撮影のプロは着眼点も新鮮

日本を代表する樹齢450年の五葉松の銘木「日暮し」が展示されるというニュースと、撮影エリア拡大というニュースを聞きつけ、盆栽仲間の友人に加え、日本美術の学芸員資格をお持ちのプロカメラマン、中村年孝さんと一緒に大宮盆栽美術館に出かけました。 f:id:katsuo_24:20180212170526j:plain

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△中村さん撮影のかえでと野梅(やばい)。辺りに漂う梅の香りが心地よく、幸せな気分になります。

【名木に表裏なし】

お目当ての「日暮し」が飾られている展示場所は撮影禁止なので、写真アップできませんが、盆美のサイトから写真を見られます。写真だけでも風格が分かりますね~。下世話な話をすれば、評価額1億円以上という話題だけで、どんなものかと見たくなります。ヴァイオリンの名器、ストラディバリウスの値段を聞くと途端に良い音色に聞こえてしまう私のような庶民には、分かりやすい話ですが。

それはさておき、写真と違い、実際に近くで見ることの良さといったら、それは「空間の美」を堪能できることでしょう。同時に展示されている掛軸や添えの盆栽、器もどれも見惚れてしまい、なんとも優美な調和された空間がございます。ここでお茶をいただけたら、、なんて妄想が膨らみます。

通常、盆栽は正面があるのですが、「名木に表裏なし」と言われる「日暮し」は、実際に行ってみないとどちらを正面として展示されているのか分からないところが楽しみなのだと教えてくださった盆栽のエキスパートに盆美で出会いました。そして、今は「日暮し」の状態が良い時期のようだと教えて頂きました。同じ樹でも調子の良いときと悪いときがあるとは!またひとつお利口になりました。※展示は2月14日までです。

 【撮影エリア拡大】

これまで盆栽美術館では、建物入口正面の盆栽とお庭の一部が「撮影可能エリア」として許可されていましたが、この度、お庭の撮影可能エリアが拡大されていました。

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△拡大された「撮影可能エリア」(かつおぶし撮影)

これは大変嬉しいことです。丁寧に手入れされている季節の盆栽たちの姿を撮影できるのは盆美のもう一つの楽しみ方です。残念なのは、どうしても背景に色々映り込んでしまうので、盆栽だけの写真が撮れないことです。もっと綺麗に撮れたらインスタもやってみたいのになー。(今はブログだけで精いっぱいですがwww)

さて、プロのカメラマンはこのような規制がある場所でどうやって撮影するのでしょう。私もプロのエッセンスを真似してみようと、後を追っかけました。

 【ポイントを探す】

つい対象物全体を入れて撮影したくなりますが、プロの視点は「まず、この盆栽のどこを一番見せたいか」というポイントを探すことからだそうです。見上げて大樹に見えるように~とこれまでバカの一つ覚えのように撮影しておりましたが、無理に全体を入れなくても、ポイントを絞って伝えたいことを表現するということを学習しました。

▽松の細かな枝と葉の硬質なイメージを伝えたかった写真(かつおぶし撮影)

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 【余計なものを入れない】

そうなんですよ。私もそれは常々思っておりまして。。しかし、お庭の展示では背景に色々映り込んでしまうのです。そこで悩んでいたら、中村さんが背景を逆手にとって撮影されていらっしゃるではないですか!早速真似です。

▽プロの真似して同じ位置から撮った写真(かつおぶし撮影)

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【日当たりを活かす】

私は、盆栽や植物は日陰の方が色がはっきりして良いのかと思っていましたが、中村さんに伺うと、「日陰よりも日向の方がその影が出て立体感が出ます」とのこと。実際に日向側から撮った写真と日陰側から撮った写真を見比べさせてくださいました。そんな見方があったとは。。

それでは、私たち一般人でも撮影可能なエリアで写したプロの写真をご紹介しましょう。

【写真家 中村年孝ワールド】

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上から、野梅(やばい)、五葉松 銘「うず潮」、五葉松 名「敷島」 、黒松

 

【おまけ】

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トップのかえでのシルエット写真を撮影しているときの中村さんのお姿。さすがプロ、良い写真を撮るためなら、こんな姿勢もへっちゃらのようです(笑)。私がやったらうっかり躓いて倒れたのかと警備員さんに心配されそうです。

 

 【お知らせ】

現在、上野で「国風展」も開催されております。前期は終わってしまいましたが、13日~16日の間、後期の展示があります。展示盆栽は前期と全部入れ替えるそうなので、こちらも見逃せない!うーん、体が2つ欲しい!

 

雪ですが。凍っちゃいましたが。

先日、天気予報が寒波と大雪の予報を出していたので、朝出かけるときにもみじや捩幹石榴(ねじかんざくろ)といった寒さに弱い雑木盆栽は、発泡スチロールの俄かムロに入れ、軒下に避難させておきました。(ムロとは、盆栽を冬の寒さから防ぐビニールハウスみたいな設備)

インストラクターの先生が写真で紹介してくださった風雪に耐える自然界の杉の写真が脳裏に浮かび、五葉松と真柏の松柏盆栽は、針葉樹なので元から寒さには強いから大丈夫だろうと、屋外に出したまま出かけました。

 午後からどんどん雪が降り続け、夜帰宅したときには我が家も雪国でした。雪景色を見るのは好きですが、我が家の盆栽ちゃんたちは、無事でしょうか。。

 【ミニチュア樹氷出現】

帰宅後すぐ庭に出てみると、ええ、そこにはミニチュア樹氷がこんもりと出来上がっておりました。

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なかなか風情があるじゃないか。なんて一瞬思ったものの、これは大変!いくら寒さに強いからって、これではあまりにも寒そうです。庭木に積もった雪はそのままでも、盆栽ちゃんたちは全体のサイズが小さいので、雪の影響が分からず心配です。

まずは、手で積もった雪を払っていましたが、どこまでが雪なのか分からないので、手が当たってうまく雪を払えませんでした。幸い鉢が小さめなので、慎重に根元を持って鉢ごと逆さにして雪を落としました(←大胆?)。今思えば、これは、積もってすぐなのでできることですね。雪は降ってから時間が経つと硬くなってしまうので、雪かき同様、積もったら早めに落とすのが良さそうです。この晩は、深夜まで降り続きそうだったので、さすがに松柏盆栽たちも軒下に避難させました。

  【凍った盆栽に戸惑う素人】

雪は翌朝には止みましたが、まだまだ寒波は居座っております。2日経っても極寒の日々。人も冬用下着とカイロで武装して外出しないとたまらない寒さです。

凍てつく寒さが続く朝、軒下に置いた盆栽ちゃんたちを見たら、なんと土が盛り上がっているじゃないですか!

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こ、これはもしや霜系?!土が凍ってるってことじゃないか!と、自然界では見慣れていることでも、盆栽となると急にビビります。盆栽初心者ですから。

しかも、日中は外出しなければならないので、土が溶けるまで待っていられません。水やり目安と言われる土の表面は乾いているものの、土の中は凍っているし、、水をあげていいものか、このままでいいのか、はたまた家の中に避難させるべきか、、悩みます。

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家の中に全部避難するスペースもありませんし、家の中に入れたとしても、水やりはどうするの?とまた悩みます。

 そこで、アカデミーの仲間グループに聞いてみました。同期の方々も、私のような初心者から、何年も盆栽をお持ちのベテランまでいるので、きっと私のようにこの雪で悩んでいるお友達も多いはずです。

やはり、同じように悩んでいらっしゃるお友達がいました。そして、時間的に余裕がなかったので、エキスパートに聞いちゃいました。お忙しいところすみませんが、教えてください~

 【エキスパートの救いの声】

エキスパートからの回答は、実に落ち着いていらっしゃいました。

「土が盛り上がるのは冬場は当たり前なので気にすることはありません。盆栽園でも屋外で野ざらしです。ただ、雪や氷の溶けた水は期待できないので、日中11:00頃から15:00くらいの間にたっぷり水やりをします。15:00以降はまた水分が凍ってしまうので、逆に水やりはやりません。自分自身、日中水をあげられない場合は、朝鉢に水をたっぷりあげて出かけます。」とのこと。

 私は素人考えで雪や氷が溶ければ、自然に水やりになるのではないかと思いましたが、エキスパートによると、雪の水分量というのは想像以上に足りないので、水やりをしなければならないようです。できるなら、鉢の縁に水がたまるくらいあげた方が良いとのこと。(私の盆栽ちゃんは鉢の縁より土が盛り上がっているのでダメですが)

プロの世界では、土に空気を入れるというイメージで水を与えるそうです。なるほどー!鉢底から水がしたたるくらい水をあげるというのは、土に水分と空気を入れるためなのか。鉢の中の古い水を洗い流す、という作業と捉えると分かりやすいかもしれません。土を良い状態に保ち、根を健康に保つことが重要なんですね。 

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ということで、私もたっぷり水をあげて、日向に置いて出かけました。お友達にもエキスパートのアドバイスをすぐにお伝えしました。

【盆友先輩たちの声】

盆栽歴の長いお友達からもたくさんの雪が積もった盆栽たちが庭に並んでいる写真の投稿がありました。

▽盆友先輩の御宅の盆栽たち

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たくさんの盆栽をお持ちの先輩方は雪くらいでビビらないようです(笑)。とはいえ、先輩方も盆栽たちは野ざらし状態ながらも、ちゃんと1鉢1鉢見守って、土が溶けてから水やりをしたり、乾ききったものは水に浸すなど、丁寧にお世話されているようです。

一方、「溶けてから水やりをするようにしています。それでも春になると、水が凍ったため、割れたり、ひびが入る鉢がいくつかあります。」というお話は、愛情もって育てられていらっしゃるが故の、とても残念な気持ちが伝わってきます。こうした先輩方の経験談は、私たちのような初心者にはとても心強いですね。

経験談を共有していただける盆友先輩たちもアカデミーで一緒に受講したことから繋がるきっかけができました。自宅で一人で買ってきた盆栽持っていても、悩んで困っていただろうなと思うと、大変有難いです。

 【ムロに入れる意味】

たまたま雪が降る前に盆栽アカデミーのインストラクターさんに立ち話で聞いていたのですが、冬の管理方法で「発泡スチロールに盆栽を入れて、蓋はしないで外に置いておく」というのは、盆栽自体を北風に当てないようにするということが肝心のようです。ベランダなどで育てる場合、ムロに入れなくても北風を直接受けないようにするだけで良いとのことでした。鉢を保温するためだと勝手に思っていた自分の曖昧な解釈を修正できて良かったです。

ちゃんとした設備を整えなくても、盆栽を楽しめる。初心者には嬉しいアドバイスです。さすがインストラクターさん、頼りになります!

 

 【オマケ】

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ちょうど先週富士吉田に行ったのでパチリ。富士山はこの時期、当然ながら雪をいっぱい被っていました。木々たちも寒そうですが、そっか、盆栽はこうした自然の風景のミニチュアなんですよね。

盆栽アカデミー、新たな初級コースもスタート

1月半ばの寒い時期にもかかわらず、盆栽アカデミーの教室は満席で、実技の講義に期待に胸を膨らませるワクワクした高揚感に包まれております。年明けから新たに講義が始まり、第2回目のいよいよ実技の講座が始まった初級コースにお邪魔しました。

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盆栽アカデミーは、広く門戸を開いてくださいますが、いつも定員オーバーの申込で抽選になってしまう人気の講座です。昨年、残念ながら抽選に漏れてしまった方もまた次回ぜひチャレンジいただきたいですね。

 【初実技は五葉松から】

教室に入ると、各自の席に五葉松の盆栽と手入れ道具、講義資料が用意されています。

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今回は各テーブルに1人盆栽インストラクターの方々が付いてくださる手厚い指導です。2,3人の受講生の方とお話しましたが、ほとんど皆様初心者で、実際に盆栽の手入れをされるのは初めてのご様子でした。(よかったー。私もほぼ同じ状態!一緒に勉強させてください!って、私は一度受講した内容のハズ(汗))

 【鉢植えと盆栽】

基礎は何事においても大事です。どんな分野でも基礎を疎かにしているプロはいません。今回も、盆栽インストラクターの原先生が、要点を押さえた基礎から丁寧に素人同然の受講生たちに解説してくださいます。

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△向かって左側が鉢植え、右側が盆栽と、見た目で分かりやすく解説してくださる原先生

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△熱心に講座を受けている受講生

 【盆栽の見どころ】

皆様熱心にメモをとって聞いています。私も「ああ、このお話し聞いたなー」と思いながらも復習です。盆栽の見どころ三要素は?二大樹形とは?模様木の種類は?板書が無いと記憶もあやふやです。普段、ボーっと眺めて「いいなー」くらいにしか考えていないので、シャキッとしました。いかんいかん。

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実物を用いての解説は一目瞭然で分かりやすいです。枝配りと言っても、素人には左右に枝が出ている感じかなあというところ、裏枝の重要性も解説してくださいます。「左右だけでなく、後ろ側に裏枝があることで立体的になるんですね。我々は、魚の骨のような形は嫌うのです」と原先生。例えが分かりやすいです。

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続いて共生菌のお話し。菌といっても、鉢裏の白い共生菌は、盆栽が健康に育っている証拠だそうです。

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普段、重たい鉢の裏を覗くことなんてないのですが、実際に見たり臭いをかいだりできる機会は大切です。本やネットでは分からないことですね。ちなみに我が家の五葉松の盆栽ちゃんには共生菌はまだお越しではないようです。ご来訪お待ちしております。

  【五葉松】

アカデミー初級コースの素材として定番?の五葉松について原先生が解説してくださいました。赤松や黒松は針のような葉が2枚、五葉松は5枚出ているから五葉松。銀八房五葉松(ぎんやつふさごようまつ)という樹種(じゅしゅ:樹木の種類)で、宮島五葉松ともいわれるそうです。四国が産地ですが、300年前くらいに突然変異で現れた種類だそうです。

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△見分け方を教えてくださっているところ(先生の右手に持っているのが赤松の葉、左手に持っているのが五葉松の葉)

真柏(しんぱく)という樹種と異なり、この五葉松は、挿し木という手法で増やすのが難しいようで、突然変異で現れた種類を接ぎ木(つぎき)という手法で増やしてきたとのこと。300年前の江戸時代のDNAが宿っているかも?とのお話しには夢があります。

 【お手入れ前に】

いよいよ各自の盆栽のお手入れです!が、その前にうっかり忘れそうなのが写真です。

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事前に撮影しておくと、お手入れ後と見比べることができて、成果が感じられるものです。ついどんどん始めたくなりますが、写真は遡って撮影できないので、ぜひ撮っておきたいところです。

【まずはお掃除から】

初めて盆栽の手入れをする方も多いので、まずは道具の使い方も兼ねてのスタートです。松ヤニ防止の手袋で装備しながら、ピンセットで雑草を抜き取ります。

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季節柄落ち葉もたくさん積もっている方もいらっしゃいます。手でやった方が早そう。。と思う鉢もありましたが、道具に慣れることも大切ですよね。それに、ピンセットの方が、小さな雑草は根から抜けるので便利です。

 【正面はどこでしょう?】

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さて、ここは重要です。半年前の私はそんなに気にしなかったのですが、今はこのポイントが重要だということがなんとなく分かってきました。盆栽は床の間に飾るものなので、正面があるのです(多分ね)。後ろ側まで立体的に作るものの、その木が一番美しく見える方向を正面にするのです。最近の住宅事情で床の間がある家はほとんどありませんので、玄関の靴箱の上やリビングの壁際の棚に飾るイメージなら分かりやすいかもしれません。 f:id:katsuo_24:20180121141113j:plain将来の樹形や幹の曲がり具合、枝の配置などを考えて、インストラクターの先生方に相談しながら皆さま時間をかけてじっくり考えていらっしゃいました。鉢の向きだけに注意しがちですが、角度も変化させる視点も必要です。正面を予め決めておいて、理想とする形に樹形を整え、植え替えていくという手順なのです。

  【お手入れポイント】

次に葉の剪定です。時間的制限があり、大きな樹形を整えるのは次回の作業になるようで、今回はボサボサに生えている葉のお手入れです。古葉を盆栽用の鋏で根元近くから切っていきます。

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古葉って言っても素人にはなかなか見分けがつかないものですが、先端に芽が付いているのは見分けがつくので、芽の周りの葉は切らずに、枝の下の方に生えている色褪せた葉が古葉なので、その部分を切り、枝先だけに葉が残り、懐は風通しが良いようにします。下向きに出ている葉も切ります。

(人間の腕で言ったら、指先から手首くらいまでは産毛を取らずに二の腕部分はムダ毛を取るイメージでしょうか。←例えが変ですが。) 

皆様、インストラクターの先生方の丁寧なご指導を受けて作業されました。f:id:katsuo_24:20180121142754j:plain

面白いことに、盆栽のお手入れ作業はついのめり込んでしまうので、皆様集中して黙々と作業されています。きっと充実した気分になられたことでしょう。

  【春まで待機】

さて、楽しい時間はあっという間に過ぎて、片付けです。次の実技までアカデミーの培養所で預かってくださることになりました。

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各自で運び、水やりの方法を教えて頂きました。水は鉢底の穴から水がポタポタ落ちるほどあげます。(冬の時期は毎日あげなくても2日に一度くらいでいいようです)

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△各自で手入した盆栽に水をあげました。受講生の皆様も盆栽ちゃんもほっとしたことでしょう。

 

【オマケ:美術館はこちら】

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盆栽美術館へ行くと、展示会場とお庭、販売所という一連のコースを周るのがルーティンになっていますが、販売所に素敵な看板がかかっています。色味が派手ではないので盆栽に馴染んでいながらアートを感じる作品です。よく見ると字の部分は溝をつけて半分埋め込んだ形になっています。九霞園の村田さん製作だそうです。シブイです。 f:id:katsuo_24:20180121144026j:plain

 他にも、美術館では、季節に合わせた展示や実演、トークショー、ワークショップ、相談会など、様々な企画を考えてくださっています。いつ行っても季節ごとの盆栽の違う顔に会えるのが楽しいです。

足を延ばせば掘り出し物

埼玉県深谷市群馬県に近い場所で、さらに盆栽園や花木の販売所は車でないと行きにくい場所なので、都心から電車で気軽にちょっとそこまでという感覚ではないのですが、足を延ばす価値は十分あります。食べ物の植物として深谷ネギが有名ですが、園芸好きの方には掘り出し物が見つかるごっつーええ場所です。f:id:katsuo_24:20180113113625j:plain

△花植木流通センターでは冬の晴れた空にオレンジ色の実がよく映えていました。

 

 【株式会社埼玉県花植木流通センター】

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本格的盆栽園の近くに盆栽だけでなく、名前のとおり花から植木まで幅広く販売している「花植木流通センター」があります。駐車場も広く、ここに来たらとりあえず何でも揃うというイメージです。

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特に季節の花は1鉢単位でももちろん販売しておりますが、どや!もってけドロボー!とばかりに1ケース単位でドカンと売られている思い切りの良さが気持ち良い販売所です。▽ケースごと格安価格で販売!

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屋外の販売エリアは、盆栽エリア、植木エリア、鉢植えエリア、鉢エリアと敷地の広さを十分生かしたゾーンです。

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△盆栽ゾーン

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△鉢物ゾーンには、大きな壺から中くらいの洋物鉢まで各種ございます

温室も広く、季節の花や植物も様々な出品者が並べているので、品定めがじっくりできます。この時はシクラメンが格安で色も形も選びたい放題でした。(たくさんありすぎて悩みましたが、2種類の小さなガーデンシクラメンをセール価格で購入しました)

 

【JAふかや 農産物直売センター 用土店】

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車移動でないとあちこち立ち寄れないのですが、色々買い物もすることを考えると、ぜひレンタカーでも友人との乗り合いでも車でのお出かけをお勧めします。

そしてこちらのJAふかや用土店では、看板には「農産物直売センター」と書かれておりますが、盆栽販売所としても広い売り場が設けられております。

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そして、個々の盆栽に価格もきちんと値札がついているので分かりやすいです。盆栽の価格って、素人には分かりにくいので、JAのような販売所で値札がついているというのは安心して購入できます。

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△鉢も色々あり、こちらもちゃんと値札が付いています。

 行ったのが冬なので雑木盆栽はほとんど落葉していましたが、お買い得の盆栽が見つかる可能性も高いといえるでしょう。

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 △このリンゴ盆栽は樹高が30cmくらいですが、スーパーで売っている普通のリンゴのサイズの実がついていました!重そうです。

 写真は撮っていませんが、この後、隣接の農産物直売所で深谷ネギと新鮮卵を購入して目だけでなく胃も満足の深谷ツアーになりました。

 

 【購入したものの。。】

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△今回の深谷ツアーで購入したもの

さて、今回の深谷ツアーでは小さめの盆栽の苗やお花を購入しましたが、鉢がなかなかコレ!と気に入ったものが見つけられなかったので、まだビニールポットのままの苗ちゃんたちもおります。ごめんなさい。とりあえず家にあった鉢にポットが壊れかけていたキンズの苗を植え替えてみました。こんな寒い時期に植え替え心配だったものの、根が露わになっているよりきっといいでしょう。f:id:katsuo_24:20180113122031j:plain

買ったときには可愛らしい黄色い実がいくつもなっていたのですが、気づいたら全部実がなくなっていました。下にも落ちていなかったのが不思議です。鳥さんが食べちゃったんでしょうか。。それならまあいいですが。

 

【遅ればせながらの冬支度】

年末年始と慌ただしかったので、我が家の盆栽ちゃんたちの冬支度も遅れてしまいました。年末に魚屋さんで入手した発泡スチロールの底に穴を開け、小品や雑木盆栽を入れて軒下に置き、室の代わりに防寒対策してみました。

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これで大丈夫なのか良く分かりませんが、春になれば結果が分かるでしょうから様子見てみます。

 

【土鉢のままで失礼します】

白い花の椿「侘助(わびすけ)」も購入したのですが、植え替える間もなくお花が咲きだしたので、取り急ぎ玄関に飾りました。

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お花が咲いているので植え替えせずに土鉢のままですが、家の中に飾れるというのは盆栽の一番の楽しみ方でしょう。今日は寒いけど外に出して椿に日光浴させています。こんな感じのお手入れで素人は十分なんじゃないかと思います。

 

新春号、深谷ツアーへ出発!

新年あけましておめでとうございます。

さて、元旦の格付けチェック番組での盆栽、皆様は分かりましたでしょうか?昨年小林先生の春花園へ見学に伺った手前、私は外すわけにはいきません!緊張しながらやりましたが、無事1億円の盆栽当てられました。まだ三流ブログ続けられそうです。

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新年の写真はお正月盆栽寄せ植えの群れです(後述の青木園さん製作)。めでたいぞー!いっぱいですね。

本年もよろしくお願いいたします!

  

【出発はやはり土呂から】

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埼玉県深谷市にゆかりのある盆友から深谷に盆栽園があると聞き、深谷ってネギじゃないの?と思いながらも皆で出かけることにしました。大宮盆栽美術館がある埼玉の土呂駅に集合し、ワイワイ車で出かけるのが遠足っぽくて楽しいムードです。

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盆栽園や販売所が多いので1日では周りきれないのですが、ルートを考えつつ周ります。

一度にご紹介しきれないので、二回に分けてお届けします。第一弾は贅沢にもプロが一目置く盆栽園からです。今回ご紹介する盆栽園たちは、プロが通う盆栽園なので、私たち小市民が気軽に一鉢ずつ購入するようなものとは少し違いますが、年末のお忙しい中でも気さくに見学を受け入れてくださいました。では、ご一緒に巡りましょう。

 

【たかはし園芸】f:id:katsuo_24:20180103105002j:plain

こちらは、質量共に驚きの盆栽がずらりと並ぶ盆栽園です。運良く社長がいらっしゃり、私たちを園内案内してくださりました。盆栽は冬でも冬の手入れや鑑賞方法があります。冬は特に葉が落ちて枝ぶりが良く分かるので、樹形が良いものを選びやすいといえるでしょう。

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深谷市は内陸部で冬はとても風が強く寒いところです。小品盆栽はビニールハウスで管理されております。社長が丁寧に一つずつ説明してくださいました。いやぁ、高橋社長の目利きや情報量にはびっくりです。早くも深谷まで遠出した甲斐がありました!

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園内にはこれから出荷を待つ松と梅がずらりと並んでおりました。とても一つずつ選んでいられませんね。園内広いので、全ての盆栽を管理するのも大変そうです。

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 そして、お正月用の盆栽もたくさん準備されていらっしゃいました。寄せ植えは華やかで目を引きます。f:id:katsuo_24:20180103105155j:plain

 お忙しいところお邪魔しましたー!また見学行かせてください! 

 

【瑞光園】f:id:katsuo_24:20180103105313j:plain

たかはし園芸さんから近い盆栽園で、落ち葉も綺麗に掃除されていらっしゃり、入口から庭園の雰囲気です。先代が私たちを園内案内してくださいました。盆友も私のような素人から何年も盆栽歴のある方まで様々ですが、アカデミーとは違ったお話が聞けることが勉強になります。

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大変失礼ながら、都心から離れたエリアの深谷にこんなに立派な盆栽園があるの?と驚きましたが、整然と飾られて管理されている盆栽たちは、その佇まいが既に美術品で存在感が違います。

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美術館兼冬の管理棟という趣の室内に、多くの盆栽たちが鎮座しておりました。去年の私だったら「これって枯木じゃないの?」と言ってしまいそうですが、いやいや、私も成長したものです。これらが見事な枝ぶりの盆栽だということが分かります。

中には国風展に出品予定の作品もあるそうです。一流ですね!

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これは花梨(かりん)です。幹の模様がなんとも綺麗ですね。コケ順も密な小枝も見事です。冬の間にこのように細かな枝まで一枝ずつ針金で姿勢を丁寧に整えていらっしゃるのです。針金は3か月ほどで外すそうです。このような手間をかけて見事な芸術作品になるのです。私の盆栽とは比べ物にならない世界です。

 

【青木園】f:id:katsuo_24:20180103110422j:plain

こちらは瑞光園さんのすぐお隣というほど近い盆栽園ですが、趣がガラリと異なり、自然に馴染んだ空気感が漂っています。肩ひじ張らないゆるキャラ風のご主人は、昨年手術されてその間盆栽の手入れができず、また一からやり直しだと嘆いておられましたが、園内の盆栽たちもご主人の回復を祈っているように見えました。私たちにも裏表なく接してくださるお人柄がほっこりします。

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それでもトップ写真の正月用盆栽を手掛けるご主人の腕は健在です。息子さんがいらっしゃるそうなので、後継者問題もこちらは大丈夫そうです。盆栽園の継続と私たち一般人の趣味は共に支え合っているので、文化の継承という大きな視点からも有難いですね。

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盆栽園って番犬?なのかワンちゃんを飼っているところが多いのです。これはあちこち盆栽園めぐりしているもう一つの楽しみかもしれません。青木園さんのこちらの柴犬ちゃん、とてもかわいくてつい写真撮っちゃいました。戌年ですしね。

 

さて、新春第二弾は、いよいよ私たちの手が届く盆栽販売所です。お楽しみに~!

  

必要から生まれる変な形

気が付けば師走も半ば過ぎ。我が家の盆栽たちも早く冬支度しなければ、、と思いつつまだ手が付けられておりません。ごめんね、冬でも半袖と短パンの子供のように逞しくなってくれ。

 【盆栽道具といえば、昌國】

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初心者なので、全く道具についても素人なのですが、盆栽道具で有名な昌國(まさくに)というお店が川口にあるという話を聞いていたので、行ってみました。

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長年この地で営業されてきたことが分かる、蓄積された重みを感じる建物です。一瞬、私のような素人が入って良いものか躊躇したものの、怯まずにお邪魔します。

 

【博物館も併設】

入ると、「博物館ですか?ご覧になります?」とのこと。しばらくきょとんとしておりましたが、こちらは1Fが刃物の販売店、2Fが刃物の博物館となっております。これは見るしかないでしょう。

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 【ひっそりと、ずっしりと、宝物が】

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珍しい博物館です。昔ながらの様々な道具がずらりと並んでいます。その点数は数えきれないほど。いやはや、よくこんなに集められました。昔は近所の町工場にあったような道具も今では貴重な資料です。

 

【盆栽道具】

盆栽道具ってどんなの?鋏(はさみ)だけじゃダメなの?というところから私は入りましたが、まあまあ、最初は鋏だけでもいいと思います。よく切れるものでないと木を痛めてしまうのでNGですが。ちょっと盆栽植え替えたいな~と思うと、針金切りややっとこという道具も欲しくなります。安い工具でも間に合うので、初めから全部を揃えなくても良いというのが私の考えですが、やはり、数多く盆栽を扱うようになると、専用の道具の便利さに驚きます。 

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そして、用途に合わせてこんなに多くの種類があるのです。冒頭の写真も全部盆栽道具です。

(私はまだまだ違いが分からないヤツなので、今の自分にこんなに道具があっても宝の持ち腐れになってしまいます)

  

【変な形ワールド】

盆栽道具って、通常の生活では見たことが無いようなヘンテコな形のペンチみたいなものがたくさんあります。

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樹に負担をかけずにスパッと一度で切り、後の樹の自然治癒力で傷跡が目立たないように成長できるようにと考えられているのでしょう。

 時々街路樹で見かけることがあると思いますが、樹木はその樹皮に傷ができると、傷の部分を巻き込むように樹皮が成長していくので、傷周りがポッコリと盛り上がってしまうのです。

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枝切り用や根切り用、葉切り用、針金用など、大きさも各種です。大きく樹形を変えるためのジャッキだってあるんです。きゃー。

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昌國では、代々試行錯誤しながら多くの盆栽専門道具を開発されてきました。特に九霞園の園主と昌國との道具開発にかけたお話は業界でも有名です。今では、昌國というブランドは、BONSAIと共に海外でも知られており、海外からのツアー客も訪れるとのこと。

 【鑑定団でも!】

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一見普通の鋏が希少価値とは。。有名なテレビ番組「開運なんでも鑑定団」で発見された初代昌國の鋏だそうです。こうした鋏って田舎のおじいちゃんの家に転がっていそうですが、専門家の道具はやはり違うのでしょう。よく見つかったものですね。小市民には鑑定額が気になります。

 

  【初心者は道具の手入れから】

2Fの博物館で刃物を見学した後、1Fのショップで色々な盆栽道具を見せていただきました。良いものなので、高いのは仕方ないのですが、実際に持たせていただくとさすがに使いやすそうな感触です。当然ですが、専門家が満足できる品揃えです。

しかし、ポンと買えないので、今日のところはお小遣いで買える鋏の磨き用具を購入しました。道具の手入れは意外に重要だと思っています。包丁にも使えるそうです。研ぎ用の石欲しかったのですが、それはまた別の機会に。

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私が次に狙うのは、又枝切です。ああ、こうして道具も沼にはまっていくのか。。

 

自主練なのに高度な技

よい子はマネしないでね、と注意書きテロップが流れそうな高度な技が次々と間近で見られる機会はそうそうないものです。この度、手入れが分からない素人が集まって、盆栽歴20年のエキスパートを招聘して盆栽サークル活動を行ってみました。

▼エキスパートは真ん中で指さしアドバイスされている方

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【素人のお困りポイント】

基本盆栽は毎日水やりしているだけで大丈夫なので、初心者でも簡単に育てることができるのですが、枝ぶりを整えてカッコよくしたいとなると、それなりに手入れをする必要があります。盆栽を買ったはいいが樹形を整えるとなると、途端に壁にぶち当たってしまいます。買った時は綺麗に整っていたのに~(私はイマココ)

分かりやすい盆栽の手入れの本が色々出ていますが、樹種毎の基本の手入れ紹介が多いようです。当たり前ですけど。実際には、その木の個性をどう生かすかということになり、自ずと一本一本違った手入れになるのです。

  

【素材だけはいい感じ】

盆栽を見て触って教えていただいて、まだ盆栽アカデミー初級コースを終わっただけですが、自分なりにいいなぁと思うような視点ができてきました。これは好みもあるので個人差があるでしょう。タイミング良く、私は念願の糸魚川真柏(いといがわしんぱく)の苗を入手しました。しかし、ボサボサに伸びた枝をどうやって手入れしたら良いのか皆目見当もつかなかったので、これは良い機会だと盆栽エキスパートにこの素材でデモをお願いしました。

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 【ジンづくり】

真柏といえば、ジンシャリというくらい特徴的な白い枝や幹ですが、これは人為的に作ります。うわー、樹皮を剥いてしまうなんてかわいそうーという心の声も聞こえてきますが、何も木全体を枯らしてしまうわけではなく、全体を美しいバランスで仕上げるよう、イメージして作るのです。盆栽はかなり小さな鉢の中で少ない土という過酷な環境で育てますが、美味しいトマトを作るとき、実を予め選別して間引いて甘さを実に凝縮させるためにあえて水やりを制限する、という人為的な作業と似ています。

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真柏ちゃんのジンづくりでは、樹皮が必要以上に剥けてしまわないよう、予め切り込みをぐるりと入れておき、やっとこというペンチのような用具で先端から割いてはぎ取っていきます。でもやっぱり痛そう~ごめんね!!

 

【かんぴょう?】

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いいえ、ラフィアです。ヤシの葉が材料で様々な用途に使われていますが、盆栽分野でお会いするのは初めてです。ここでは、強く曲げたい枝の樹皮が痛まないよう、予め保護するために巻いておくテーピングのように使います。

ラフィアを予め15分くらい水に浸して柔らかくしておきます。そして、隙間ができないようにしっかりと枝に巻き付けていき、最後は縛って止めます。

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まるで自分がプロになったような解説ですが、エキスパートのデモをそのまま書いているだけです。剥いちゃうばかりではなく、きちんと保護もしております~

 

【扱いが難しい銅線もなんのその】

枝が太いので、この日のために太めの銅線を得意のネット販売でポチして入手しておきました。(盆栽用の銅線ってホームセンターでは売っていないんですよ。少なくとも私が覗いたいくつかの店舗では)硬くて扱いづらいので、通常初心者はアルミ線で針金掛けを行いますが、エキスパートは楽々太い銅線を巻いていきます。

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最初にどこからかけるか、、これがポイントなのですが、紙面上割愛します。(解説が難しいので放棄しているだけです。すみません。いつか解説できる日がくるといいなぁ。)

 

 【エキスパートは道具の着眼点も素人離れ】

なんでもあるものを利用する達人さんは、盆栽の針金掛けで木が痛まないように工夫もあれこれ考えます。

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新たな技は、針金を掛けた枝をさらに大きく曲げるとき、幹に掛ける針金で木が痛まないよう、針金をゴムチューブに通し、針金を養生して使います。このゴムチューブはなんと金魚の水槽で空気の循環に使うホースだそうです。この発想力がすごいです!そして、この細い針金の両側は既に枝に掛かっている針金に通し、直接幹や枝に針金が食い込むような一点集中のきつい圧力がかからないようにしているのです。これってかなり高度な技です。こんな高度な技を間近で見る機会はないので、私たちはかぶりつきです。

 

【半端ないビフォーアフター

これが、素材のビフォーアフターです。いやいや、あんなにボサボサでどこをどうやったらよいのか素人には恐ろしくて迂闊に手を出せないものが、エキスパートの手入れでこんなにまとまりました。

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とはいえ、まだまだ途中です。一度に多くの作業をすると木に無理がかかり、枯れてしまう恐れがあるため、何年もかけて少しずつ改良を加えていくのです。

そんなわけで、小さくても盆栽は値段が高いものが出てくることになります。世に言う「付加価値」というものですね。いつになったらこんな手入れができるようになるんでしょう。。遠い目。

 

【身の丈にあった練習】

エキスパートの高度なデモを見た後は、素人が失敗しても悔やまないもので針金掛けトライです。ポットの赤松苗にアルミ線を差し込み、針金が浮かないように45度の角度で巻いていきます。

何人かで同じ作業をしたのですが、皆それぞれ違った掛け方になり、こんなことでも個性がでるものかと面白い発見でした。そして、将来の姿をイメージして針金と共に苗を曲げていきますが、これまたどんな形に曲げたらよいのか分からない。。情けないのですが、結局最後はエキスパートに手直しをお願いし、どうにかまともな文人(ぶんじん)の姿に仕立てられました。素人との腕の差は歴然です。参りました!

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 【再生可能】

さて、真柏のボサボサ苗のデモンストレーションで切り落とした枝、無駄にしませんよー。切った後は水につけておきます。その後、切り口をカッターで斜めに切り、反対側も少し斜めに切り、マイナスドライバーの先端のような形にします。そうすることで断面積が大きくなり、水を吸い上げる力がより働くことになるのです。ここも「へぇー」ポイントですね。私は「ルートン」という発根剤をつけて赤玉土の上に挿し穂の土を入れた土鉢に割りばしで穴を開けたところにそっと1本ずつ挿してみました。

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できれば挿し穂も9月~10月頃が時期的に良いようですが、今回11月中旬に行ったので、どれだけついてくれるか。。分身を増やすのじゃー!!

 

【エキスパートのお道具】

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今回デモを見せて、私たちにアドバイスしてくださったエキスパートの方のお道具は、道具箱から少し出しただけでもこんなにありました。盆栽の道具ってなんでこんなに色々あるのか不思議ですが、用途があってこれだけ種類も増えるんでしょうね。まるで、伝統技能の職人さんが持っている「ノミだけで何十本」というイメージです。カメラの世界のレンズ沼だけでなく、この世界も沼がありそうです。