早くも実技!

2017年5月20日 第2回目の授業

【実技】盆栽づくり(松柏盆栽)    

講師:盆栽インストラクター(藤樹園の方々)

 

今回は盆栽師の先生方3名が受講生20人をグループ単位で指導してくださいます。

まず初めに、先週の簡単なおさらい。実際に盆栽と鉢植えの違いや作り方の基本を実物で説明いただけるので、一目瞭然です。

 

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そして、実際に盆栽師の方々はどのように盆栽をイメージしていくのかということを、写真をスクリーンに投影しながら解説してくださいました。

 自然界に自生している木々たちが、雪や風などの気象、岸壁や高山などの環境で見事なフォルムで力強い生命力を出している風景があります。

これらの自然の木々の姿を、盆栽師の方々は盆栽として再現するよう、参考にしていらっしゃるのです。盆栽づくりのポイントは、「らしさ」とのこと。松は松らしく、ケヤキケヤキらしく、自然の姿を追求していくのだそうです。

 

【いきなり実技!心の準備ができていませんが。】

 今回驚いたのは、まず教室に入ったら、各自に1つずつ立派な松の盆栽とハサミなどのお道具が用意されていたことです。

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樹齢を聞いたら、15~16年くらいの銀八房五葉松(ぎんやつふさごようまつ)だそうです。これまで15年間も、どなたかがずっと大切にお世話してきてくださったものを、私たちのような超初心者にポンと提供してくださることに驚きを隠せませんでした。

(まあ、受講料は払っていますが、とても3万円の受講料では賄いきれない充実した内容の講義と指導、盆栽たちです。)

これに私がハサミを入れるなんて、、当然、ビビります。

 

 【五葉松(ごようまつ)のセレブ扱い】

一つの葉が5枚あるから五葉松。黒松や赤松は2枚だそうです。由緒ある盆栽の樹種(じゅしゅ)で、四国のものは特にメジャーのようです。

 まずは、盆栽の土に生えた雑草や落ちた松葉などをヘラのついたピンセットで丁寧に取り除きます。

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自宅の鉢植えの雑草は雑草取りの金具や手で無造作にとっていたので、ピンセットを使う時点でちょっと盆栽のセレブ扱い感が笑えます。

雑草や落ち葉を取り除いていきます。普段、家の鉢植えではピンセットなんて使うはずはなく、手で抜いていますが、なんだか盆栽さんは、丁寧な扱いを受ける貴族っぽいです。

雑草育ちの私は、ちょっとこの貴族感は「なんだかお高くとまりやがって」という感じで好きではないのですが、まあ、実際雑草も小さいので手ではつまめないから仕方ありません。

 

 【プロの技、剪定デモンストレーション!!】

 インストラクターの盆栽師の先生が、デモンストレーション(剪定の実演)を行ってくださいました。

 「ここが前で、まず高さを決めます。」(バサッ)

「次に、これを差し枝として、不要な枝を取り除きます」(バサッ)

「そして小枝は二又に作っていきます」(チョキッ)

「さあ、皆さんもやってみてください」

(一同あ然)

  

【やっぱり無理?】

 各自目の前の盆栽を見つめ、あ然としていると、盆栽師の先生方からヘルプの声が。

「まずは正面を決めましょう」

うんうん、これならできそう。

でも、自分が思った正面ではなく、少し角度を変えたポイントを正面とするのが先生のアドバイス。なるほど、幹も枝もぐっと立体的に見えます。

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(写真だとわかりにくくてすみません)

 

【いよいよ鋏(ハサミ)で芽かきと芽摘み】

 枝を切るのはとても勇気がいるので、どうしても自分では判断できず、結局皆順番に盆栽師の先生のマンツーマン体制になってしまいました。とはいえ、新芽を二又に作る方法は分かったので、自分で枝先を探しながらチョキチョキ。

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 引き続き、新芽部分を探しながら、チョキチョキ。

「なんだかここはごちゃごちゃしてるなぁ。えい、切っちゃえ!」と切った後に先生が通りかかり、「え?もうそこ切っちゃったの?」と、思い切りの良さにいささか驚かれてしまいました。

ヤバい!!まずいところを切ってしまったのか!?取り返しがつかないことをしてしまったのか(汗)でも、先生は優しく「まあ、またあとで来ます」と他の受講生のもとへ。。(先生~!ヘルプミー!!)

 近くの受講生が一つ一つの盆栽の形をアドバイスしてもらいながら、大きな枝を神妙な面持ちでバッサリ切ると、周りの受講生から「おおーっ」というどよめきが起きます。

 

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【いよいよ自分の番】

 結局先生におんぶにだっこになってしまった受講生たちのテーブルを順に先生は回ってくださり、ついに私の番です。

 私 :「よろしくお願いします」

(さて、私もバッサリハサミを入れるのかな。どこ切るんだろう。ドキドキ。)

先生:「ん?このままでいいんじゃない?」

私 :「へ?」(みんなみたいにバッサリやってみたいのに、、)

先生:「いや、よくここで切ったよ。ここが頭でちょうどいい。」

私 :…(よくわからないけど、なんとか救われた~)

 

【それらしく完成】

こうして、皆の五葉松が盆栽らしい姿になりました。

プロの方々は、約1時間という短い時間の中でここまでどんどん切ってしまうことはないそうですが、何人もいる受講生の一つずつの盆栽を短時間で指導するのは大変なことでしょう。

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剪定前(Berfore)と剪定後(After)の写真です。今後の植え替え時に、少し傾けて植えつけると空間が広がって良いそうです。自分では気づかないことばかりで目からうろこです。

ありがとうございました!!

 

 【保管場所】

 盆栽美術館の近くの、森鴎外のご子息様の別荘跡地に盆栽を保管できる場所をご用意いただきました。ここで、講義終了の7月まで管理してくださるそうです。なんて至れり尽くせりなんでしょう。

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ここまでしていただいた盆栽を講義終了後に自宅に持ち帰ることができるようです。

これまた緊張します。果たして無事に育てられるのでしょうか。。

 

 【授業後のお庭】

 今回はすこし暑いくらいの五月晴れでした。盆栽たちの新緑が生き生きとして目に嬉しい青葉を茂らせていました。室内は撮影禁止ですが、毎週見事なしつらえで、正しく鑑賞のための盆栽が鎮座しています。盆栽が「生きた芸術」と言われることを実感できる場所です。

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根の部分がとても広くどっしりとしていますね。この部分を「根張り(ねばり)」といい、安定感と重厚感を出す部分なので、根張りがしっかりしたものが良いとされます。

木漏れ日のような影もステキです。

 

緊張の第1回スタート

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2017年5月13日 第1回目の授業

【講義】盆栽の鑑賞法・種類と樹形

講師:学芸員 林 進一郎 先生

 

受講生は少し緊張しつつも、期待感たっぷりです。そして林先生の座学が始まりました。まずは盆栽の鑑賞方法から。正面と裏側の見分け方です。

 

正面は根元の立ち上がりから幹がすっと見えるところで、横から見ると手前にお辞儀をしているように頭の部分が出ている方向が正面とのこと。これが基本のようです。次に盆栽の見方、ぐっと近づいて下から見上げる。すると、まるで大木のように枝葉の広がりを感じることができます。ドールハウスに自分が入り込んだようです。

 

本物の盆栽、松柏盆栽(しょうはくぼんさい)の代表として五葉松、雑木盆栽(ぞうきぼんさい)の代表としてイワシデを教室に用意してくださっているので、映像だけでなく実物を用いた解説がとても分かりやすいです。

 

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(これは上の写真の先生の後ろにある盆栽です。このように近づいて見上げることで、小さな盆栽が大木のように見えます。これが盆栽の表現する世界観なのです。)

 

講義では、盆栽の定義から始まり、ネバリ、コケ順、シャリなど、専門用語がポンポン出てきますが、ちゃんとテキストやプロジェクターを用いて口頭で丁寧に一つずつ説明してくださいます。そして樹種とその特徴など、もう全てが新鮮で未知の世界。どんどん引き込まれていきます。

 

盆栽は、自然に生える草木の姿を人が手を加えて鉢の上で表現していくものです。あくまでも「自然の姿」がお手本なのです。一分一秒、刻々と変化していくアート。これが盆栽の特徴です。

 

あっという間に1時間半の授業が終了。面白いのなんのって。もう初回授業受けただけでちょっと分かったような気がしてます。これまでだったら「うーん、これは好きかな。こっちはあまりタイプじゃない。」くらいの表現しかできなかったものが、注目点が分かるだけで、鑑賞方法にぐっと奥行きが生まれます。

 

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【授業後のお庭】

 あいにく雨でしたが、雨の中の庭園もしっとり濡れた盆栽たちが見事な佇まいで展示されています。

ここで今日の講義の復習です。盆栽は「下から見上げる」ことで「大きな自然を縮小して再現している芸術」ということが分かりました。

受講前と受講後では全く見方が変わるのが面白いですね。

 

いざ、盆栽アカデミーへ!

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2017年5月13日 

【盆栽アカデミー開校】

 

日本初の公的な盆栽の講座「さいたま国際盆栽アカデミー」が開校しました。民間の盆栽教室は色々ありますが、歴史や鑑賞方法などの座学と実技を体系的に学べるようなカリキュラムを組み、さいたま市が新規に開校して運営しています。場所は東京駅から40分弱、JR宇都宮線の土呂(とろ)という駅近くの「盆栽美術館」です。初日とあって、取材も入りました。(しまった。映像に耐える身繕いができとらん!)

 

今年4月には4年に一度の世界盆栽大会が28年ぶりに大宮で開催され、海外でもARTとして人気が高まっている"BONSAI"は、日本だと何故か「難しそう」「おじいちゃんの趣味」というイメージが先行しがちですが、きっともっと身近でオシャレなはずです。

 

開校のきっかけは、盆栽協会が盆栽師の後継者不足に憂いていたところ、盆栽の町を誇るさいたま市が「それでは後継者を集めるためにも広く盆栽のことを広めるためにも人材を育成しましょう」と応援し、とんとん拍子に「盆栽アカデミー」の構想が進んでいったそうです。

 

【期待感いっぱいの受講生たち】

受講生を公募したところ、第1期の定員40名に対し、約120名の応募があったそうで、抽選で「当選した方々は、残念ながら今回落選してしまった方々の分までしっかり受講してください」と盆栽美術館の方から開校式でお話がありました。ぱっと見、30代から70代くらいまで幅広い年齢層の男女が受講生として参加しています。

ちなみに、誰もが皆「初級コース」から始まります。全8回で3万1千円の受講料です。

 

【開校式】

 大宮盆栽美術館:「皆さん、昨日からワクワクして眠れなかったんじゃないですか?」

一同:(笑)

筆者心の声: はい、そのとおりです!!もう、勢いあまって図書館で盆栽の本いっぱい借りちゃいました。(読んでないけど気合は十分!)

 

盆栽協会の会長、さいたま市局長、盆栽インストラクターの方々、盆栽美術館の方々のお話しが続き、多くの方々がこのアカデミーにご協力されて運営されることが伝わってきました。(これは真剣に受講しなければ申し訳ない)

 

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【テキストも資料集も充実】

 席に着くと、名札、ファイル、テキスト、参考書、歴史解説書、写真集といった立派な教材が用意されていました。さらに、大宮盆栽美術館の年間パスポートも!(すごい!さすが公的講座だ!)

 

さて、いよいよ講義開始です!