ただけでもとても高そうです!

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地板(じいた)と呼ばれる平らで薄い艶のある板は、主役の盆栽に脇にちょこんと置かれる「添え」の盆栽を置くために用いられることが多いそうです。

飾るためのわき役にもこんなに種類があるんですねー。舞台ならさながら大道具さんでしょうか。

 【飾り方の手順】

まず、主役の盆栽(主木:しゅぼく)に合う卓を選び、盆栽の流れ(盆栽を正面から見たときの風を受けたような枝ぶりの方向)や席(せき)全体の幅や奥行を考えながら配置します。

席というのは、盆栽を飾るスペースのことで、この空間全体を「調和」を重視して飾っていくのです。(下の写真は、「空間」を見た目で分かりやすくするために、原先生が輪を用いて解説してくれているところ)

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次に「下草(したくさ)」を盆栽の脇に置きますが、これは主役の盆栽の流れを受けるように配置します。

面白いのは、盆栽も短歌と同様、季節感を出すために、その季節にあった下草を選ぶようにします。松には季節がないので、この下草や地板で季節感を出すのがポイントのようです。下の写真は下草の一例です。

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あくまで主木が目立つように飾るようにするため、主木の鉢の形や色も気を付けながら、わき役は主張を押さえた控えめな感じで選びます。草にも正面や左右があるようなので、それぞれ見極めて配置します。

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こちらは文人木(ぶんじんぎ)の飾り方。先の懸崖(けんがい)のものとは違った飾り方になります。

全体の調和をみながら、「空間の美しさを表現する」というのは、いかにも日本的な美に対する考え方ですね。

 【舞台に上がる前のお化粧】

さあ、主役の盆栽を舞台に上げる前に、お化粧を施します。まずは鉢の汚れを菜種油(なたねあぶら)を布につけて拭き取ります。菜種油は高価だそうで、身近で代用できるものとしてはベビーオイルで可能だとのこと。これならすぐ入手できますね。また、苔は、自然に盆栽鉢に生えるのかと思っていましたが、実はあとからお化粧のように張り付けるのだそうです。自然に見えるように苔をはるというのも、腕なのでしょうね。美人さんのお化粧のように、これまですっかり騙されていました。

【グループで集大成の席飾り】

グループに分かれて、それぞれ誰のどの盆栽を主木にするか決め、席飾りを皆で考えて発表するということになりました。

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限られた時間の中で、卓や地板、下草など自由に選び、2点飾り(主木と下草の2点)なのか3点飾りにするかなど、それぞれ話し合いながら決めていきます。

そうして、順に発表していきました。皆それぞれインストラクターの先生から寸評をいただきながら、他のグループの席飾りを「なるほどねぇ」と感心しながら楽しみました。

 【修了式】

毎回楽しみだった全8回の初級コースも今日で終了です。受講生一人ずつ、さいたま市大宮盆栽美術館の館長から、さいたま市長が発行した終了証が手渡しされました。公的講座ということを実感し、受講生一同背筋もピンとなりました。

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さて、初級のあとはやっぱり中級に進みたくなるのが自然な成り行きです。ほとんどの受講生が中級コースを希望しています。しかし、講師や会場のご都合もあるのでしょう、抽選で初級コースの半分の人数の20人しか枠がありません。希望者全員受講できるようにビデオやチャットのアプリを使ってサテライト講義やってほしいところですが、運営に負担がかかるようなわがままも言えません。くじ運が良いことを祈るばかりです。

 【さて、ブログの行方は?】

授業も無くなっちゃうしブログどうしようかなぁ、と思っていましたが、講師の勧めもあり、有難いことにこの講座を通じて盆友(ぼんゆう)ができました。せっかくなので、盆友たちとの交流や疑問、挑戦の話や、アカデミーから自宅に持ち帰った盆栽たちの成長も見守るため、素人の奮闘記を不定期で継続しようかと思います。引き続きお付き合いいただけますと幸いです。

 

【授業後のお庭】

初級コースの最終日なので、美術館のお庭全体の写真を選びました。ちょっとジオラマみたいにトイモードで撮ってみました。

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東京都内の中心部ではないものの、さいたま市大宮盆栽美術館には実に多くの海外からの観光客がいつも訪れています。受付の方も多国語対応サラッとこなされていてカッコいいです。

また、観光客だけでなく、盆栽園で何人も外国籍の方々が盆栽師の見習いとして働かれています。私たちよりずっと先輩です!本当に世界に広がるBONSAI文化ですね。

アカデミー卒業生(まだ初級ですが)として、気軽に盆栽を楽しむことを引き続き伝えていきたいと思います。