中級、実技シリーズ <エピソード7 ~試される頭脳プレー~>

あけましておめでとうございます。年初の写真は大宮盆栽美術館でお庭に展示されていた五葉松の「輝」です。青い空に映えるこちらの盆栽、推定樹齢は350年でございます。若干ブログ更新が遅れても気にしない泰然としたお姿です。

f:id:katsuo_24:20190105182833j:plain

さて、年初恒例の格付け番組での盆栽問題、多くの方が引っかかったようですね。もう一方がお菓子とあらば、意地でも盆栽アカデミー受講生として外すわけには参りませぬ!真柏(しんぱく)という樹種(じゅしゅ)同士の比較でしたね。多分アカデミー受講生たちなら当てられたんじゃないでしょうか。この問題だけの一流芸人ですが。兎にも角にも、あのような立派な盆栽を仕立てられるようになるには、当然長年積み重ねた経験が必要です。そこまで到達できなくても、少しずつチャレンジしていると楽しみ方の幅はぐんと広がります。お菓子も見事でしたね。もったいなくて食べられないな。。

ささ、今年も生きたアートの世界を愉しみましょう!

【黒松くん、お久しぶり!】

今回は、5月頃に針金掛けの練習をした黒松くんも各自のテーブルに用意されていました。久しぶり~!元気だった~?こんな姿だっけ?なんて、1回会っただけでは分からないよねぇ。でも、盆栽ちゃんたちは、切り花と違って季節を超え、年を経てのお付き合いになるので、ゆっくり少しずつ育てていく楽しみでしょうか。この日(11月3日)は「芽かき」という作業をやりました。 

f:id:katsuo_24:20190105191222j:plain

備忘録的に黒松くんのお手入れ歳時記を残しておくと、3月~4月のはじめ、桜の咲く頃に植え替えます。素焼きの鉢が良いようです。どうも、私はすぐ鑑賞用の鉢に植えたくなっちゃうのですが、苗ちゃんには水はけや通気性が良い素焼きの鉢がベビーベッドのようで気持ち良いのでしょうね。

今回大きく残っていた枝は、来年の6月20日~6月末に切るのが良いとのことでした。大きな枝は、小さな木の栄養を奪ってしまうそうです。そっかー、植物なのに同じ鉢の中で、弱肉強食の戦いがあるのかー!

 【二又っていっても浮気じゃないから】

盆栽の基本で、新芽は2つずつ残していきます。「芽かき」という作業は、2つ以上同じところから芽が出た場合に、不要な目を切り取って、2つに残すという作業をすることです。そのまま残しておくと、芽の付け根が太ってしまうため、美しくないのです。私は手抜きしがちなのですが、アカデミーのおかげで「この時期に何をやるのか」というのが自然と身に着くようになってきます。短期集中講座もいいけど、やはりゆっくり何度も反復する方が忘れにくいですね。

【ジン・シャリ作りも二度目なら】

前回のジン・シャリはおっかなびっくりの作業でしたが、二度目になると度胸もつくものです。前回作ったシャリは、まだ削り方が甘く、自然治癒力が勝っていました。こうして徐々に力加減も覚えて行くように思います。やりすぎたら戻らないし、やらなさすぎは効かないので、ちょうどよい加減というところは、自分でやってみて初めて納得するものです。

f:id:katsuo_24:20190105191841j:plain

【葉透かしは風通し】

今回は、ジン・シャリ作りだけでなく、「葉透かし(葉すぐり)」という作業も新たに行いました。これは、針金を掛ける直前に行い、葉を先の方だけに残し、交互に小さな枝を残して余分な小枝や古葉を取り除いて針金を掛けやすくする作業です。まあ、これがまた、素人にはどの小枝を残すのか迷っちゃったりしますが、インストラクターの先生からは「真柏は強いから大丈夫」と度々言われるので、ちょっと大胆にやっても大丈夫かもしれません。

f:id:katsuo_24:20190105191956j:plain

【樹形作りに欠かせない針金】

つくづく、盆栽って色んな作業があるんだなぁと思いますが、それを愉しむゆとりのある大人になりたいものです。。さて、次は針金掛けです。種類も枝の太さに合わせてこんなにご用意いただいております。(自宅でやるならまあ2,3種類からスタートでいいかもですね)

f:id:katsuo_24:20190105192423j:plain

【針金掛けは頭脳プレー】

針金掛けは、将来の姿を想像しながら、そして二手、三手先を読んで掛けていく頭脳プレーなのです。まず、幹や太い枝から順に掛けていきます。45度の躾、覚えていますよー。そして針金と針金を交差させない。針金による躾を「効かせる」ための相手方の枝の選び方。針金の太さ、、文字で書くと嫌になりそうですが、実物でチャレンジすればすぐ納得。このハードルは盆栽の手入れの中でかなり大きいと私は感じました。しかし、これこそが醍醐味とも言えそうです。数年後の理想の形を思い描き、その形に近づけるよう盆栽を躾ていく。。なかなか思うようにいかないところも愉しみのうちなのです。 

f:id:katsuo_24:20190105192713j:plain

【個性だらけ】

針金掛けの具合は、その樹によって異なります。それゆえ、アカデミーのようにテーブルごとにインストラクターの方がついてくださり、マンツーマンで教えていただけるのは個人レッスンのようなものです。ネットや本で調べて自分流でやっても限度があります。そこは、盆栽教室なり、盆栽園なりでプロに指導してもらうことをお勧めします。何度かやればきっと分かってきます。何事も基本をマスターすることが上達への早道だと確信しています。

f:id:katsuo_24:20190105192618j:plain

ビフォーアフター

実技の回は1回2時間ですが、その中で盛りだくさんの作業となります。てなわけで、かなり端折ってしまいましたが、今回の成果はこんなところです。あとは自宅で自主練となります。 

f:id:katsuo_24:20190105194038j:plain

これ、同じ樹ですよ。ま、植替えを意識してAfterの写真は鉢を傾けていますが、こんなに曲げても大丈夫とは、びっくりですねー。

 

【おまけ】

正月飾りは、アカデミーの教材だった五葉松君と、昨年盆栽美術館で参加したワークショップで作成した長寿梅、秋雅展の販売所で購入した笹の苗と、、ほぼ原価松竹梅セットです。苔や飾り砂があればもう少しオシャレになったんだけどなー。

f:id:katsuo_24:20190105193253j:plain

買ったばかりでも嬉しいけれど、自分が育てて花が咲いたり姿が整ってきた子たちは、喜びもひとしおです。本年もよろしくお願いいたします。