サボラーたちに朗報、おサボりアイテム登場!

新芽が次々と芽吹く3月4月は、生活のための仕事が鬼忙しくて盆栽ちゃんたちに水やりするのが精一杯でした。自分の髪も切りに行けないほどで、盆栽ちゃんたちも私もボサボサ状態です。休みたいー!

▽高さ10cmもないミニ盆栽の笹から穂が出てしまいました。今は放置。

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ともかく、ビッグウェーブの仕事の締切が過ぎれば休めるので、休むために仕事の合間に準備を進めておりました(←これ重要)。まとまった休日に遠出したいのですが、そのためには、盆栽ちゃんたちの世話をどうにかしなくちゃ。これはペットと同じですね。連れていくか、預けるか、、

 私は手抜きで楽ちんな盆栽お手入れをモットーとしておりますので、日々の生活にゆとりがあって、美しく整った盆栽を作りたい方は、ちゃんと盆栽園のお教室に通う方がようございましょう。盆栽ちゃんたちは、愛でてあげればあげるほどきっとステキに成長するのだと思います。雑な私には雑草のような逞しさを兼ね備えた盆栽たちでないと。

 【長期不在時の悩み相談】

昨年はアカデミーで各自が持ち帰った「五葉松」と「捻幹石榴(ねじかんざくろ)」だけだったので、長期休暇中は友人に預けましたが、さすがに何度もご迷惑おかけするわけにはいきません。そして、色々盆栽市やら盆栽園やら行っていると、徐々に手元に盆栽が増えてしまうものです。お隣さんにお願いするほどのお付き合いもないし。。やはり盆栽園に預けたいのですが、盆栽市で販売していらっしゃる方の数人に預かっていただけるか聞いたところ、どこも「置く場所が無い」とけんもほろろ。その中の1名の方が「少しならいいよ」と仰ってくださいましたが、普段からその盆栽園に通っている顧客でもないので、気が引けます。盆栽お持ちの皆様はどうしていらっしゃるんでしょう?

 【困った挙句、自動水やり器購入!】

以前は鉢植え植物用にペットボトルの先に漏斗状のプラスチックをつけたものをセットしたり、バケツに入れた水を線でつないで徐々に水やりする装置をセットしたりしましたが、盆栽鉢のサイズもまちまちで、数も多くなってしまったので、新たな手段を探しておりました。

 そうしてたどり着いたのが、ネットで探したこの自動水やり器。webでの評判も良かったので早速購入してみました。

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タイマーで毎日決まった時間に水やりができるとのこと。分岐させれば同時に何鉢も水やりができます。そのためのアイテムも同時購入。(ホースは付いていないので、別途ホームセンターで購入する必要があります)

 【設置と試運転】

休暇前に試運転しないと怖いので、仕事の合間に水やり装置をセットしました。水道に繋いだ右側のホースから水がこの装置に入り、設定した時間になると左側から一定時間水が出る仕組みです。(写真右:高さが足りなかったため、ミスした設置時のもの)f:id:katsuo_24:20180502124132j:plain

分岐した黒い先端を個々の鉢に挿しこみます。白いネジ部分で水の出る量を調整できるので、大きめの鉢と小さな鉢で水の出る量を別々に調整できます。毎朝6時から3分間水が出るようにセットしてみました。

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2,3日試運転してみて、葉水が足りないと感じたので、自分がいるときにはシャワーで水をかけましたが、これは便利!長期不在も暴風で鉢が倒れなければ大丈夫でしょう。

この試運転が上出来だったので、追加で10本分岐の細い管を購入し、我が家の盆栽ちゃんたちは点滴の管を挿入された状態となりました。この水やり装置、色々付属品を揃えるとちょっとお高くなってしまいますが、長期不在が多い方にはオススメアイテムです。

 水の配管を考えるという作業は、これまでやったことがなかったので新鮮でしたが、これって電流みたいだなぁ、いかに無駄なく最短距離で効率よく水を行きわたらせるか、、とコネクターの凹凸も考慮しながら悪戦苦闘し、どうにか20鉢にセット完了。 f:id:katsuo_24:20180502125516j:plain

セットした結果、小さいものも含めて20鉢以上もあり、一部はトレーに水を張ってしのぐことにしました。

盆栽って、つい増えちゃうものなんですね。ツレから「これ以上増やすな!」と釘をさされていまいました(汗) 

 

【おまけ】

新緑の柔らかな緑の時期を楽しまないのはもったいないので、2日間だけ玄関に飾りました。

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どちらも昨年購入したものですが、それぞれ植え替えました。ヒナギクも無事越冬して花を咲かせ、紅葉は秋の紅葉も楽しめたので、1粒で何度も美味しいのが盆栽のいいところですね。

 

  

初級コース番外編、五葉松の同窓会<後編>

遅くなりましたが後編です。さあ、インストラクターのお手本を見た後は、各自の五葉松の植替え作業です。ある程度作業台の高さがあると作業がやりやすいですね。だから盆栽園では台に載せて椅子に座って作業するのだと最近気づきました。(これも初心者あるあるでしょう。自宅で地面の高さで作業していて腰が痛くなりました。)

【皆さんの作業風景】 

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【キター!共生菌!】

さて、皆の写真を撮っている場合じゃありません。自分の五葉松君も植え替えせねば。。なかなか抜けなかったので、ハンマーで鉢の角をたたいて取り出してもらいました。そうしたら、四角くびっしり生えた根に白くヴェールがかかっているじゃありませんか!こ、これは!

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共生菌様のご降臨です!やったー!!早速臭いも嗅いでみました。なんと、しいたけみたいなキノコの匂いがします。これはラッキー!とはいえ、ほぐして古い根を切ると共生菌も落としてしまうことになってしまいます。

そこで、効果のほどは分かりませんが、カットした根(共生菌が付いた白い部分)を周りのお友達にもお裾分けをして、自分もおまじない的に新しい鉢にも少し埋め込んでみました。さて、共生菌の再現なるか?これはまた3年後くらいに判明しますね。

 【植え替え後】

途中経過は省略し、植え替え後はこんな感じになりました。植え替え前に成長していた苔を残しておき、新しく植え替えた土の上に置いてみました。土が綺麗になると苔まで綺麗に見えるものです。鉢も同じものです。ビフォーアフターを検証するとこんな感じ▽

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植えるときに正面を少しだけ変えてみました。いっぱい根を切り詰めてしまいましたが、無事に新しい根が生えてくれるでしょうか。。何事も初チャレンジはヒヤヒヤします。

 【春の盆美】

植え替え作業はアカデミーのスタッフの方々が事前に準備をしてくださっていたおかげで、1時間で終わりました。少し物足りないくらいです。(おーっと、余裕の発言)

せっかく盆美まで来たので、展示作品を見ないで帰るなんてあり得ません。お庭も一通り見ました。盆栽が他の美術作品と大きく違う点は「生きている」ということです。春の息吹を感じられる展示を見ていると、柔らかな新芽が一斉に出る春はやはり気持ちが明るくなって良いなあと、肩こりがほぐれるような気がしました。

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出猩々(でしょうじょう)という種類のもみじは、春の新芽が真っ赤なのでまるで紅葉のようですが、夏になると緑になるようです。不思議ですね。

 

【おまけ】

今年は3月に暖かい日が続いて桜があっという間に満開になってしまいましたが、せっかく同級生たちが集まる日なので、五葉松の植替えが終わった後で盆美の近くにある公園でお花見しました。

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リスの小屋もあり、思いがけずピクニック気分を味わえました。本日のフォトジェニック賞はこの子です♪

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初級コース番外編、五葉松の同窓会<前編>

昨年度の初級コースでは、各クラス五葉松を素材に剪定の実習を行ったのですが、その五葉松の植え替えの実習として年度末最終日の3/31にアカデミーで特別日を設けてくださいました。A、Bクラスの方々は、半年以上自宅で各々管理してきた五葉松君たちの同窓会ということになりました。

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 △アカデミーが開催される盆栽美術館お庭の新しい撮影ポイントにて

【同級生たち】

アカデミーの講義が終わってしまうと、なかなかお会いする機会も無くなってしまうのですが、半年以上ぶりに集った面々はやはり懐かしく、ご挨拶だけでもほっこりしました。インストラクターの方々は、皆が持参した五葉松を観察しながら、「皆さん、とても元気に育っていますね」とお褒めのお言葉。うちの子も枯れずに参加できて良かったです。元々の素材選びをしてくださった盆美の盆栽師さんの目利きが大きいと思いますが。。

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【お手本デモンストレーション】

まずは、原先生のデモンストレーションからです。お手本の五葉松は5~6年植え替えていないものとのこと。土と根が固く張りつめて、鉢から取り出すのに竹のヘラを使用したり、ゴム製のハンマーで叩いたりしました。100円均一のお店でゴム製のハンマーは購入できるようなので、備えとして買っておいても良いかもしれません。 

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【鉢の準備】

原先生のお手本では、別の鉢を使用しましたが、今回は持ってきた鉢を使用しての植え替え作業なので、五葉松を鉢から外したら手早く作業をする必要があります。手早く作業するためには、①鉢 ②小さくカットした防虫ネット(鉢底の穴の数分) ③短い針金(ネットの鉢底固定用)④長い針金(盆栽固定用)⑤赤玉土(中粒、小粒、桐生砂を2割混合しておくとベター)⑥鋏 ⑦やっとこ ⑧竹の割りばし というグッズを予め用意しておくのがポイントです。

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 △土や道具の準備をしてくださっているのが上げ膳据え膳感覚

いざ自宅で植替え作業をやってみると、「あ、針金忘れた」「あ、土の準備忘れた」と気づくことが多いですね。料理と一緒で、まずは材料と道具を準備ということです。

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△鉢の準備をまず先に

 【ポイントは手早い作業】

さすが先生、作業がとても早くてシャッタースピードが追い付きません。えっと、まずは鉢から抜き出して→臭いを嗅いで根の健康を確認し→古い土を落としながら根を周りからほぐして(裏側も忘れずにね)→太くて長い根を切り→用意していた鉢に正面を意識して入れる、ですね。ゼーハーゼーハー ▽

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▽続いて、盆栽固定用のワイヤーで鉢と盆栽を合体!→手である程度ワイヤーねじった後はやっとこ(ペンチのような道具)でワイヤーを引っ張ってねじる→土を入れこむ→割り箸ですきこむ(根の間に十分土が入り込むように)。ここまで一気に!▽f:id:katsuo_24:20180408190734j:plain

 【最後はオプション】

f:id:katsuo_24:20180408191718j:plainオプションで保湿力をご希望の方は、100円ショップで水苔を入手し、短くカットして鉢の表面に載せると保湿効果抜群です!ここに苔を混ぜると苔が広がるという秘儀も惜しみなく教えてくださいました。

これで、完成!さあ、鉢底から透明な水が流れ出るまでたっぷりと水を優しくかけましょう。

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 おっと、時間切れです。私たちの植替え作業は後編で~

これでいいのか、やっちゃえ自主練

盆栽の手入れは、樹種(じゅしゅ:樹の種類)によって季節のお手入れの目安がありますが、初心者にはなかなか分からないものです。色々な本が出ているので、参考にするのが良いと思いますが、冬の間にできることをと思いながら自宅の盆栽たちを本を見ながら少し手入れしておりました。盆栽たちが本格的に目を覚ます前に、色々やっておきたいところです。

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△こちらの写真は、昨年春花園でいただいたもみじの新芽ちゃん。細くて小さなこの子も無事に冬を越せたようです。シンメトリに芽が出たのは偶然でしょうか?

 【新たなアイテム】

昨年、埼玉県川口市にある盆栽用具の専門店「昌國(まさくに)」で出会ったときから脳裏に焼き付いて離れなかった憧れの又枝切(またえだきり)という盆栽用の鋏(はさみ)を大宮の盆栽町にある九霞園(きゅうかえん)さんで購入できることを知り、その場で購入!ついに今回のお手入れで出番がきました。新しい道具ってそれだけでワクワクします。

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 【お手入れのお客様:椿(白侘助)様】

年末に深谷で買った土鉢の椿は、まだ寒さが厳しい頃に白く清々しい姿を鑑賞できましたが、花後そのままだとひょろひょろと伸びてしまいそうだったので、剪定を行いました。もうここは思い切ってバッサリ。ビビッていた過去の自分と決別の時です。又枝切君、いい切れ味です!(剪定は2月中旬)

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 △剪定前                   △剪定後

土鉢のままでは色気がないので植替えも行いたいと思いつつ、白い侘助(わびすけ)椿に合いそうな鉢で自分の好みのものになかなか出会えず、しばらくそのままでいましたが、先月の国風展の売店で出会った素敵な鉢をこの椿さんに合わせることにしました。

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織部、飴釉流し(おりべ、あめゆうながし)という鉢です。瀬戸の作家さんが作られたとのこと。やはり鉢が違うだけで見栄えしますね。幹についた針金の跡が目立たない方を正面にしてみました。侘助様、鉢に負けない盆栽にご成長くださいませ。(植え替えは3月上旬)

 【お手入れのお客様:五葉松殿】

お次は、昨年の盆栽アカデミー初級コースで緊張しながら初めて自分で剪定した五葉松くんです。我が家でどうにか半年以上、雨ニモマケズ風ニモマケズ雪ニモ夏ノ暑サニモ…ついでに害虫にもマケズ、丈夫に今日まで生きております。最初は枯らさないかとヒヤヒヤでしたが、意外に丈夫なので気持ちが楽になりました。椿さんだけでは飽き足らず、又枝切を使いたくて、五葉松君のちょっと要らなさそうな小枝も切っちゃいました。ほどほどにね。

そして、五葉松君の全体の姿ですが、初心者なので最初は気にならなかったのですが、あちこちの盆栽園で見事な盆栽たちを見ているうちに、我が家の五葉松君の枝ぶりがイマイチに見えてくるようになったのです。中級コースに進んだ友人たちは、中級コースでこの五葉松の針金掛けをやったようですが、私は自分でやっちゃうことにしました。 

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△Before                 △After

針金掛けはとても難しそうという思いがあったので、針金掛けが特集されていた雑誌も買って盆栽のエキスパートの針金掛けのデモを思い出しながらトライです。雑誌もアカデミーの先生も、「針金掛けは数をこなすのが一番」とのアドバイスだったので、思い切ってチャレンジ。足りないのは勇気だけでした。

はじめはうまくいかなかったので、やり直しましたが、五葉松君は強そうなので、初心者の手荒い扱いでもなんとか耐えてくれそうです。本当は細かな枝まで針金掛けた方が良いのでしょうが、時間もないのでここまで。右がAfterですが、まだまだ理想の形には程遠いですね。(針金掛けは2月中旬)

【お手入れのお客様:枝垂れ梅さん】

こちらの棒きれ、もとい、枝垂れ梅の盆栽なのですが、プラスチックの鉢で土も硬くなっており、いかにも可哀そうです。。というのも、これが我が家に来た最初の盆栽さんで、私が湯島天神の梅まつりで5年前に購入したものです。これまで庭にほったらかし、水やりだけでここまで来ましたが、まあみすぼらしくて気の毒です。今だったらこの姿の盆栽は買わないでしょうが、愛着というやつでしょうか。なんとかもう少し見られる姿にしてあげたいものです。枝も四方八方滅茶苦茶な伸び方で、自由奔放ではありますがこれじゃあねぇ、、とりあえず「これはいらないだろう」という枝だけ切ってみました。 

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△Before                △After

なかなかこの梅に合うような鉢が見つからなかったのですが、このままでは時期が過ぎて植え替えのタイミング逃してしまうので、ホームセンターで買った長方形の鉢に斜めに植えることにしました。棒切れみたいな姿なので、ごつい鉢でも意外に相性良いかもです。(剪定と植え替えは3月上旬)

その他にも、紅葉の植替えと、ツリバナと萩に針金掛けなど、手が空いた時に少しずつ手入れしました。下手して枯れたらどうしようとビビりながらも、自分で買ったものだし、ここで手入れすればきっと将来もっと良くなる!と信じて勇気をもってチャレンジしていたら、なんだか度胸が少し出てきました。

盆栽教室に行ったら、ちゃんと教えて頂けると思いますが、すぐに通えるところに見つけられないし、通う時間もあまりとれないので、しばらく自主練が続きそうです。

 

【おまけ】

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今年は急に桜が満開になりました。名所に行って花見をゆっくりしている時間はないものの、近所の桜もなかなかのものです。

 

初級コースで雑木盆栽植え替えにトライ!<後編>

盆栽の植替えを初めてトライするアカデミー初級コースの受講生たちの奮闘は続きます。(剪定までの作業は<前編>で)

 【幹掃除】

剪定が終わったら、次に取り出したるは「使い古した歯ブラシ」です。盆栽の道具って割り箸やら針金やら色々面白いもの使いますが、今度は歯ブラシ。これでシャカシャカと幹を磨いていきます。

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 これは幹についた汚れを落とすのが目的です。樹を磨くなんて初めて聞いたので意外でしたが、さすが盆栽ちゃん、抜いて捨てられる雑草とちがってセレブ扱いです。飾られる日を夢見て美肌ケアいたしましょう。

教室では皆一斉にシャカシャカタイムです。見落としてしまいがちな汚れや害虫をこのときに綺麗に落とします。「一年に一度は磨いてあげてくださいね」と原先生。我が家の盆栽ちゃん、シャカシャカしてあげてない!帰ったらやってあげようっと。

 さて、いよいよ植え替え作業に移ります。インストラクターの原先生のデモンストレーションを見るところからまいりましょう。

  【植え替え】

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今回は元々入っている鉢をそのまま使用するため、一旦桜を鉢から外し、鉢を雑巾で拭いて綺麗にします。スポッと外す原先生に「え?そんな簡単に抜けちゃうの?」と思いましたが、この苗は1年前に植えたばかりもののようで、簡単に外れるようです。

さあ、ここからは根が乾かないようにさっさと作業します。

まず、鉢の準備です。鉢にも正面と背面があるのですが、今回の鉢は楕円形で模様もないので、キズが無く綺麗に見える方を正面とします。 

f:id:katsuo_24:20180311123220j:plainその後、鉢底の穴に防虫ネットを針金で固定します。通常ひっくり返して見ませんが、鉢底から出た針金の向きも綺麗に整えておくところが、実に奥ゆかしいです。ちょっとした身だしなみですね。

 さて、盆栽固定用の長いワイヤーも鉢底から通し、植えこみやすいように針金を広げておきます。後にこの針金で盆栽を固定するのですが、同じ針金同士で結束しないと、緩んでしまう恐れがあるので、どれとどれが同じ針金の両端なのか注意が必要ですね。 f:id:katsuo_24:20180311123641j:plain

そうして鉢の準備が整ったら、鉢底に粒の大きめの土を薄く敷き、その上に粒の細かな土を真ん中が少し高くなるように盛ります。これは、根の生え方を観察すると分かるのですが、樹の根というのは、外側へ外側へと伸びていく性質があるため、幹の真下に空間ができていることが多く、植え替え時にその空間に新しい土が隙間なく入るようにするためです。

【ブランド土】f:id:katsuo_24:20180311124904j:plain

アカデミーでは実習での植え替え用に土もご準備いただいております。この土ですが、通称「二本線」と呼ばれる土だそうです。この土は少しお値段も高めのようですが、安い土に比べて硬く、鉢に入れて1年たっても粒が壊れにくいので水はけや通気性が良いようです。切れる鋏と土、これだけは盆栽を手入れする上で安物買いの銭失いにならないよう気をつけたいものです。昨年、土の入手に色々ネット探してみましたが、重たいので土の購入はネット通販も有難いですね。(あまり量が多いとベランダでは土の置場にも困りますが。)

  【根の手入れ】

 植え替えのタイミングでしかできないことがあります。さて、それは何でしょう?

A.鉢に隠したへそくりを探す

B.根の健康状態を見る

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アホなこと言ってないで、さっさと「根の健康状態を見る」を実施しましょう。このとき、臭いも確認してみましょう。カビ臭くなければ健康だそうです。

そして、根をほぐします。竹の割りばしを使ってほぐしますが、まずは裏側からぐりぐり。ある程度ほぐれたら、樹の内側から外側に向かって少しずつほぐします。この時に、根ばかりに注意していると、うっかり花芽や小枝を傷つけてしまいますので、幹の根元を持って注意しながら作業します。

もし、根に瘤(こぶ)を発見したら切り除きます。これは「根頭癌腫病(こんとうがんしゅびょう)」という病気だそうですが、切り落とすのが一番とのこと。外科手術ですね。 

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ある程度ほぐれたら、長く伸びた根を切り詰めます。樹は細かな根から水分や養分を吸収しているので、細かな根よりも、太く長い根を切るのだそうです。長くて太い根は重要そうに見えるので、残さなくちゃと思っていましたが、きっとここが素人の勘違いポイントなのでしょうね。

 【新しい土を隙間なく】

 さて、植え替えも終盤です。さっぱりと手入れされた樹を、新たな鉢に予め決めていた正面と鉢の正面を合わせてセットします。位置が決まったら、鉢底からニョキっとだしていたあの針金で樹を鉢に固定します。このとき、「やっとこ」という面白い名前の盆栽用ペンチで針金を挟み、引っ張って捩じりながら締めていきます。同じ針金同士で結束しないと針金が緩むというのはここで実感できますね。やっとこは、盆栽を傷つけないような優しい形状になっているのが工具用ペンチと異なるところです。f:id:katsuo_24:20180311132215j:plainなぜ針金で固定するのかって?いい質問です。鉢植えは深い鉢なので、土も沢山入り、その重さで安定しますが、盆栽は鉢も薄く、土の量もあまり多く入れられないので、万が一強い風や衝撃で倒れた場合、鉢から樹が抜けてしまう恐れがあるからです。これって盆栽特有の方法ですね。ちゃんと固定すると写真のように持ち上げられちゃいます。

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針金での固定が済んだら隙間に土を入れていきます。この時にも竹の箸が大活躍!隙間なく土を根の間に入れこんでいきます。箸をグリグリ動かしたり、鉢を拳でトントン叩くと意外に土が入るものです。どこまで入るか、まるで詰め放題にチャレンジのようです。最後にピンセットに付いているヘラの部分で土をならして完成です!

【では、ご自分で】

皆さん、ご自分の桜を植え替えてみましょう~ となりましたが、見るのとやるのは大違い。「マジか!」と焦らなくても大丈夫です。インストラクターという強い味方が手助けしてくれます。

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 △網を止める針金の曲げ方をインストラクターの手元を見ながら一緒にやってみました。

f:id:katsuo_24:20180311135806j:plain時間の都合でなかなか慌ただしい作業になりましたが、皆さん無事に植え替え完了できました! 

 【休息の場所へ】

 受講生の方々は実習の後、それぞれ自分が植え替えした河津桜の鉢を大切に抱え、培養所に運びます。 

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植替えした後は、たっぷり水をあげます。鉢底から最初は濁った泥水が流れますが、これが透き通ってくるまで水をあげます。泥水が溜まると土が固まり、腐ったり病気になったりしてしまうので、水はたっぷり与えます。

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ちょうどこれから開花の時期ですが、植え替え直後は樹にとても負担がかかっている状態なので、この培養所で盆栽美術館が3月の最後の講義まで預かってくださるとのこと。その間に自宅で受け入れ態勢整えたいですね。3/10以降は持ち帰ることができるとのことでしたので、ご自宅で早速鑑賞されていらっしゃるでしょうか? 

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 △初回の実技で手入した五葉松の盆栽(左奥)と今回植替えした河津桜の盆栽

 

【おまけの疑問】

 なぜ植え替え必要なの?と思う方もいるでしょう、そりゃそうですよねー。ズボラ派の私も、面倒なことはやらずに通り過ぎたいところです。

ちょうど盆栽の特集番組を見て知ったのですが、盆栽は小さな鉢の中で日々成長を続けています。そのため、何年か経つと根が鉢の中でパンパンになってしまうのです。生きている証拠ですね。伸びた根を切ることで、新しい根が生えてきて、成長も促されるようです。盆栽の不思議な魅力を科学的に検証したとても面白い番組でした。

 インストラクターの先生のお話では、水をあげたときに染み込まずに溜まってしまうようになったら植え替え時期とのこと。大体2,3年に一度くらいのペースだそうです。

てなわけで、私も自宅の盆栽ちゃんの植替えそろそろやってあげなくちゃ。

 

【お知らせ】

このステキな盆栽アカデミーの初級コースが本年度も開催されます!募集期間は3/21(水)必着です。ぜひ盆友になりましょう~!

 

初級コースで雑木盆栽植え替えにトライ!<前編>

空に霞がかかり、春を間近に感じる時期です。ご遠慮したい花粉もたくさん降り注いでいます。今回、雑木盆栽の植え替え実習が行われるという盆栽アカデミーの初級コースにお邪魔しました。受講生にはとても楽しみな実習の回です。

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【本日の素材は河津桜

いいですね~、桜。本日の素材は河津桜(かわづざくら)とのことで、受講生の机の上にピンク色に蕾を膨らませた桜の鉢が並んでいます。もうそれだけでワクワクします。伊豆の河津町は他の桜より一足早く並木道にずらりと咲く観光名所ですね。地に生えている大きな樹を見るのも勉強になりそうです。昨年私が受講した初級コースの雑木盆栽の樹種は石榴(ざくろ)でしたが、時期よって素材が異なってくるのでしょう。樹の種類が異なると楽しみが広がります。

▽盆栽アカデミーで丁寧にご用意いただくテキストと道具、素材の数々。ありがたや!

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桜も梅もバラ科ということは恥ずかしながら最近知ったのですが、桜だけでもとても種類が多いようです。ソメイヨシノはお花見で有名ですが、1週間ほどで花が散ってしまいます。そこがまたはかなくて美しいのですが、盆栽となると花の咲く時期が長い方が家の中で楽しめる期間も長くなり、盆栽としてじっくり愉しめるということになりそうです。

 【まずは講義から】

前回、五葉松の手入れをされた皆さん、さすがに緊張していない様子ですが、やはり実際の素材を目の前にされるとソワソワしている様子が伝わってきます。自分が手入れするとなると、どのように進めたらよいのか、インストラクターの先生のご指導が頼りです。

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思い出しましょう。「松は松らしく」「桜は桜らしく」です。自然の中で大地に根を張り、幹や枝を伸ばしていく姿を目の前の盆栽の将来の姿に投影させるのです。これ、頭で理解したつもりでも、イマイチ初心者には難しいのですが、この一年、良い盆栽を鑑賞したり、アカデミーで扱った素材を日々見ていたら、なんとなく見えてきたように感じます。なんとなく、、なので、全く自信はありませんが。こればかりは自分で盆栽を管理しないと分からない点だと思います。私より賢いペッパー君でも無理でしょうね~。

そして、いよいよ実技です。待ってました!まずは雑草取りから。皆さん、前回の五葉松の手入れで経験済みなので、ここはサクサク進みます。

  【デモンストレーションのお手本】

さて、本日のメイン、実技のデモンストレーションです。まずは一番大切な正面を決めるところからです。立ち上がりから幹模様、枝配りなどを考えて正面を決めます。 正面を決めたら、剪定して形を整えます。頭をどこにするか、どの枝を残すのか、、といった初心者にはもうどこから手を付けたらよいのかお手上げになってしまう場面です。

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【大胆なカットに一同騒然】

原先生がまず上に伸びている枝をバッサリ切り落とすと、会場内から「おおーっ」というどよめきが起ります。ですよねー。もったいない!と思うのが人情ってもんです。しかし、原先生曰く、これが鉢植えなのか盆栽に仕立てるのかの違いだと。なるほど。盆栽は手で持てるくらいのサイズに全体を収めるところもポイントです。(盆美で展示されているような大きな盆栽は、とても私たち一般ピーポーの家には置けません)

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△思い切りの良さに「おおー!」っとどよめきの声が

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 △切り口を癒合剤(カットパスター)で保護。切った枝は家に持ち帰って赤玉土に挿し木してみましょう!もしかしたら根がでるかも?

 【一心不乱に作業中】

さて、先生のデモンストレーションが終わると、皆さん自分の盆栽の正面を決めるところからです。各テーブルについて見てくださるインストラクターの先生に相談しながら、進めます。

次に剪定開始です。限られた時間の中で行うため、皆集中して作業を進めます。どうしても不安は募るので、ついインストラクター先生待ちになっちゃいますね。インストラクターの先生方は大忙しです。切るかどうか悩む枝は、今切らなくてもいずれ将来切ることもできるため、今は残しておくという判断もアリのようです。つい今全部仕上げたくなっちゃいますが、急ぐこともないのですね。

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さて、悩みながらも選定を終えた皆様、次は植え替えに移ります。まだ作業は続くのですが、私の時間がタイムアップになってしまいました。後編はまた改めてお届けしますので、よろしくお付き合いくださいませm(_ _)m

 

【おまけ】 

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とても見たかった芙蓉園の竹山浩さんの展覧会に行くことができました!(盆栽美術館で開催されているのでアカデミーの方々はちょうど見られてラッキーですね)

 40年前と現在の姿の写真展示など、盆栽が生きた芸術だということを本当に感じる素晴らしい作品ばかりです。※3/14まで

こくふうてんってなに?

昨年まで私は全く盆栽のことについて知りませんでした。恥ずかしながら今回で92回目を迎える日本で一番歴史のあるメジャーな盆栽の展示会「国風展」も分からないド素人。昭和9年に第1回目が開催された由緒ある展覧会です。今からでもいいじゃないですか。盆栽アカデミーの友人や盆栽に関心あるお友達も誘っていざ見参!

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△中村年孝さん撮影

 【間近に見られるライブです】

2月上旬というまだ寒い時期にもかかわらず、上野にある東京都美術館は盆栽ファンで賑わっています。お隣の上野動物園のパンダの香香(シャンシャン)と人気を二分する勢い!、、とまでは行かないかもしれませんが、盆栽ファンにとっては期待が高まります。なんたって今年の日本一の盆栽を見られる機会なのです。

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盆栽は生き物なので、今一番良くても、来年はその良い状態を保てているか分からないという移ろいゆく美、そこがまた良い点です。

  【国風賞】

広い会場に多くの盆栽が並び、前期と後期の2回に分けて展示されるのですが、私は時間の都合で生憎前期しか行けませんでした。うーん、残念。そして、展示されている作品はどれも見事なのですが、その中でも「国風賞」を受賞するということは、大変な名誉なことで、多くの愛好家がこの「国風賞」を目指しているのです。(私のような素人は、口をあんぐり開けて「へぇー」「ほぉー」言ってるだけです)

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 さすが、日本一の盆栽展です。会場では盆栽アカデミーでお世話になっている先生方にもお会いできました。「盆栽だけでなく、添え(メインの盆栽の流れを受けるように置かれる小さな盆栽や草)や卓(しょく:盆栽を置く台)とのバランスも見てくださいね」とアドバイスいただき、これまで盆栽アカデミーで教えていただいた盆栽の根張りや立ち上がり、幹模様、コケ順、枝配りなど、全体の美しさも鑑賞できるようになったでしょうか。

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  【鉢も見事】

国風賞の作品も何点かあるのですが、どれもその樹ばかりでなく、鉢も見事なのです。

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アカデミーで教えていただいた「鉢映りが良い」という言葉を実感できる作品がずらりとならんでいて、一点ずつゆっくり見ていると丸一日あっても足りないでしょう。初回の観覧としてはまずは全体を見たいところです。

 【展示中の水やり】

そして忘れちゃいけないのが、盆栽は生き物ということです。展示中も水をあげなくてはなりません。ここが絵画や彫刻などの展示会と大きく異なる点でしょう。私たちが会場で鑑賞している間にも、会場で管理される方々が丁寧に水やりやお世話をされていました。 水をあげすぎても展示中に鉢底から水が漏れてしまうので、ちょうどよい水やり加減が要求されるのです。 

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【展覧会後はショッピング】

国風展と同時期に、近くの上野グリーン倶楽部では、立春盆栽大市が開催されるとインストラクターの先生から教えていただいていたので、我々は展覧会会場近くから臨時無料送迎バスに乗って出向きました。盆栽市の会場は建物内1Fから3Fまでと屋外全体に全国の盆栽事業者の方々が自慢の品を並べており、私たちはそれぞれ自分のお目当ての品を求めて四方八方へ。盆栽はもちろん、鉢や鋏などの道具、ミニチュアの置物、盆栽関連書籍など、「盆栽界の玉手箱や~!」と言わんばかりの楽しさです。

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あっという間に時間が経ち、ちょっとお買い物して皆満足して帰路につきました。

 

【おまけ】

この日はプロカメラマンの中村年孝さんも一緒に行ってくださったので、特別ミニ写真展です。どの世界もやはりプロは違いますね~

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