中級、実技シリーズ <エピソード5 ~ジン・シャリ~>

今回はいよいよジン・シャリ作りです。たまたま写真撮影可スペースに「武甲(ぶこう)」という銘がついた私が好きな盆栽が展示してあったので、僭越ながら解説に使用させていただきます。こんな立派な盆栽にはとても手が出せないので見るだけ~f:id:katsuo_24:20181012182424j:plain

【ジン・シャリとは】

まずは言葉のおさらいから。ジンとは神とも書かれる盆栽の枝先の枯れて白骨化した部分、シャリは舎利と書かれ幹が枯れて白骨化した部分を指します。盆栽に神や仏を連想させるなんざ、先人たちは洒落たことを考えますね。

ジン・シャリは主に松柏(しょうはく)盆栽に見られ、中でも真柏(しんぱく)という樹種(じゅしゅ)で枯れた部分の白さと生きている部分の幹(水吸いと呼ばれる)の茶色、葉の緑といった色の対比が美しく表現されています。 

盆栽は自然の風景を盆器の上で表現しようと試みるものです。自然界では風雪で折れたり枯れて白骨化したりしますが、盆栽では人為的にそれらを作ります。その作業は痛そうに見えますが、樹全体が枯れないように注意しながら作業します。

 【準備オッケー】

前置きが長くなりましたが、アカデミーの講義に移りましょう。本日の教室には数か月前に各人の素材を大まかに手入れしたもの、将来の姿を想像してスケッチしたものも用意されています。しばらく見ていなかったので忘れていましたが、そうそう確かにこの子です。

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テーブルにはいつも上記のようなセットをご用意いただいております。自宅で手入れするときにも少しずつ道具が増えているので道具箱が欲しくなってきました。大工さんみたいな工具箱欲しいな。

さて、本日も原師匠の講義から入ります。

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【なぜジン・シャリを作るのか?】

もみじや花梨、欅といった雑木(ぞうき)盆栽では(幹の)肌の美しさを見せたいのでキズが無い方が美しいとされます。一部例外は梅やズミ、寒グミくらいだそうです。一方、真柏や松などの松柏(しょうはく)盆栽は幹肌が荒れて古木に見えることにより風格が出るので良いとされます。

特に真柏の「水吸い」と呼ばれる樹皮の茶色い部分(生きている部分)とジン・シャリの白骨化した部分(枯れている部分)、葉の緑色の色のコントラストが美しく出ている盆栽はもうアートそのものです。世の中でお高い盆栽さんたちは、皆これらが見事に表現されています。下世話な話ですが、何年もかけて1点ずつ作成するアートなので、価値も高くなるのもうなずけます。

【お手本には程遠く】

自分の素材を目の前にしてどうしたものかと悩んでいると、インストラクターの先生が見本をテーブルに持ってきてくださいました。

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幹の太さからすると、私たちの素材もここまでとは言わなくてもかなり小さくしても大丈夫なようです。そもそも、仕上がりをどのくらいの大きさにしたいのかも自分たちで考えるのです。難しいよぉ~!とヘタレそうになりますが、まあまあ、20㎝程度までの大きさくらいが私にはちょうどいいかな。

【おおまかな手順】

高級盆栽に少しでも近づくために我々も頑張ってみましょー!ということで、お手本のデモンストレーションです。先に全体のおおまかな手順を記すと、以下のとおり。

①正面を確認する

②余計な枝葉を落とす

③ジンにする枝を決め、樹皮を剥ぐ

④ジンから繋がるようにシャリを入れる場所を決める

⑤シャリにする部分の樹皮を剥ぐ

この作業を一つずつ原師匠が解説しながら実演してくださいます。

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皆熱心にメモを取りながら原師匠のデモに見入ります。私は写真を撮りながらなので注意散漫ですが、学生時代より熱心なのは間違いありません。

さて、このまま続けるとちょっとボリュームが多くなりそうなので、今日はここまで。

to be continued !