盆栽アカデミー、新たな初級コースもスタート

1月半ばの寒い時期にもかかわらず、盆栽アカデミーの教室は満席で、実技の講義に期待に胸を膨らませるワクワクした高揚感に包まれております。年明けから新たに講義が始まり、第2回目のいよいよ実技の講座が始まった初級コースにお邪魔しました。

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盆栽アカデミーは、広く門戸を開いてくださいますが、いつも定員オーバーの申込で抽選になってしまう人気の講座です。昨年、残念ながら抽選に漏れてしまった方もまた次回ぜひチャレンジいただきたいですね。

 【初実技は五葉松から】

教室に入ると、各自の席に五葉松の盆栽と手入れ道具、講義資料が用意されています。

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今回は各テーブルに1人盆栽インストラクターの方々が付いてくださる手厚い指導です。2,3人の受講生の方とお話しましたが、ほとんど皆様初心者で、実際に盆栽の手入れをされるのは初めてのご様子でした。(よかったー。私もほぼ同じ状態!一緒に勉強させてください!って、私は一度受講した内容のハズ(汗))

 【鉢植えと盆栽】

基礎は何事においても大事です。どんな分野でも基礎を疎かにしているプロはいません。今回も、盆栽インストラクターの原先生が、要点を押さえた基礎から丁寧に素人同然の受講生たちに解説してくださいます。

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△向かって左側が鉢植え、右側が盆栽と、見た目で分かりやすく解説してくださる原先生

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△熱心に講座を受けている受講生

 【盆栽の見どころ】

皆様熱心にメモをとって聞いています。私も「ああ、このお話し聞いたなー」と思いながらも復習です。盆栽の見どころ三要素は?二大樹形とは?模様木の種類は?板書が無いと記憶もあやふやです。普段、ボーっと眺めて「いいなー」くらいにしか考えていないので、シャキッとしました。いかんいかん。

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実物を用いての解説は一目瞭然で分かりやすいです。枝配りと言っても、素人には左右に枝が出ている感じかなあというところ、裏枝の重要性も解説してくださいます。「左右だけでなく、後ろ側に裏枝があることで立体的になるんですね。我々は、魚の骨のような形は嫌うのです」と原先生。例えが分かりやすいです。

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続いて共生菌のお話し。菌といっても、鉢裏の白い共生菌は、盆栽が健康に育っている証拠だそうです。

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普段、重たい鉢の裏を覗くことなんてないのですが、実際に見たり臭いをかいだりできる機会は大切です。本やネットでは分からないことですね。ちなみに我が家の五葉松の盆栽ちゃんには共生菌はまだお越しではないようです。ご来訪お待ちしております。

  【五葉松】

アカデミー初級コースの素材として定番?の五葉松について原先生が解説してくださいました。赤松や黒松は針のような葉が2枚、五葉松は5枚出ているから五葉松。銀八房五葉松(ぎんやつふさごようまつ)という樹種(じゅしゅ:樹木の種類)で、宮島五葉松ともいわれるそうです。四国が産地ですが、300年前くらいに突然変異で現れた種類だそうです。

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△見分け方を教えてくださっているところ(先生の右手に持っているのが赤松の葉、左手に持っているのが五葉松の葉)

真柏(しんぱく)という樹種と異なり、この五葉松は、挿し木という手法で増やすのが難しいようで、突然変異で現れた種類を接ぎ木(つぎき)という手法で増やしてきたとのこと。300年前の江戸時代のDNAが宿っているかも?とのお話しには夢があります。

 【お手入れ前に】

いよいよ各自の盆栽のお手入れです!が、その前にうっかり忘れそうなのが写真です。

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事前に撮影しておくと、お手入れ後と見比べることができて、成果が感じられるものです。ついどんどん始めたくなりますが、写真は遡って撮影できないので、ぜひ撮っておきたいところです。

【まずはお掃除から】

初めて盆栽の手入れをする方も多いので、まずは道具の使い方も兼ねてのスタートです。松ヤニ防止の手袋で装備しながら、ピンセットで雑草を抜き取ります。

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季節柄落ち葉もたくさん積もっている方もいらっしゃいます。手でやった方が早そう。。と思う鉢もありましたが、道具に慣れることも大切ですよね。それに、ピンセットの方が、小さな雑草は根から抜けるので便利です。

 【正面はどこでしょう?】

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さて、ここは重要です。半年前の私はそんなに気にしなかったのですが、今はこのポイントが重要だということがなんとなく分かってきました。盆栽は床の間に飾るものなので、正面があるのです(多分ね)。後ろ側まで立体的に作るものの、その木が一番美しく見える方向を正面にするのです。最近の住宅事情で床の間がある家はほとんどありませんので、玄関の靴箱の上やリビングの壁際の棚に飾るイメージなら分かりやすいかもしれません。 f:id:katsuo_24:20180121141113j:plain将来の樹形や幹の曲がり具合、枝の配置などを考えて、インストラクターの先生方に相談しながら皆さま時間をかけてじっくり考えていらっしゃいました。鉢の向きだけに注意しがちですが、角度も変化させる視点も必要です。正面を予め決めておいて、理想とする形に樹形を整え、植え替えていくという手順なのです。

  【お手入れポイント】

次に葉の剪定です。時間的制限があり、大きな樹形を整えるのは次回の作業になるようで、今回はボサボサに生えている葉のお手入れです。古葉を盆栽用の鋏で根元近くから切っていきます。

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古葉って言っても素人にはなかなか見分けがつかないものですが、先端に芽が付いているのは見分けがつくので、芽の周りの葉は切らずに、枝の下の方に生えている色褪せた葉が古葉なので、その部分を切り、枝先だけに葉が残り、懐は風通しが良いようにします。下向きに出ている葉も切ります。

(人間の腕で言ったら、指先から手首くらいまでは産毛を取らずに二の腕部分はムダ毛を取るイメージでしょうか。←例えが変ですが。) 

皆様、インストラクターの先生方の丁寧なご指導を受けて作業されました。f:id:katsuo_24:20180121142754j:plain

面白いことに、盆栽のお手入れ作業はついのめり込んでしまうので、皆様集中して黙々と作業されています。きっと充実した気分になられたことでしょう。

  【春まで待機】

さて、楽しい時間はあっという間に過ぎて、片付けです。次の実技までアカデミーの培養所で預かってくださることになりました。

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各自で運び、水やりの方法を教えて頂きました。水は鉢底の穴から水がポタポタ落ちるほどあげます。(冬の時期は毎日あげなくても2日に一度くらいでいいようです)

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△各自で手入した盆栽に水をあげました。受講生の皆様も盆栽ちゃんもほっとしたことでしょう。

 

【オマケ:美術館はこちら】

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盆栽美術館へ行くと、展示会場とお庭、販売所という一連のコースを周るのがルーティンになっていますが、販売所に素敵な看板がかかっています。色味が派手ではないので盆栽に馴染んでいながらアートを感じる作品です。よく見ると字の部分は溝をつけて半分埋め込んだ形になっています。九霞園の村田さん製作だそうです。シブイです。 f:id:katsuo_24:20180121144026j:plain

 他にも、美術館では、季節に合わせた展示や実演、トークショー、ワークショップ、相談会など、様々な企画を考えてくださっています。いつ行っても季節ごとの盆栽の違う顔に会えるのが楽しいです。